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10 《こう見えて》

 暫くの静寂。

 私も喋らないし、死神様も鎌をこちらに向けたまま無表情――――前言撤回、恍惚としながら私を見つめている。

 シャルも助けてくれる様子はないし……どうしようか、これ。


 っていうか、死神様がここに来たのは別の方を捕まえるためだよね?

 私関係なくない?

 【死因:死神様に一目惚れされたため】だなんておかしすぎるわぁあああああ!!!!






「――――――む?」


「……え? 助かるの、私?」







 最初に静寂を破ったのは、死神様。

 正直理由は分からないけれど、急に鎌をしまって保健室のドアを見る。


 何かあったのかな?

 まあ、助かったから良いけれど。





 ほっと一息ついた時、保健室のドアがコンコンと音を立てる。


 そして誰かが中に入って……





「……七海ちゃん!!!!」


「っ!!

 りょ、涼介君!?」





 ――――そういえば、カーテン……茜ちゃんが開けたっきり閉めてなかった。


 保健室に入ってきたのは、体操服姿の涼介君。

 あ、今日の一限目は体育だったね。

 そこまでは良い。

 

 

 重要なのは、私でも涼介君でも死神様でもない。







「…………」


「……猫?」






 見 ら れ た 。

 シャルも流石に気づかなかったらしく、隠れていないし……死神様、気づいたならシャルに言ってあげて!!


 い、いや、別に猫くらいなら大丈夫だよね!?

 学校に居たらいけない生き物だけど、涼介君は猫嫌いじゃないはずだし大丈夫で――ぁあああああ!!!なんか顔が険しいよ!!!!


 え、嘘!?

 爽やか系がそんな険しい顔しちゃ駄目だよ、涼介君!!!!







「…………その猫、《この世界》の猫……じゃない、よな?」




「しかもさらっと別世界からやってきたってバレて……って、えええええええ!!!??」


「なっ……オマエ、誰だ!!」



「しかも喋る……やっぱり、朝の気配は正しかったんだ」






 

 涼介君が目を大きく開き、すぐにキッと鋭い目つきでシャルを――ううん、死神様を見つめる。

 

 え、気配? 気配ってなにそれ美味しいの?







「たしか、佐伯君だよね?

 君も猫と同じ、《この世界》の人間ではないよな?」


「……死神ではないようだが、お前は何だ?」


「俺は清水 涼介。

 色々と訳があって、君達のような特殊な存在の気配が分かるんだ」



「ほう? それはすごい。

 では、清水 涼介……お前はこの地域のどこかに潜んでいる、我と同じ死神の存在を知っているのか?」


「君は死神なんだね。

 生憎だけど、この辺は他の者達で溢れているから……」


「なるほど、それは我にも分かった。

 つまりお前は我の取り出した武器の気配を……」


「多分それかな。

 一番のキッカケは……」






「何このシリアス」


「う・る・さ・い」






 だって、全然話が分からないんだもん☆



 死神様が涼介君と真剣に話し合っている隙に、シャルが私に一発猫パンチを食らわせる。

 肉球万歳。ぷにぷに万歳。

 

 今のところ分かってるのは、涼介君が厨二病ってことしか分からないかな……




 ほら、「この世界の人間じゃないよね?」とか「気配がした」とかって言ってたし、なんか幼馴染の意外な秘密知っちゃったわー。







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