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スラ太郎の力





「死んでるかなって心配したけど、ちゃんと生きてたな」

「はは……やだなぁ平太さん、女神を勝手に殺さないで下さいよぉ」

「悪い悪い」


 邪神の分身体をぶっ飛ばした後、気配を探ってセレナ達の元へと向かう。

 俺が言った通り、ポチはかなり遠くへ逃げてくれたみたいだった。


 発見した時、セレナは草の上で横たわっており、息が荒く苦しそうで。けど、穿れた胸は塞がり元通りになっており、生きている事が確認出来て一先ず安心した。


 実は内心ヒヤヒヤしてたんだよな……。


 私は不死身なんですぅと言っていたが本当かどうか分かんなかったし。

 見た所怪我は治っていそうだが、体調悪そうだし。


「多分、邪気が体の中に残っているからだと思います」

「そっか、んじゃあ回復するまで休んでから行こうぜ」

「いえ、邪神が現れたという事は、復活までもう時間が迫っているんです。なのに、女神である私が休んでいられません」

「……」


 俺を見つめるセレナの瞳が、いつになく真剣で力強かった。多分この眼は、どう説得したって譲らないつもりだろう。


 うーんうーんと唸りながら考え、目一杯考えた後、俺は長いため息をはいた。


「分かった……セレナが大丈夫って言うんなら、行こう」

「……ありがとうございます。平太さんなら分かってくれると思ってましたよぉ」

「その……悪かった」

「何がですか?」


 突然謝られてキョトンとしているセレナに、俺は自分の失態を伝える。


「俺が邪神に気づいていれば、お前がこんな目に合わずにすんだんだ」

「何言ってるんですかぁ。こんな所に邪神が現れるなんて誰も予想出来せんよ。だから決して、平太さんの所為ではありません」

「……けどよ」


 俺が納得できねぇんだよ。

 だって俺は、危うくお前を失っちまう所だったんだ。自分の無能さに腹が立つ。


「それに、平太さんはやっぱり凄いです。今ここにいるという事は、平太さんは邪神を退けたのですよね?」

「あ、ああ。分身体だったけどな」

「それでもやっぱり凄いです……だって相手は邪神ですよ?神様ですよ?遥か昔、勇者達が力を振り絞っても封印しか出来なかった邪神に、分身体といはいえたった一人で倒してしまうなんて。ふふ……平太さんを見つけた女神わたしの目に狂いは無かったですね」


「……ああ、そうだな」


「あなたのお陰で私は安心しました。希望を持てました。平太さんは何も悪くありません、だからそんな申し訳なさそうな、辛そうな顔をしないで下さいよ……」


「……分かった」


 セレナお前、死ぬのか?

 いつものお前らしくねぇっていうか、さっきから死亡フラグらしき台詞をバンバン量産してるんだけど。

 この後超死にそうな雰囲気になってんだけど。


 まぁ大丈夫だよな、こいつ不死身だし。


「ブル」

「ポチ、セレナを運んでくれてありがとな。お前がいてくれてマジで助かった」

「ブルッ」←当たり前だろ、お前も良くやったな、という目。


「スラ太郎もサンキューな。セレナを守ってくれて……てお前、どうしてそんな真っ黒なんだよ」

「ぽよよ」


 スラ太郎を褒めようと撫でてやろうとしたら、すんげー真っ黒になっていた。いつの間にダークスライムに進化したんだお前。


 ビヨヨヨーンとスラ太郎が体を伸ばしたり必至にジェスチャーで何かを伝えようとしてくるが、全く分からん。

 駄目だ、まだスライム語は習得してないんだよ。


 困っていると、スラ太郎の意思が理解できるセレナが代わりに説明してくれた。


「推測なんですけど、スラ太郎は私の体の中に残っている邪気を吸い取ってくれたんだと思います」

「だからこんなに真っ黒くろすけみたいになってんの?」

「はい……推測の域ですけど」


……へー。


……いや待て、スライムってそんな事できんの?

 それに邪気を吸い取ったって言ったけど、それって邪神から出た悪い気なんだよな。


 たかがスライムでもスラ太郎は歴とした魔物だし、邪気を吸収したんなら闇落ちっつーか暴走とかの危険性はあるんじゃないのか?


 そう危惧していたら、セレナはたははと苦笑いし、問題ないですよと断言してくる。


「私も不安でしたけど、スラ太郎は闇に染まるどころか吸収した邪気を浄化してるんですよ」

「えっマジ?スライムってそんな便利な能力とかあんの?」

「マジです……それとスライムにはそんな能力は備わってません。私だってビックリしたんですから」


 スラ太郎お前……本当にスライムなのか?

 何か無性に怖くなってきたんだけど。


 やべ、急に背筋が冷えてきたわ。


 普通のスライムから未知のスライムにランクアップしたスラ太郎に慄く。


「ぽよ?」



……うん、可愛いから何でもいいや。



「んじゃま、ゆっくりと行きますか」

「はい」

「ブル」

「ぽよ」


 とんでもねぇ奴に邪魔されたが、俺達は歩を緩めて、ようやく水の都へと再出発するのであった。

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