第三章 11
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3mほどある身長、たくましく生えた髭、2m程もある剣。
まるで神話に出てくるような神を想わせる姿をしていた。
「エドワード様、どうされたんですか?」
「ロイス、ひとつ聞いてもいいか……?」
俺はこいつの招待を知りたくて聞いてみた。
「もちろん、いいですよ。こいつの名前を冥界に持っていってください」
……え??それってどういうことだ……?
「こいつはオリンポス山から強引に連れてきたゼウスだ」
「は!?」
何言ってんだこいつ……。
「嘘ではありませんよ。ほら、ゼウス、見せておやり」
ロイスに命令されたゼウスは、右手を手のひらを上にして前に出した。
すると、手のひらの直上に黄色い玉が出てきた。
それは、手のひらから数センチ浮いているように見え、バチバチと所々小型の稲妻のようなものが通っている。
俺がぼーっと見ている間にどんどん増えていき──。
あっという間にゼウスの周りが玉だらけになった。
玉はゼウスの合図もなしに急にこちらに向かって飛んできた。
どうやら、追撃型のようで、避けても避けても追いかけてくる。
そこで、俺はこいつが本当にゼウスなんだと確信した。
なぜなら、この世界では魔法は少なからずあるものの、こんなチート級の魔法は存在しないからだ。
いや、存在するが普通の魔法使いでも、上級の魔法使いでも使えない。
つまり、神にしか使えない魔法を使っているこいつは、神だということだ。
玉は俺だけでなく、アンリやメディア、デイビッドにまで襲いかかっている。
「クソっ……!!」
俺は3人のいるところまで戻って剣を振るった。
「ゼェェェァァァ!!」
玉は斬られると消滅するらしい。
それを知った俺はどんどん玉を斬っていった。
玉が無くなって落ち着いた時。
俺が剣を見てみると、刃がボロボロになっていた。
「どんだけ強い魔法なんだよ……」
あんな攻撃をしてきておいて、ゼウスは俺たちの前で悠然と立っている。
(これじゃあ……みんなを守れない……)
そう思った俺は今まで毎日のように訓練してきた魔法をふと思い出した。
あの魔法ならみんなを守るだけでなく、あいつ――ゼウス――を倒せるかもしれない……。
実際にこんな戦闘中に使うのは初めてで、上手くいくかは解らなくて。
でも、"それ"を使いたくなるほどみんなを守りたくて。
俺は全細胞に意識を集中させた。
「錬金魔法!《オクリ・グラディオム・サクディ》──!」
この魔法は、何も無い空間から物体を生み出す魔法だ。
幼い頃、可愛がってくれたとある魔法使いから伝授してもらったものだ。
伝授してもらった、と言っても、完璧に使えるという訳では無い。
まだ100パーセント成功するなんて保証はないが、今はそんなこと言っている場合ではないだろう。
呪文を唱えた数秒後、背中にずしりとした重みを感じた。
(よし──!)
俺は背中の"それ"を抜き放った。
金色に輝く"それ"は鋭く研がれた剣だった。
俺は2本の剣を両手に持った。
「これからが──勝負だ」
俺はゼウスに向かってダッシュした。
俺はもう昔のように大切な人を失うわけにはいかないんだ――!




