102. 最優秀の入学者
読んで下さってる皆さん、本当にありがとうございます。
もう少しで第一部が終わります。どうぞよろしくお願いいたします。
「カテリーナ・ルクサリス殿!」
その名が読み上げられた瞬間――
わああああああああああっ!!
大地を揺るがすような歓声が、一斉に巻き起こった。
貴族席、市民席の区別なく、人々は惜しみない拍手を送り続けた。
これまでのどの受賞者よりも、ひときわ大きな歓声だった。
司会者は、その熱気に負けじと声を張り上げる。
「カテリーナ殿は、学科試験・実技試験ともに満点という最高の成績を収められました!」
会場から感嘆のどよめきが広がる。
「さらに、騎士コース選抜者トーナメントにおいても優勝!」
再び拍手が湧き起こる。
「そして、突如出現した魔人との戦いでは決定的な役割を果たし、その討伐に大きく貢献されました!」
歓声はさらに大きくなった。
司会者は一拍置き、会場全体を見渡してから続ける。
「そして――その直後には、女神ユースティリアさまの奇蹟が顕現したと伝えられております!」
今度は拍手だけではない。
「聖女さまだ!」「大聖女アナスタシアさまの再来だ!」という声が、広場の各所から自然に湧き起こった。
司会者は、その熱狂を受け止めながら、さらに紹介を続ける。
「カテリーナ殿は、名門ルクサリス侯爵家のご令嬢であります。
国民誰もが敬愛した大聖女アナスタシアさまを母に持ち、神聖騎士団副団長を務めるアレクシオス・ルクサリス殿を兄に持つ名門のご出身です!」
観客席から感嘆の声が漏れる。
「そして本日――
アナスタシアさま、アレクシオス殿に続き、
ルクサリス家三代にわたる宮廷大学最優秀入学者という、前例なき栄誉を成し遂げられました!」
その瞬間、歓声は最高潮に達した。
拍手と歓呼が渦となり、まるで広場全体が震えているかのようだった。
「うぅ……恥ずかしい……」
壇上へ向かうカテリーナは、小さく肩をすくめた。
国家の英雄・大聖女として語り継がれる母アナスタシア。
若くして神聖騎士団の副団長に就き、国内外に神聖魔法の使い手としてその名を知られる兄アレクシオス。
そんな二人と肩を並べるように紹介されることが、彼女には居たたまれなかった。
幼い頃から「魔力のない落ちこぼれ」と蔑まれて育った彼女にとって、自分が称賛されることはいまだに慣れない出来事だった。
それでも、人々の歓声は鳴りやまなかった。
「やっぱり大聖女さまの娘だ!」
「魔人を討った英雄だ!」
「聖女さま、万歳!」
「女神さまの奇蹟を体現されたんだ!」
カテリーナに対し、惜しみない称賛の声が、四方八方から降り注いでいた。
実技試験のときは、剣の騎士団から入団を求められたこともあった。
魔人討伐のときには、みんなが賞賛してくれた。
だが――
これほど多くの人々から、一斉に賞賛された経験は、生まれて初めてだった。
頬を赤く染めながら、カテリーナは戸惑うように視線を泳がせていた。
その姿に、観客たちはさらに温かな拍手を送るのだった。
「それでは最後に、本年度主席入学者であるカテリーナ・ルクサリス殿より、入学者代表のご挨拶をいただきます」
その言葉の直後、会場は水を打ったような静けさに包まれていった。
大勢の人の視線が、一斉にカテリーナへと集まる。
「……っ!」
喉が渇く。
胸が高鳴る。
手のひらには、じっとりと汗が滲んでいた。
人前で話すこと自体は初めてではない。
しかし、これほど大勢の前で言葉を述べるのは、生まれて初めてだった。
――落ち着いて……落ち着かなきゃ。
……ここまで来られたのは、一人の力ではなかったのだから。
カテリーナは胸に手を当て、小さく息を吸った。
最優秀入学者の内示があったため、事前に無難なスピーチ文は用意をしていた。
しかし今は、どうしてもその原稿を読む気にはなれなかった。
――自分の言葉で、自分の想いを正直に伝えよう!
その気持ちが、胸の奥から自然と湧き上がっていた。
カテリーナはゆっくりと前を向き、一礼する。
そして、穏やかな声で語り始めた。
面白かったり、続きが気になったら★3つ評価をお願いいたします。
★をいただければ、やる気が沸きますので、すぐに続きを書きます!





