第三章 14
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「お、俺は……エドワードだ……」
「そうか、エドワード君……」
「俺のことは呼び捨てでいい」
俺はデイビッドの話を途中で遮った。
「わかった。それじゃ、エドワード。一旦街まで行こう」
「ネフィアおじちゃんは?」
このまま置いていくのは嫌だった。
死んでいたとしても、ちゃんと街で葬式をしてやりたかった。
「もちろん、一緒に」
その言葉を聞いて少し嬉しかった。
デイビッドは、ネフィアを方に担いで歩き始めた。
「ほら、エドワード。もう行くぞ」
「うん……」
俺は悔しかった。
ネフィアを亡くしたこともそうだが、なによりあの時馬鹿な行動をとったのが悔しかった。
「エドワード、いいか?もうおじいさんは戻ってこないんだ。今更悔やんだってどうする?」
デイビッドは俺のことを心配してくれているようだが、俺にとってはただただ鬱陶しかった。
「お前に……お前に何が分かるってんだよッ!!大切な誰かを亡くしたこともないやつがッ……偉そうなこと言ってんじゃねーよッ!!」
俺はつい口走ってしまった。
デイビッドは俺を助けてくれた恩人でもあるのに。
感謝の言葉を言う前に。
「ぁ…………」
俺は言ってから後悔した。
(何言ってんだ……俺……)
しかし、デイビッドは穏やかに俺に話をしてくれた。
「エドワード、君の心に負った傷の痛みは私にもわかる。なぜなら、私も君と同じように大切な人を失ったからだ。でも、自暴自棄になっていた私にある"師匠"はこう言ったんだ。」
後悔しているなら、次後悔しないようにすればいい。
「失ってしまったものは戻ってこないかもしれない。でも、次同じことをしなければいいんじゃないか?」
「うん……」
「よし!それじゃ、行こうか」
こうして十年前初めて大切な人を失った。
そして、あの日からずっとデイビッドの師匠さんの言葉を心に留めている。
俺はゼウスに向かって突進しようとした、その時──。
「エドワード!待て!」
デイビッドの声によってそれは遮られた。
「作戦があるんだ」
デイビッドが手招きをしてきたため、敵に背を向けないようにじりじりと下がっていった。
途中、ゼウスが通称(勝手に呼んでいるだけだが)‟雷ボール”を飛ばしてきたが、なんとか全て剣で切り、被弾を防いだ。
「どうしたんだ?」
「知っての通り、俺たちは武器を取り上げられている。もちろん、魔力も吸い取られている」
「ああ」
俺はデイビッドの一人称が昔と変わっていることを意識してしまい、笑ってしまった。
「おい、エドワード、いいか。しっかり聞け。昔みたいになりたくないだろ?」
俺はその言葉を聞いてにやにやするのをやめた。




