↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
26/39

26.見るべきものは別にある

《世界災害レイドを開始します》


表示と同時に、視界が白く塗り潰された。


足元の感覚が消える。


胃が浮くような感覚があった。


転移。


もう何度か経験したはずなのに、慣れる気はしない。


次に足裏へ硬い感触が戻った瞬間。


マキトの耳に飛び込んできたのは、景色より先に声だった。


怒鳴り声。


誰かを呼ぶ声。


泣き声。


聞き覚えのない言葉。


右から英語らしき声が飛び、少し離れた場所では中国語らしき会話が聞こえる。


別の方向からも、まったく意味の分からない言葉が重なっていた。


「……なんだこれ」


マキトは眉をひそめた。


ようやく周囲を見る。


人の頭越しに、赤レンガの建物が見えた。


東京駅。


だが、場所を確認したところで、それ以上景色を見る意味はなかった。


問題は、その手前にいる連中だ。


広場を埋めているのは、プレイヤーと伴侶キャラ。


それも、日本人だけではない。


世界中から集められている。


「海外展開までしてたのか。思ったより規模でかかったんだな、ラグオダ」


横で、メルシーがなぜか得意げに胸を張った。


「当然でしょ」


マキトは半眼になる。


「なんでお前が勝ち誇ってんだよ」


「あたしたちの世界が、それだけ人気ってことでしょ」


「そもそもお前、出てないだろ」


「細かいわね、クズ亭主」


こんな状況でなければ、もう少し付き合ってもよかった。


だが、今はそちらに意識を割く余裕がない。


マキトは人混みを見る。


いや。


正確には、人混みの中にできている隙間を見た。


妙に人が近寄らない場所が、いくつもある。


そこには決まって、明らかに普通ではない伴侶が立っていた。


人間の背丈ほどもある武器を持つ者。


翼を広げるだけで周囲を退かせている者。


何もしていないのに、近くのプレイヤーが距離を取っている者。


名前も性能も分からない。


ラグオダを遊んでいないマキトには、それがどれだけ高レアなのかも判断できない。


それでも、一つだけ分かる。


正面から喧嘩を売りたくない奴が、そこら中にいる。


マキトは表情を消し、隣にいるメルシーへ低く言った。


「影に潜れ。最後まで出るな。今回は喋るな。バレるな」


メルシーの眉が、不満そうに寄る。


「……はいはい、わかったわよ。ちゃんと隠れてればいいんでしょ」


「そうだ」


「つまんないの」


不満は隠せていない。


けれど、それ以上は何も言わなかった。


メルシーの輪郭が、黒い影にほどける。


足先から薄く沈み込み、彼女の姿はマキトの影の中へ消えていった。


気配が薄くなる。


完全に消えたわけではない。


だが、そこにいると知っているマキトでなければ気づけない。


その程度には、存在感が殺されていた。


マキトは小さく息を吐く。


メルシーは保険だ。


シエル一人では対応しきれなくなった時に、影から動かす最後の切り札。


見えていないからこそ強い。


知られていないからこそ刺さる。


初めから表に出しておく理由はない。


すぐ隣で、シエルが大剣の柄に手を添えている。


表情は硬い。


だが、動揺はしていない。


「旦那さま」


「まだ慌てるな」


マキトはスマートフォンを確認した。


その瞬間、新しい通知が表示される。


《今後ランキング集計終了まで位置情報は表示されません》


マキトは一瞬だけ顔をしかめた。


転送前までなら、位置情報を使って上位百名を探すこともできた。


正確な場所ではなくとも、おおよその範囲は分かる。


それが消えた。


つまり、ここから先は誰が上位なのか分からない。


誰を狙えばいいのかも分からない。


マキトにとっては、面白くない変更だった。


だが、ここではまだ本格的には焦らなかった。


「まあ、今からレイドボスが出るんだ。味方同士で争ってる場合じゃないってことだろう」


そう考えることもできる。


位置情報は消えた。


その代わり、全員が同じレイドに参加する。


全プレイヤー参加。


同じレイドボスを討伐。


貢献度に応じてランキングポイントを付与。


通知には、そう書かれていた。


なら、ここで稼げばいい。


まだ、逆転の目はある。


マキトは、ただ無策でここに来たわけではなかった。


昨日、世界災害レイドの通知が来た時点で、ずっと考えていた。


自分たちがどうすれば、ランキングを上げられるのか。


正面から強敵を倒すだけなら、上位勢には勝てない。


マキトはラグオダを遊んだことはない。


攻略知識もない。


強キャラの名前も、性能も、ほとんど分からない。


それでも、シエルの能力なら盤面ごとひっくり返せる可能性がある。


それは全体バフ。


味方であれば、人数制限なくかけられるらしい。


もしこの場にいる参加者全員が、同じレイドに挑む味方として扱われるのなら。


全プレイヤーにバフを撒ける。


全体の火力が上がる。


その上昇分が貢献度として判定されるなら、マキトたちは一気にポイントを稼げる。


うまくいけば、大勝ちできるかもしれない。


昨日から、その可能性を睨んでいた。


シエルの力を最大限に活かせる、珍しい局面。


ランキングを上げるための、かなり大きな勝ち筋。


マキトは改めて通知を開き、詳細を確認する。


そこで、指が止まった。


小さく追記がある。


《補助効果による貢献度は、効果を受けたプレイヤーペアに帰属します》


《自ペア内で発生した補助効果のみ、自ペアの貢献度として集計されます》


数秒、意味を噛み砕く。


それから、マキトは理解した。


シエルが他人にバフを撒いても、増えた火力分は相手のポイントになる。


マキトたちの貢献度にはならない。


こちらの取り分は増えない。


下手をすれば、むしろ削られる。


自分たちのリソースを使って、他人を稼がせるだけになる。


「……駄目だ。全体バフで荒稼ぎする作戦、潰された」


シエルが小さく息を呑んだ。


「旦那さま……」


「お前のせいじゃない」


マキトは即座に言った。


シエルが何か言う前に、遮る。


「むしろ、最初に使えねえって分かっただけマシだ」


シエルはそれでも、悔しそうに目を伏せた。


自分の力が役に立つかもしれない。


そう思っていたのだろう。


それが、運営のルール一つで潰された。


その反応を見て、マキトは舌打ちした。


本来なら、シエルの能力はこの状況で強い。


強いはずだった。


全員が同じ敵を倒す状況で、人数制限のない全体バフ。


普通に考えれば、破格の性能だ。


それを使わせないためのルール。


そう考えると、なおさら焦った。


周囲のプレイヤーたちは、通知を見ても驚いていない。


誰も他人へ無差別にバフを撒こうとしていない。


支援系のキャラを持つプレイヤーも、きっちり範囲を絞っている。


自分の伴侶。


自分のペア。


そこだけを支援している。


知っていたのだ。


マキト以外は。


これはラグオダ経験者にとって、常識に近い仕様なのだろう。


自分だけが知らない。


「まずいな」


マキトは、ようやく本格的に焦りを自覚した。


バフ仕様すら分かっていなかった。


そして、レイドの正しい稼ぎ方も分からない。


そもそも、何が出てくるのか。


どんな戦い方が基本になるのか。


どこまでが危険で、どこからが稼ぎどころなのか。


それすら分からない。


このまま正面から参加して、本当に逆転できるのか。


マキトは急いでスマートフォンを操作した。


検索欄を開く。


ラグオダ。


世界災害レイド。


貢献度。


攻略。


打ち込む。


検索する。


画面は動かない。


読み込み中の表示だけが、虚しく回る。


しばらく待って、通信エラーの文字が出た。


インターネットは、もう使い物にならない。


「……最悪だな」


近くのプレイヤーに聞くことも考えた。


だが、すぐに捨てる。


こんな状況で、他人に勝ち筋を教える奴はいない。


聞いたところで、嘘を掴まされるか、邪魔者として警戒されるだけだ。


そもそも、全員がランキングを争っている。


同じレイドに参加していても、本当の意味で味方ではない。


分からない。


聞けない。


調べられない。


完全に詰みかけている。


マキトは、広場を見回した。


そこで、考えを切り替える。


自分が分からないなら、分かる奴を見ればいい。


最初の目的は、あくまで観察だった。


レイドが始まっても、すぐには突っ込まない。


まず周囲を見る。


誰がどう動くのか。


どの行動が得点になるのか。


経験者たちが何を狙うのか。


それを見てから、自分たちも途中参加する。


自分が知らない以上、知っている奴の動きを盗むしかない。


それくらいしか、今のマキトにはできなかった。


広場のざわめきが、一瞬だけ変わった。


誰かが空を見上げた。


その隣も。


さらにその隣も。


何千人もの視線が、連鎖するように上へ向いていく。


マキトもつられて顔を上げた。


黒い巨体が、東京駅の上空へ現れる。


同時にスマートフォンが震えた。


《黎明を喰らうもの》


「あれか」


マキトが怪物を見ていたのは、ほんの数秒だった。


すぐに視線を下へ戻す。


怪物を眺めていても、自分には答えが出ない。


直後。


広場を埋めていたプレイヤーたちが、一斉に動き出した。


前へ走る者。


その場で詠唱を始める者。


何かを待つように動かない者。


仲間と声を掛け合いながら位置を変える者。


逆に、怪物から少しでも離れようとする者。


シエルが大剣を構える。


「旦那さま」


「まだ行くな」


「承知しました」


マキトは怪物ではなく、人間たちの動きを追った。


何も分からない奴ほど、出てきた敵へ真っ先に食いつく。


逆に、慣れているように見える奴ほど急がない。


周囲を見る。


他人を先に行かせる。


攻撃が集中した場所から、わざと外れている者までいる。


ゲームのことは知らない。


だが、人間なら少しは分かる。


焦っている奴。


迷っている奴。


自信がある奴。


何かを待っている奴。


それくらいなら見分けられる。


やがて、前へ出ようとする集団と、後ろへ逃げようとする集団がぶつかった。


人の流れが崩れる。


その中で、小柄な伴侶が押されて転んだ。


武器らしい武器すら持っていない。


別の伴侶が腕を引いて立たせようとするが、その背後へ影の獣が迫っている。


戦える者ばかりではない。


それだけは、マキトにも分かった。


そして、それを見たシエルの身体がわずかに前へ出た。


「旦那さま、あちらを――」


マキトは短く止める。


「今は駄目だ」


シエルの足が止まる。


「ですが」


「俺たちが今動けば、巻き込まれる。助けたところで、次に来るのを止められない」


シエルは唇を結んだ。


助けたい。


だが、動けば自分たちも潰れる。


シエルも、それは分かっている。


「……はい」


納得ではない。


我慢だった。


マキトはその横顔を見て、少しだけ息苦しくなる。


シエルの甘さは面倒だ。


だが、その甘さが完全になくなったら、それはそれで違う気がする。


だから、今は見ないふりをした。


見るべきものは別にある。


戦場の中で、一組のペアが目に入った。


白と青の鎧をまとった女。


ひびの入った神剣。


冷たい表情。


だが、戦闘に入った瞬間だけ、瞳の奥に異様な熱が宿る。


その隣にいる男は、女を迷いなく使っていた。


無駄に前へ出さない。


長く殴り合わない。


誰かが作った隙だけを拾う。


他人が削った雑魚へ、最後だけ火力を落とす。


強い集団がボスの攻撃を受け止めている間に、高得点らしい部位だけを斬る。


明らかに、他と違う。


動きが派手なわけではない。


むしろ、いやらしい。


危ない仕事は他人にやらせる。


おいしいところだけ拾う。


消耗を抑えながら、必要な瞬間だけキャラを前に出す。


マキトは目を細めた。


あいつは分かっている。


少なくとも、その辺のプレイヤーよりずっとレイドを理解している。


最初は、その動きを真似ようとした。


どこで攻撃するのか。


何を狙っているのか。


いつスキルを使わせるのか。


それを見れば、途中からでも稼げるかもしれない。


だが、すぐに気づく。


遅い。


今から真似ても、遅すぎる。


知識がない状態で途中参加しても、あの男と同じ精度では動けない。


似たような場所へシエルを向かわせても、タイミングがズレれば消耗するだけだ。


シエルを無駄に傷つけることになる。


その瞬間、発想が変わった。


レイドで稼ぐ必要はない。


レイドで稼いだ奴を、終わった直後に狙えばいい。


「……なるほどな」


シエルが隣で小さく反応する。


「旦那さま?」


「方針変更だ。ボスは追わない」


「では?」


「あの二人を見失うな」


シエルの視線が、マキトの見ている先を追う。


シエルは一瞬だけ迷った。


レイドボスではなく、人を見る。


負傷者ではなく、勝った者を追う。


シエルにとって、気持ちのいい判断ではない。


それでも、今ここでは必要だと理解したのだろう。


「……承知しました」


マキトは足元の影にだけ聞こえるように言った。


「メルシー。まだ出るな。最後まで待て」


影は答えない。


だが、わずかに揺れた。


それから先、マキトはほとんどボスを見ていなかった。


視線の先にいるのは、あの二人だけだ。


戦場のあちこちで何かが爆発する。


歓声が上がる。


悲鳴も聞こえる。


巨大な何かが地面を叩いたらしく、足元まで振動した。


それでも目を逸らさない。


やがて、広場中の声が一段大きくなった。


何かが起きる。


マキトにも、それくらいは分かった。


先ほどまで動かなかったプレイヤーたちまで前へ出始める。


どうやら終盤らしい。


その時だった。


男が白と青の女へ何かを叫ぶ。


女の神剣が、これまでとは比べものにならないほど強く輝いた。


「シエル」


「はい」


「よく見とけ」


白と青の女が地面を蹴った。


その先に何があったのか。


どこへ剣を振ったのか。


マキトには分からない。


ただ、あれだけ温存していた力を、最後に全部吐き出したことだけは分かった。


直後。


腹に響くような轟音がした。


広場が揺れる。


誰かが叫んだ。


別の場所から歓声が上がる。


そこでようやく、マキトはボスの方を見た。


すでに巨体は崩れ始めていた。


終わったらしい。


だが、マキトが確認したかったのはそちらではない。


すぐに視線を戻す。


白と青の女は、神剣を地面についていた。


肩が大きく上下している。


剣を握る腕にも、はっきり震えがある。


その隣の男も無傷ではない。


それでも、周囲の誰より落ち着いていた。


そして。


男はスマートフォンを見なかった。


結果を確認しようとする者たちの間を抜け、人混みから離れ始める。


マキトの目が細くなる。


マキトはその後を追った。


マップではない。


通知でもない。


ランキング表示でもない。


レイド中の動き。


レイド後の逃げ方。


結果を見る場所の選び方。


その全部で判断した。


あの男の動きが一番だったと。


人気のない路地裏に入る。


白と青の女を連れた男が、そこでようやくスマートフォンを見る。


表情が変わった。


一瞬だけ、勝ち誇った顔をしていた。


それだけで十分だった。


マキトは路地の入口を塞ぐ位置に立つ。


「派手に稼いだな」


男が振り向く。


白と青の女が神剣を構えようとした。


だが、その腕は震えている。


レイドでの疲労と消耗だろう。


最後に最大火力を使い切った反動。


全部が残っている。


それでも、強い。


マキトは直感した。


シエル一人では危ない。


それは分かっていた。


だが、ここで引けば圏外のままだ。


こいつを逃せば、もう逆転の目はない。


マキトはスマートフォンを操作した。


《バトル申請中……》


男が叫びかけた。


「待――」


画面が切り替わる。


《バトル申請を受諾しました》


逃がさない。


マキトは静かに言った。


「賭けにはなったが、どうやら勝ったらしい」


だが、簡単な勝負ではなかった。


男も、白と青の女も、最後まで諦めなかった。


レイドで傷を負い、消耗している。


神剣も砕けかけている。


それでも、想像以上に粘った。


最初は、シエル一人で押し切れると思っていた。


だが、女は手負いでも強かった。


男の指示も速く、転送まで耐える判断に迷いがなかった。


このままでは危ない。


そう判断して、マキトはメルシーを出した。


メルシーの奇襲が成功し、ようやく天秤が傾いた。


白と青の女は、それでも折れなかった。


膝をついても、神剣を支えにして立ち上がろうとしていた。


だが、男は限界を悟った。


しばらくスマートフォンを睨んだ後、歯を食いしばって画面を押した。


《バトル終了》


《相手プレイヤーが降参しました》


《ポイントを獲得しました》


勝った。


だが、マキトは喜べなかった。


シエル一人では勝てなかった。


メルシーを使って、ようやく勝った。


もし相手が万全だったなら。


レイド直後でなかったなら。


たぶん、二人掛かりでも負けていた。


男は悔しそうにマキトを睨む。


「二体持ってて、その程度かよ」


マキトは目を細める。


男は吐き捨てるように続けた。


「そいつらの性能、全然使いこなせてないじゃないか」


マキトは否定しなかった。


「まあな」


男の目には、まだ火が残っていた。


負けた。


だが、折れてはいない。


「次は絶対負けねえ」


マキトはスマートフォンをしまいながら返す。


「次があればな」


男の顔が歪む。


けれど、それ以上は何も言わなかった。


マキトは男に背を向け、路地の奥へ歩き出した。


再転送まで、まだ少しだけ時間がある。


マキトはランキングを確認する。


さっきまで圏外だった順位が、一気に跳ね上がっていた。


表示を見て、思考が止まる。


一位。


「……は?」


思わず声が漏れた。


想定以上だった。


レイドボスの貢献度がうまかったのか。


それとも、あの男が元から大量にポイントを持っていたのか。


どちらかは分からない。


ただ、結果だけは分かる。


マキトは一位になっていた。


喜びはある。


昨日、焦りながら明日のレイドに賭けるしかなかった。


圏外。


ポイント不足。


失敗すれば終わり。


そこから、一気に一位まで戻ってきた。


普通なら、笑ってもいい場面だ。


だが、安心はできない。


一位になった。


つまり今度は、自分が狙われる側だ。


位置情報は消えている。


居場所までは分からない。


それでも、安全とは言えない。


集計終了まで、まだ時間があった。


そして、再転送の時間が来る。


マキトはスマートフォンを伏せた。


「浮かれるのは後だ。戻った後が面倒だぞ」


シエルは傷を押さえながら頷く。


「はい、旦那さま」


足元の影から、メルシーの声が聞こえた。


「はいはい。せっかく勝ったのに、忙しいことね」


「忙しい方がマシだ」


「何それ」


「安心してる時が一番危ない」


メルシーは少しだけ黙った。


それから、面白くなさそうに言う。


「そういうところ、ほんと嫌な世界よね」


しばらく歩くと再転送が始まり、白い光が、視界を塗り潰した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。