学園長
「学園長はどうしてアトラティウスに?」
「どうしてって言われてもねぇ、仕事よ仕事。数日前に来てね、一通り終わったから帰ろうとした所で、知ってる顔がいたから声をかけたのよ。二人は?」
「実は今――」
システィスが俺達の置かれている状況を学園長とやら説明している間に、こっちはカタリナを捕まえて学園長がどういう人なのか聞いておく。
「なぁ、あの非常に色っぽい女性は誰なの?」
「アンタ本当に知らないの? あの人の名前はアシェリー。魔法学園の学園長であり、元大貴族、更には世界で四人しかいない特級冒険者の一人、めちゃくちゃスゴイ人なのよ。学園長の名前を知らない人なんて世界中探しても極僅かだわ」
「へ……へぇー」
(学園長に元大貴族に特級冒険者……元大貴族ってのが引っかかるが、半端ねぇ肩書きだな)
というか、これでついに俺は世界に四人しかいない特級冒険者の全員と出逢った事になるな。結構凄いんじゃねーのか?
どうせならスタンプカードみたいの作ってサインでも貰っておけば良かったわ。絶対高値で売れるだろ。
彼女を本当に尊敬しているのか、カタリナの学園長語りが一向に止まる気配が無いし、凄まじい程に早口になっている。正直ウザったかった。
何だお前、学園長のファンかよ。
俺は興奮して語ってくるカタリナを無視して、横目で学園長を覗き見る。
(ありゃやべーな)
アシェリーさんは色んな意味でやばかった。
そんな彼女を一言で表すなら『妖艶』が相応しいだろう。
学園長は兎に角色っぽい。
妖しく輝くピンク色の長髪。しかしピンクといっても、セレナのような淡い桜色とは違って、彼女の髪色は赤に近い濃いピンクだ。
目は切れ長で、瞳の色は黄金。スッと鼻が高く、厚い唇はしっとり濡れている。
紫色のドレスに包まれた肉体カラダは完璧としか言いようがない。
形良く、大きすぎない巨乳。腹は引っ込んでいて、お尻は満月のような曲線を描いている。足はスラッとしていてメタクソ長い。
彼女の身体はやばい。全身から強烈な色香が漂っている。男なら目を奪われてしまうだろう。
もしすれ違ったら、十人中十人が振り返る。これは例えとかではなく、ガチな話だ。それ程の存在感オーラを放っているのだ。存在感なら、あの帝国女帝であるエリザさんと同格。
「ねぇ、ちゃんと聞いてるの?」
「ああ、うん。聞いてる聞いてる」
ずっと学園長を見て惚けていたら、カタリナが怪訝そうに文句を言ってくるので適当に生返事をしておいた。
と、その間にシスティスの説明を聞き終えた学園長が近づいてくる。
「事情は分かったわ、二人を守ってくれてありがとう。えーと……」
「平太です」
「セレナですぅ」
「私はアシェリー、あの子達の先生よ。ん? 待って、ヘイタにセレナ? 最近どこかで知った名前のような……」
俺達の名前に疑念を抱いたのか、学園長がずいっと顔を寄せてきて凝視してくる。
近い、近いって。
にしてもこの人、改めて間近で直視するとマジで綺麗だな。
「黒髪の冴えない顔のヘイタに、桃色の髪にどこはかとなく鈍臭そうなセレナ……。もしかしてあなた達、リオンとエリザの知り合いだったりする?」
「それって、ベルン王国のリオン王女と帝国女帝のエリザさんですか?」
「そう、それそれ! やっぱりあなた達だったのね、そんな気がしたのよ!」
「あの、学園長さんは私達の事をご存知なのですか?」
「ええそうよ。あの二人とは友達でね、つい最近手紙を送られてきたのよ」
「手紙?」
すかさず問うと、「ええ」と彼女は頷いて、
「『魔王を倒した勇者ともし会ったら、力を貸してやって欲しい』って内容の手紙をね」
……王女様とエリザさんは、俺達の為にそんな事をしてくれたのか、ありがてぇな。
「さて、色々詳しい話しを聞かせて貰いたいけど、こんな所で立ち話もなんだしね。行きましょうか」
「行くって……何処にですか?」
「私の船よ。あなた達も共和国に行きたいのよね? 私は戻ろうとしていたし、ついでに乗せてあげるわ。あ、勿論馬も大丈夫よ」
「ははっ、それは何だか願ったり叶ったりだな。こっちの方こそお願いします。いいよな、セレナ」
「勿論ですぅ」
「話しが早くて助かるわ。じゃあ行きましょうか」
という事で、俺達は学園長の船にお供させてもらう事になった。
おいシスティスにカタリナ、ぼうっとした顔してると置いてっちまうぞ。




