四竜
あー疲れた。
この技結構大変なんだよな。
その上今回は威力を調整したから神経も使ったし。
まあ爽快感があるからたまには良いんだけど
さて、雑魚は倒したし残すは魔王だけかな。
と思っていたら、突如四方向から強大なブレスが迫ってきた。
速い。躱そうとはせず、防御の態勢を取って衝撃に備えた。
――ォォオオオオオンッ!!
俺を中心に爆発が起こり、轟音が鳴り響く。
「やったか?なんて見当違いな事は言うなよ」
「ちっ、頑丈な人間だぜ」
視界が晴れると人型の竜が四体、俺を取り囲んでいた。
今まで戦った雑魚とは違って、それなりに強い事が肌で伝わってくる。
つーかこいつ等、普通に人語を話せるんだな。
「我はデュラガ様直属の兵士、『四竜』の一角、炎帝のファルガ」
正面にいる赤い体色でゴツゴツした竜が唐突に自己紹介を始めやがった。
これは黙って聞いていた方がいいな。問答無用で攻撃するのは野暮だよね。
「同じく『四竜』、俺は雷帝イザークだ」
黄色で体型がスマート、そして竜の中でも中々にハンサムだ。
いけすかねーな、こいつからはチャラ男のオーラがプンプンするぜ。
「同じく『四竜』、氷帝のブリーゼ。どうせすぐに殺すけど、よろしくね」
白色で声が女性っぽい。雌なのか、竜なのに神秘的な美しさを兼ね備えていた。
「同じく『四竜』……風帝ボルボフ……」
最後の竜は鉄色で、やけにずんぐりむっくりだな。しかし四体の中で一番身体が大きい。
それと、何処と無くコミュ障なのは気のせいだろうか。
「てか四竜って……」
四天王かなにかですか。
「おいクソ人間、よくも俺達の同胞をやってくれたな。この代償は高くつくぜ」
「左様。人間よ、名を名乗るがいい。貴様は我等が骨ごと焼き尽くしてくれるわ」
イザークってチャラ竜とファルガって竜が怒りを露わにしながらそう告げてくる。
俺はふりふりと手を振って、
「いや、お前等程度に名乗る必要ねぇし。そういうのいいから早くさっさとかかって来いよ」
「んだとコラァ! 人間風情が調子に乗ってんじゃねえぞ!」
軽く煽ってみたら、早速一匹釣れた。
イザークはバチバチと帯電すると、俺に向かって突進してくる。速度が予想よりも上回っていたので、躱す事を諦め受け流した。
「ハッハァ!よく見切ったなぁ、マグレだろうがやるじゃねえか。だが俺の速さは雷光を凌ぐ、次はねえぞ!」
「お前がな」
「え?ぐぁあああああ?!!」
奴の背後に回り、首を鷲掴む。左腕を取り反対方向に折り曲げ、骨を折った。
叫び声が煩かったので、折った腕を掴んで海に投げ飛ばす。
「馬鹿が、舐めてかかるから失態を犯すのだ」
「三人同時に仕掛けるわよ」
「……!!」
俺がただの人間ではないとようやく理解したのか、残る三体が一斉に強襲。
三方向から強烈な拳撃、蹴撃のラッシュを放ってくる。
「何だ……と……ッ」
「どうして当たらないのよ?!」
「……!」
だが俺は全ての攻撃を紙一重で躱し、受け流していた。
手の数は多いが、防ぎきれない程ではない。どれ、反撃に転じるか。
「だりゃぁぁああ!!」
裏拳でファルガの頬を打ち抜く。
ブリーゼを蹴飛ばし、ボルボフの脇腹にボディーブローをかました。
「うご……」
「よくも……私を蹴ったわね!」
「うぐ……」
俺の打撃を喰らって怯む四竜。
あれ、そういや一人足りねえなーと思っていたら、イザークが戻り様に不意打ちしてきたので、顔面を殴打しておいた。
執拗に顔を狙ったことに他意はない。
「ぐ……ぉぉ。く、クソがァァアアア!!」
キレてるキレてる。つーかお前、折った腕もう治ってんじゃん。竜の回復力凄まじぃな。
「同時ブレスで潰すぞ」
「分かったわ」
「焼き殺してやるッ!」
「……!」
ファルガが合図を出すと、四竜がそれぞれ口腔に魔力を充填した。
多分ブレスだろう。なら俺も体内に力を溜め込むとするか。
『カァーーーーーーッ!!』
炎、氷、雷、風の吐息が四方から迫ってくるので、俺は溜めていた力を一気に解放した。
「はぁあッ!!」
その瞬間、全てのブレスが爆散した。無論俺は無傷である。
「馬鹿な……魔力を解放しただけで我等のブレスを掻き消しただと」
「この人間、出鱈目過ぎるわよ!」
「もう駄目だ、本気でぶっ殺してやる!」
「待てイザーク、竜化はデュラガ様の許可無しでしてはいけない!」
「んなもん知るかよ! この舐めた野郎をぶっ殺せばいいんだろーが!!」
ん? まだ本気を出してなかったのか。道理で歯応えが無えと思ってたんだよな。
勿体ぶってないで変身でも何でもしてくれよ。
様子を窺っていたら、なんだか仲間割れが始まりそうな空気になってきた。
おいおい、お前等の相手は俺でしょーが、無視しないでよ。
「この人間の相手は私がする。お前達はシルヴィア共和国を殲滅しろ」
「「デュ、デュラガ様!?」」
「むむ」
突如現れた竜人。
四竜よりも一回り大きく、肉体は金剛。体は黒く、瞳は赤く鋭い。
何より、その身から溢れて出る圧力プレッシャーが強者のソレだ。
およ……ようやく本命のお出ましか。
「そんな、大将……この人間は俺に殺らせてくれよ!」
「イザーク、私の命令が聞けんのか」
「――!? わ、分かったよ」
魔王がギラッとひと睨みすると、イザークは素直に引き下がった。
「では行け」
「「はっ!」」
「いやいや、行かさねーから」
俺の横を通過した四竜を追いかけようとすると、魔王が立ち塞がった。
「邪魔なんだが」
「お前の相手は私だ。それとも逃げるのか?」
「言ってくれんじゃないの。だったらすぐにぶっ殺して追いかけてやるよ」
お互いに構えると、魔王が静かに口をひらいた。
「私は竜を統べる王であり、最後の魔王デュラガ。異世界の勇者よ、お前とは是非闘ってみたかった。三体の魔王を倒した実力、私に見せてみろ!!」




