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滅鬼伝  作者: ヒガンバナ
第2章「新人隊士・初陣編」
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第25話「狩場」

白霧村全体に、黒い手が広がっていた。


家の壁。


地面。


屋根。


至るところから黒い影が伸び、総司たちへ襲いかかる。


「くそっ!」


隼人が槍を振る。


迫ってきた黒い手を弾き飛ばした。


「斬っても斬っても増えてくるぞ!」


蓮も刀を振り、黒い手を斬り払う。


零奈は周囲を見渡しながら、黒い手の動きを追っていた。


「待って」


「どうした?」


「黒い手が全部、村の奥へ向かってる」


総司も視線を向ける。


黒い手は地面や建物から伸びながら、まるで何かに引き寄せられるように村の奥へ集まっていた。


その先にあるのは、古びた神社。


「……あそこか」


総司が神社を見る。


「鬼の力が集まってる」


「なら、あそこへ行けば本体がいるかもしれないな」


蓮が刀を構える。


「行こう!」


四人は神社へ向かって走り出した。


その瞬間。


総司の足元から黒い手が伸びた。


「!」


総司が飛び退く。


直後、頭上から爪が振り下ろされる。


ガキン!


総司が双剣で受け止めた。


鬼が一瞬だけ姿を現していた。


「見つけたぞ」


鬼が笑う。


「お前から食ってやる」


「そう簡単にいくか!」


総司が二本の刀を振る。


「双牙!」


鬼は攻撃をかわし、再び姿を消した。


総司は周囲を警戒する。


「来るぞ」


隼人が槍を構える。


「分かってる!」


四人は互いに距離を取り、周囲を見渡した。


次の瞬間。


黒い影が隼人の足元から飛び出す。


「隼人!」


総司が踏み込む。


二本の刀が鬼の爪を受け止めた。


ガキィン!


「させるか!」


鬼が力を込める。


しかし総司は踏みとどまった。


「今だ!」


蓮が横から斬り込む。


鬼が身を翻す。


そこへ零奈の矢が飛んだ。


「逃がさない!」


矢が鬼の肩を貫く。


「グアッ!」


鬼が後退する。


隼人も槍を構え直した。


「今度は俺だ!」


槍が鬼の胸元へ迫る。


しかし鬼は身体をひねり、攻撃をかわした。


「ちっ!」


鬼は再び姿を消す。


総司は神社へ視線を向けた。


黒い影が地面を伝い、神社へ集まっている。


「やっぱり、あそこだ」


「鬼の力の中心がある」


零奈が頷く。


「急ごう!」


四人は一気に神社へ走った。


鳥居を抜ける。


黒い手が次々と襲いかかる。


「邪魔だ!」


総司が双剣を振る。


「双連斬!」


二本の刃が黒い手をまとめて斬り払う。


隼人も槍を振り回す。


「俺も道を作る!」


蓮が続き、零奈は後方から迫る黒い手を射抜いていく。


ようやく境内へ入った。


そこには、古びた井戸があった。


零奈が足を止める。


「……ここ」


「どうした?」


「この井戸から、強い鬼の気配がする」


総司が井戸を覗き込む。


暗くて底は見えない。


だが、その奥から確かな殺気が漂っている。


「下にいる」


その瞬間。


井戸の中から声が響いた。


「よく来たな」


黒い影が井戸の中からゆっくりと這い上がってくる。


先ほどの鬼だった。


しかし、先ほどとは明らかに様子が違う。


身体中に黒い紋様が浮かび上がっている。


「ここが俺の本当の狩場だ」


鬼が笑う。


「この場所なら、俺の力は最大になる」


総司は双剣を構え直した。


「だったら、ここで終わらせる」


「新人隊士ごときが?」


鬼が爪を構える。


「俺を倒せると思うな」


神社の周囲から、再び無数の黒い手が伸び始める。


四人はそれぞれ武器を構えた。


逃げ場はない。


ここで倒すしかない。


総司は鬼を睨みつけた。


「行くぞ!」


第25話 完

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