第13話「襲撃」
ゴォォォン――!
滅鬼団本部に、緊急鐘が鳴り響く。
隊士たちが一斉に廊下へ飛び出していく。
「鬼が本部へ向かっている!」
「数は!?」
「分かりません! 少なくとも数十体!」
総司は双剣を腰に差す。
「本部が襲われるなんて……」
隼人が槍を握る。
「鬼の奴ら、何を考えてやがる?」
零奈は目を閉じる。
「……まだ遠い。」
「でも、すごい数。」
蓮が刀を抜く。
「来るぞ。」
⸻
本部の正門。
見張りの隊士たちが警戒している。
遠くの森から、無数の影が現れた。
「来たぞ!」
「構えろ!」
鬼の群れが一斉に走り出す。
「グオオオオオ!!」
門へ殺到する。
「放て!」
弓隊の矢が雨のように降り注ぐ。
鬼が次々と倒れる。
しかし――
「まだ来るぞ!」
「数が多すぎる!」
倒された鬼を踏み越え、さらに鬼が迫ってくる。
⸻
「新人は中へ下がれ!」
相馬が叫ぶ。
しかし総司は動かなかった。
「俺も戦います!」
「命令だ!」
「でも――」
相馬が総司を見る。
「ここは戦場だ。」
「自分が何を守るべきか考えろ。」
総司は周囲を見る。
負傷した隊士。
怯える新人。
そして本部へ逃げ込もうとする鬼。
「……分かりました。」
総司は双剣を抜いた。
「なら、ここを守ります。」
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総司たちは正門付近に残り、侵入してくる鬼を迎え撃つ。
「来い!」
総司が一体の鬼を斬る。
「双剣術――双牙!」
隼人が横から槍を突き出す。
「おらぁ!」
零奈の矢が鬼の足を射抜く。
蓮が首を斬り落とす。
「連携が良くなってきたな。」
隼人が笑う。
「だろ?」
「まだ余裕があるのか。」
「ない!」
「なら黙って戦え。」
「お前、相変わらず冷たいな!」
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その時。
空気が変わった。
零奈が突然立ち止まる。
「……待って。」
「どうした?」
「鬼が……止まった。」
総司たちが前を見る。
鬼の群れが一斉に後退していく。
「撤退?」
隼人が首を傾げる。
すると――
森の奥から、一人の鬼が歩いてきた。
他の鬼とは明らかに違う。
黒い外套。
長い角。
そして――
胸元に刻まれた五つの紋章。
総司の表情が変わる。
「……五鬼衆?」
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鬼は足を止める。
「早本総司。」
総司が目を見開く。
「……俺を知ってるのか?」
鬼は笑う。
「もちろんだ。」
「お前の父親も知っている。」
総司の目つきが変わる。
「父さんを……?」
「そうだ。」
鬼はゆっくりと刀を抜く。
「お前の父親は、俺たち鬼にとって邪魔な存在だった。」
「そして――」
「その息子であるお前もな。」
⸻
総司が飛び出す。
「父さんのことを知ってるなら――!」
「全部話せ!」
双剣が振り下ろされる。
しかし。
ガキィン!
鬼の刀一本で止められた。
「……!」
総司の腕が震える。
「この程度か。」
鬼は総司を弾き飛ばす。
「ぐっ!」
地面を転がる総司。
隼人が駆け寄る。
「総司!」
「大丈夫だ!」
総司は立ち上がる。
鬼は笑っていた。
「まだ戦うか。」
「当然だ!」
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鬼が構える。
「ならば教えてやろう。」
「お前の父親が最後に残したものを。」
総司の目が鋭くなる。
「何を……?」
鬼が一歩踏み込む。
その瞬間――
「そこまでだ。」
相馬が二人の間へ入った。
刀を抜く。
「新人に手を出すな。」
鬼は相馬を見る。
「第一討伐隊隊長……相馬剣一。」
「お前とは戦いたくない。」
鬼が後退する。
「今日の目的は達成した。」
「目的?」
相馬が睨む。
鬼は総司を見る。
「早本総司。」
「次に会う時までに強くなっておけ。」
「でなければ――」
「妹には二度と会えない。」
総司の顔から血の気が引く。
「美月を知っているのか!」
鬼は答えない。
そのまま森の闇へ消えていった。
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静寂。
総司は拳を握り締める。
「……美月。」
隼人が隣に立つ。
「総司。」
「絶対に取り戻そうぜ。」
総司は隼人を見る。
「……ああ。」
蓮も刀を納める。
「そのためにも、強くなるしかない。」
零奈が頷く。
「私たちも協力する。」
総司は三人を見る。
そして――
初めて、少しだけ笑った。
「ありがとう。」
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滅鬼団本部。
今回の襲撃で、多数の鬼を撃退。
しかし、敵の正体は謎のままだった。
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第13話 完




