第5話「初任務 ― 鬼の潜む村 ―」
滅鬼団入隊から一週間。
第一討伐隊の隊舎。
朝。
新人隊士たちは訓練場に集められていた。
「今日から、お前たちには実戦任務に出てもらう」
第一討伐隊隊長――相馬剣一。
その言葉に新人たちの空気が変わる。
「実戦……」
黒田隼人が槍を握る。
「ついに鬼退治か」
水城零奈は弓の確認をする。
神崎蓮は静かに刀を抜いた。
しかし――
総司だけは別のことを考えていた。
(鬼……)
(5年前、俺から美月を奪った存在)
(今度は俺が奪う側になる)
⸻
相馬隊長が任務書を広げる。
「任務地は山間部にある小さな村」
「村人が10人以上行方不明になっている」
「鬼の仕業と判断した」
新人たちがざわつく。
「初任務で鬼討伐……」
「危険じゃないのか?」
相馬は厳しい表情で言う。
「だから第一討伐隊が行く」
「お前たちは戦いを経験しろ」
⸻
任務へ向かう隊員。
総司。
蓮。
隼人。
零奈。
そして数名の新人隊士と相馬隊長。
村へ向かう途中。
隼人が総司に話しかける。
「なあ総司」
「お前、なんで滅鬼団に入ったんだ?」
総司は少し黙る。
「……妹を鬼に奪われた」
隼人の表情が変わる。
「そうだったのか」
「だから俺は、必ず取り戻す」
蓮が前を向いたまま言う。
「復讐か」
総司を見る。
「復讐だけでは鬼には勝てない」
総司は蓮を見る。
「じゃあ、お前は何のために戦う?」
蓮は少し間を置く。
「……」
「人間を守るためだ」
⸻
夕方。
目的の村へ到着する。
しかし――
静かすぎた。
「誰もいない……」
零奈が周囲を見る。
「おかしい」
「村には生活の跡がある」
「つい最近まで人がいた」
総司は刀を握る。
「いる」
「何かいる」
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その瞬間。
背後から声が響いた。
「よく来たな……」
全員が振り返る。
そこには――
一人の男が立っていた。
見た目は人間。
しかし。
赤い瞳。
鋭い牙。
鬼だった。
「新人の滅鬼団か」
「まだ子供じゃないか」
隼人が槍を構える。
「鬼……!」
鬼は笑う。
「安心しろ」
「俺は弱い鬼ではない」
「お前たちが初めて戦うには、少し荷が重いぞ」
⸻
総司が前へ出る。
「お前……」
鬼を見る。
「人間を襲ったのか」
鬼は笑う。
「当然だ」
「俺たちは鬼だ」
「人間を喰らう存在だ」
その言葉を聞いた瞬間。
総司の脳裏に5年前の光景が蘇る。
燃える村。
倒れる両親。
連れ去られる美月。
「……許さない」
総司の殺気が変わる。
⸻
鬼が襲いかかる。
「来い、人間!」
巨大な腕が振り下ろされる。
しかし――
総司は止まらない。
「双剣術――」
左右の刀を構える。
「月牙斬!!」
斬撃が鬼の腕を切り裂く。
鬼が驚く。
「なに……?」
「新人の動きじゃない……」
⸻
しかし。
鬼の傷が再生する。
「残念だったな」
「鬼は簡単には倒せない」
総司は鬼を睨む。
「なら……」
「倒れるまで斬るだけだ」
⸻
その時。
鬼の背後からさらに強い気配が現れる。
零奈の顔色が変わる。
「……嘘」
「もう一体いる」
木の上。
そこには――
黒い着物を着た鬼。
額には特殊な紋章。
「新人相手に遊ぶな」
黒い着物を着た鬼が言った。
⸻
総司たちは知らなかった。
この初任務が――
上級鬼との最初の戦いになることを。




