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滅鬼伝  作者: ヒガンバナ
第1章「鬼襲来・滅鬼団入隊編」
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第10話「地下牢の死闘」

北の山村。


地下牢。


総司、隼人、零奈の前に立ちはだかる巨大な鬼。


その圧倒的な体格に、地下牢全体が震えていた。


「こいつ……」


隼人が槍を構える。


「今までの鬼とは違うぞ。」


鬼は笑う。


「俺の名は岩鬼・玄蔵。」


「人間を潰すことだけを楽しみにしている。」



玄蔵が拳を握る。


次の瞬間――


ドォン!!


拳が地面を砕いた。


衝撃波が走る。


「危ない!」


零奈が叫ぶ。


総司たちは左右へ飛び退く。


「力だけなら、上級鬼並み……。」


総司は冷静に分析する。


しかし――


「俺がやる。」


隼人が前へ出た。


「俺が時間を稼ぐ!」


「隼人!」


「村人を守るんだろ?」


隼人は笑う。


「なら、俺が盾になる!」



隼人の槍と玄蔵の拳がぶつかる。


ガキィィン!!


「重い……!」


槍が押し込まれる。


玄蔵が笑う。


「その細い棒で俺を止めるつもりか?」


「違う。」


隼人は踏ん張る。


「これは仲間を守る槍だ!」



その頃。


総司は周囲を見る。


村人たちはまだ逃げられていない。


玄蔵を倒さなければ全員助からない。


「零奈。」


「分かってる。」


零奈は弓を構える。


「鬼の弱点を探す。」


矢を放つ。


玄蔵の肩に命中。


しかし――


矢が弾かれる。


「硬すぎる……。」



玄蔵が隼人を吹き飛ばす。


「ぐあっ!」


壁に叩きつけられる隼人。


「隼人!」


総司が駆け寄ろうとする。


しかし玄蔵が立ちはだかる。


「次はお前だ。」



総司は双剣を構える。


5年前。


鬼に何もできなかった自分。


父を守れなかった自分。


美月を救えなかった自分。


その記憶が蘇る。


「……もう二度と」


「誰も奪わせない。」


総司の目つきが変わる。



玄蔵が突進する。


「死ね!」


巨大な拳。


総司は真正面から向かう。


「双剣術――」


右の刀で拳を受け流す。


左の刀で斬撃。


「双牙!」


しかし――


浅い。


玄蔵の傷はすぐ塞がる。


「無駄だ!」



その時。


零奈が叫ぶ。


「総司!」


「首の後ろ!」


「そこだけ再生が遅い!」


総司は気づく。


玄蔵の力の秘密。


体の硬化を維持するため、首元だけ弱点になっている。



玄蔵が再び拳を振るう。


総司は走る。


「俺は……」


「ここで止まれない!」


ギリギリで攻撃を避ける。


壁を蹴る。


空中へ跳ぶ。


「双剣術――」


二本の刀を逆手に持つ。


「月影・双天斬!!」



ズバァァン!!


二つの斬撃が交差する。


玄蔵の首元に深い傷が入る。


「な……」


「俺の硬化が……」


玄蔵の体が崩れていく。


「新人のくせに……」


「面白い……。」


灰となって消える。



静寂が戻る。


村人たちから歓声が上がる。


「助かった……!」


隼人は痛みに耐えながら笑う。


「やったな、総司。」


零奈も微笑む。


「あなたの双剣……少しだけ認める。」


総司は刀を見る。


「まだだ。」


「まだ俺は弱い。」



その頃。


村の外。


相馬と蓮も二体の鬼を討伐していた。


しかし相馬の表情は険しい。


「妙だな。」


蓮が聞く。


「何がですか?」


「この村の襲撃。」


相馬は鬼の死体を見る。


「ただの鬼の縄張り争いじゃない。」


「誰かが指示している。」



その夜。


山の上。


五鬼衆第五席の鬼が静かに立っていた。


「なるほど。」


「早本総司……。」


「少しは楽しめそうだ。」


鬼は刀を抜く。


「次は直接、試してみるか。」



第10話 完

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