第三章 15
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「俺らもエドワードと一緒に戦いたい。でも俺らには武器がない」
「ああ」
俺にはデイビッドが何を言いたいのかわからない。
二本目の剣を貸せってことだろうか。
でもそうすると勝てる確率が低くなると思うのだが……。
「いや、二本目の剣を貸してくれって言ってるわけじゃない」
俺が二本目の剣を外そうとすると、それではないと否定してきた。
「なら、なんだ?」
「錬金魔法で俺たちの分の武器を作ってほしい」
予想していた答えと違って少し驚いた。
「わかった」
俺は即答して錬金を始めた。
錬金魔法は、周りにある物質を基にして特定の物質へと変える魔法だ。
非常に便利だが、周りに紙しかなかったら、金属製の剣を作りたくても紙の剣しか作れないという周りに左右される欠点がある。
この牢屋には紙も鉄のも石もある。
だから、まず、へにゃへにゃの剣になることはない。
俺の使う上位錬金魔法は、基になる物質が減ることはないため、魔力がある限り何回でも錬金できる。
俺は剣の形を細部まで想像した。
だんだんと剣のシルエットが浮かび上がってきた。
あと少し――。
その時、デイビッドが大声で叫んだ。
「エドワード!!」
顔を上げると、最初に目に飛び込んできたのは、眩く光る棒――いや、正確には先が尖った、槍だろうか。
錬金に集中してゼウスの存在を忘れていた。
ゼウスはジリジリと俺に近づいてきた。
「クソっ……」
錬金魔法発動中は身動きが取れない。
その間にもゼウスは俺に近づいてきて──。
光る槍を逆手に持って振り上げた。
ああ……もうだめだ──。
その時、俺の前に人影が飛び込んでくるのが見えた。
ドスッ…………!!
人影が飛び込んでくるのと同時に鈍い音が聞こえた。
俺の目の前の人影がゆらりと揺れて俺に倒れてきた。
魔法発動中で硬直状態の俺は人影を支えることしか出来ない。
誰……?
「おい、エドワード……」
そう言って俺の顔を見たのは──。
「デイ……ビッ……ド……?」
ショックのあまり俺は完成した剣を床に落としてしまった。
嘘だ……なんで…………。
「なあ、エドワード……。これは……別れなんかじゃ……ないぜ……」
「バカ!喋るんじゃねぇ!」
一刻も早く治癒魔法をかけたかった。
なのに……。
何度発動させようとしても発動しない。
「なんで……なんで使えないんだ!」
「なあ。俺は新しい旅に出るけど……お前らはゆっくり俺の跡を追いかけてくれればいいから……」
叫ぶ俺とは違ってデイビッドの声はか弱く、穏やかだった。
「何言ってんだッ……!」
そうしている間にもデイビッドの傷口から大量の血が流れ出している。
「いつか……会える日を楽しみにしてる……から……」
デイビッドは、力無く俺にもたれかかった。
「デイビッド!?しっかりしろ!デイビッド!!」
俺は悔しかった。
あの日からの努力は何だったのだろう。
「クソ野郎……クソムキムキ野郎ォォ!!」
気付いたら俺はゼウスに突進していた。
ゼウスから放たれる魔法を剣でさばき、ゼウスの目の前まできた。
《筋力増強》!
俺は力任せにゼウスの顔を切り刻んだ。
槍を振って抵抗してくるが、そんなの今の俺には爪楊枝のようなものだ。
槍を足の甲で跳ね返し、また切り刻む。
顔からは多くの鮮血が飛び散っている。
俺はトドメを刺そうと剣を引いた。
「死ね……」
思いっきり剣を突き出した。
剣は柄まで深深と刺さり、ゼウスはよろめきながら倒れた。
そして、落ち着いた時、周りを見渡した。
ゼウスの近くにデイビッドが倒れていた。
俺はデイビッドに走り寄った。
「デイビッド、デイビッド!!」
何度揺すっても動かない。
「何……何寝てんだよ……。起きろって……」
「デイビッド〜……」
「デイビッド君……」
「アーッハッハッハ。残念だったわねぇ、エドワード様♪でも、落ち込まないでくださいねっ。こんなの、生きてたら何回も経験することよ。特に、力不足のあなたは尚更ね♪」
俺は歯を食いしばった。
確かに、ロイスの言う通り悪いのは力不足の俺だ。
「それじゃあ、今すぐここから出してあげるわね。もうしばらく待っててくださいね」




