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滅鬼伝  作者: ヒガンバナ
第1章「鬼襲来・滅鬼団入隊編」
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第14話「双剣特務隊長・蒼月刃」

滅鬼団本部への襲撃から翌日。


訓練場。


総司は一人、双剣を振っていた。


「はあっ!」


一振り。


二振り。


三振り。


しかし――


「遅い。」


背後から声がする。


総司が振り返る。


蒼月刃が立っていた。


滅鬼団最強の八人。


双剣特務隊長。


「蒼月さん……。」


「昨日の戦いを見ていた。」


蒼月は総司の双剣を見る。


「お前は強くなろうとしている。」


「だが、焦りすぎだ。」



総司は刀を握り直す。


「俺には時間がありません。」


「美月を助けないといけない。」


蒼月は黙って総司を見る。


「……妹を取り戻すためなら、命を捨てる覚悟があるか?」


「あります。」


即答だった。


「ならば――」


蒼月が木刀を構える。


「俺を倒してみろ。」


総司の目が見開く。


「……え?」


「一撃でも俺に当てられたら認めてやる。」


総司は双剣を構える。


「お願いします!」



「始め。」


一瞬だった。


蒼月の姿が消える。


「!」


総司の肩に木刀が当たる。


「遅い。」


総司が振り返る。


今度は横から。


「ぐっ!」


腹に一撃。


さらに背中。


「くっ……!」


何度攻撃しても届かない。


蒼月は総司の動きを全て読んでいた。


「お前は右手の剣に頼りすぎている。」


「左手が遅れている。」


総司は息を切らす。


「……だったら!」


両手の剣を握り直す。


「もう一度!」



総司が踏み込む。


右。


左。


交互に攻撃する。


蒼月は全て受け流す。


「まだだ。」


総司はさらに速度を上げる。


「双剣術――!」


左右の剣を同時に振る。


蒼月は一歩下がる。


「……!」


総司の刃が初めて蒼月の袖をかすめた。


蒼月が目を細める。


「今のは悪くない。」


総司は息を切らしながら笑う。


「当たりました……!」


「袖だけだ。」


「それでも……!」


蒼月は木刀を下ろす。


「合格だ。」


「え?」


「お前には双剣士としての才能がある。」


総司は驚く。



蒼月は総司の前に立つ。


「だが、才能だけでは鬼には勝てない。」


「だから、これから覚えろ。」


「双剣は二本の剣で戦う技じゃない。」


「二本の剣を、一つの意志で動かす。」


総司は真剣に聞く。


「一つの意志……。」


「ああ。」


蒼月は総司の肩を叩く。


「お前ならできる。」



その頃。


第一討伐隊の隊舎。


隼人、蓮、零奈が集まっていた。


「総司、まだ訓練してんのか?」


「朝からずっと。」


零奈が答える。


蓮は窓の外を見る。


「……あいつは強くなる。」


隼人が笑う。


「お前も負けられないな。」


「当然だ。」



そこへ相馬隊長が入ってくる。


「全員、聞け。」


三人が振り返る。


「明日、任務を受ける。」


「任務地は――」


相馬が地図を広げる。


「西部の廃村。」


「鬼の集団が潜伏している可能性がある。」


蓮が尋ねる。


「規模は?」


「まだ分からん。」


「だが、今回は総司たち新人だけではない。」


「複数の隊が合同で動く。」



総司が訓練場から戻ってくる。


「次の任務ですか?」


「ああ。」


相馬が答える。


総司は双剣を見つめる。


「……分かりました。」


蒼月が遠くから総司を見ていた。


「早本総司、忘れるな。」


「お前の戦いは、まだ始まったばかりだ。」


と呟いた。



その夜。


鬼王城。


五鬼衆の集会。


黒神羅が玉座に座っている。


「滅鬼団の新人たちが力をつけ始めたようだな。」


五鬼衆の一人が笑う。


「ならば、次の戦いで潰しましょう。」


黒神羅は首を横に振る。


「まだ早い。」


「彼らには、もっと強くなってもらう。」


「強くなればなるほど――」


黒神羅は笑う。


「絶望も大きくなる。」



そして翌朝。


第一討伐隊の隊旗が掲げられた。


総司たちは出発する。


西部の廃村へ。


そこで待っているものが――


新人隊士たちの運命を大きく変えることになる。



第14話 完

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