95. 合格発表
読んで下さってる皆さん、本当にありがとうございます。
もう少しで第一部が終わります。どうぞよろしくお願いいたします。
――合格発表の当日。
カテリーナは逗留している宿で、朝からひとり落ち着かずにいた。
「あ、お兄さま。おはようございます」
「おはよう、カテリーナ。……眠れなかったのかい?」
「あ、いえ……その……まあ、はい」
「ふふ。落ち着かないのは分かるけど、きっと大丈夫だよ」
「でも、もし落ちていたら……」
「学科も面接も、型の実技も手応えがあっただろう? 教官たちにも三連勝して、選抜者トーナメントで優勝して、さらに魔人まで討伐したんだ。むしろ不合格になる理由が見当たらないよ」
「でも、試験には万が一があると、お兄さまもおっしゃっていたではありませんか」
「まあ、そうは言ったけど……今回の試験は大丈夫だと思うよ」
――王宮でのやり取りを踏まえれば、もう、国としてもカテリーナを不合格にはできないだろうな……。
アレクシオスは、先日の宮廷での出来事は守秘義務のため、誰にも話していなかった。
そのため、アレクシオスは内心で合格を確信していたものの、当のカテリーナは不安でいっぱいになっていた。
「カテリーナ、そろそろ朝食の時間だよ。まずは落ち着いて食事を済ませよう」
そう言って、アレクシオスは彼女を連れて宿の食堂へと向うのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
魔人を討伐したカテリーナは、カリスティア王国内で有名人となっていた。
そのため、二人は目立たぬよう庶民の服に着替え、フードを深く被り宮廷大学へと向かった。
そして、受験生やその関係者で賑わう人たちの中、宮廷大学正門の掲示板が見える位置までたどり着いた。
「ど、ど、どうしましょう……怖くて見に行けません!」
「ふふ。もう結果は変わらないんだから、堂々と行けばいいんだよ」
なかなか足が進まないカテリーナだったが、そのとき、ふと奇妙な視線を感じた。
「……誰!?」
カテリーナは周囲を見渡した。
しかし、溢れる人波の中からは、その“視線の主”を見つけることはできなかった。
「どうした?」
「……いえ、たぶん気のせいです」
意識をそちらに向けたまま、気がづけば人の流れに押され、カテリーナは掲示板の目前まで来てしまっていた。
――あっ……!
心臓が激しく脈打つ。
全身からじわりと汗が滲む。
――そのときだった。
「えっ!?」
首から下げていた受験票が淡く光り、直接耳に声が届いてきた。
「カテリーナ・ルクサリスさま。あなたは宮廷大学騎士養成コースに合格しております。おめでとうございます。左前方の建物にてお手続きをお願いいたします」
受験票には本人と連動する魔法が施されており、合否は直接伝えられる仕組みになっていた。
「え……え……!?」
呆然とするカテリーナの手を、アレクシオスがそっと引く。
「はは、驚いたみたいだね」
「え、掲示板で番号を見るんじゃ……」
「掲示板にも載っているけどね。同時にこうして本人にも知らせる仕組みなんだ。大学側のちょっとした演出さ」
「え……じゃあ、これは……」
「受験票が、薄い青色で光っているね」
アレクシオスは優しく微笑んだ。
「おめでとう、カテリーナ。宮廷大学、合格だよ」
カテリーナは一瞬呼吸が止まった。
そして、ほんのわずかな沈黙のあと――
「やったあっ!」
カテリーナは、ようやく実感が追いつき、喜びを爆発させたのだった。
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