第6話「初めての上級鬼 ― 絶望の力 ―」
村の広場。
総司たちの前に現れた二体の鬼。
一体は先ほど総司と戦っていた下級鬼。
そしてもう一体は、黒い着物をまとった鬼だった。
額には紫色の紋章が刻まれている。
「五鬼衆直属……上級鬼か。」
神崎蓮が刀を構える。
鬼は口元を歪めた。
「自己紹介くらいしてやろう。」
「俺の名は骸。」
「五鬼衆第五席様に仕える鬼だ。」
総司は骸を睨みつける。
「美月を連れ去った鬼を知っているのか?」
骸は一瞬だけ笑みを浮かべた。
「さあな。」
「だが、お前の妹は鬼王様にとって特別な存在らしい。」
「……!」
総司が飛び出そうとする。
「待て!」
相馬隊長が総司の前に立つ。
「挑発に乗るな!」
⸻
骸は両手を広げる。
「まずは、お前たちの実力を見せてもらおう。」
すると下級鬼が雄叫びを上げ、一斉に襲いかかってきた。
「隼人! 左を頼む!」
「任せろ!」
隼人の槍が鬼の腹を貫く。
零奈は高台へ駆け上がり、矢を放つ。
「そこ!」
一本の矢が鬼の目を射抜いた。
「ギャアアア!」
蓮は無駄のない剣筋で鬼を斬り伏せていく。
「遅い。」
総司も双剣を振るい、鬼を次々と倒していく。
しかし――。
「終わりか?」
骸が静かにつぶやいた瞬間、倒れた鬼たちの体が黒い霧に包まれた。
「なっ……!」
切り落とされた腕や首が再生し始める。
「そんな……。」
新人隊士たちの表情が青ざめる。
⸻
骸は笑う。
「俺の能力は『鬼血術・再生霧』。」
「周囲の鬼の再生力を極限まで高める。」
「何度でも立ち上がるぞ。」
「これが……上級鬼。」
総司は歯を食いしばる。
⸻
一人の新人隊士が恐怖に耐えきれず、逃げ出した。
「助けてくれ!」
しかし、その瞬間。
骸の姿が消えた。
「え?」
次の瞬間、新人隊士の胸を鋭い爪が貫いていた。
「がはっ……。」
新人隊士はその場に倒れる。
総司たちは息をのんだ。
「これが実戦だ。」
骸は冷たく言い放つ。
「迷えば死ぬ。」
⸻
怒りに震えた総司が飛び出す。
「よくも!」
双剣を振るい、一気に距離を詰める。
「双剣術・双牙連斬!」
連続攻撃が骸を襲う。
しかし――。
カキィン!
骸は素手で二本の刀を受け止めた。
「力が軽い。」
腹を蹴り飛ばされる総司。
「ぐあっ!」
地面を転がる。
「総司!」
隼人が駆け寄る。
蓮も前へ出る。
「四人で囲むぞ!」
総司は立ち上がり、刀を握り直した。
「まだ終わってない……!」
⸻
その様子を少し離れた森の中から見つめる一人の男がいた。
滅鬼団最強の八人――
双剣特務隊長・蒼月刃。
「……面白い。」
総司の双剣を見つめながら静かにつぶやく。
「あの少年には、双剣の才能がある。」
「だが今は、まだ未熟だ。」
⸻
骸はゆっくりと腕を組む。
「そろそろ遊びは終わりだ。」
黒い瘴気が体から溢れ出す。
「お前たち全員、ここで死ね。」
圧倒的な殺気が村を包み込んだ。
第6話 完




