そりゃ揉むよね
「という事で、どうだ?」
「いや、どうだって訊かれてもな」
無理なもんは無理だし。
中々諦めないエリザさんに、俺は異世界人でいずれ帰るから、結婚は出来ないとハッキリ告げる。すると彼女は、間髪入れずにぶっ飛んだ返答を返してきた。
「なら子種を寄こせ」
「ぶっ!!?」
何ふざけた事言ってんだこの女っ!? 頭おかしいんじゃねえのか!?
「て、ていうか、エリザさんなら男なんて引く手数多でしょ。強いし美人だし、加えて女帝だし。選り取り見取りじゃないんですか?」
「そうでもないさ。私は実の父親を殺しているからな、そんな女の夫になりたい奴は少ない。それに、いたとしても地位が欲しいだけで、私への愛など一欠片もないさ。それどころか、結婚直後に殺されてしまうかもしれん」
うわ、何それ生々しいんだけど……。
俺が政治事情の裏側を聴いてドン引きしていると、エリザさんは続けて、
「というか、私は自分より強い男しか結婚する気などない」
「いや無理でしょ」
あんたより強い男なんていねえだろ。この人いい歳している割には夢見がちな事言ってんな。全然似合わないんだけど。
「だからだ。赤子の手をひねるかの如く私に勝ったヘイタならば、私の夫にふさわしいのだ。まあ、本人にその気が無いならば、今は保留にしておこう」
保留なのかよ……さっさと諦めてくんねえかな。
「……はぁ」
まあいいや、あんまりこの話を長引かせると言質を取られそうだから、話しを変えよう。
俺はずっと気になっていた事をエリザさんに尋ねてみた。
「なあ、ミリィを攫った奴等って誰なんだ」
「…………」
「一応聞いておきたいんだよね、話しにくい事かもしれないけど、こっちは当事者だし、聞く権利はあると思う。それに俺、ミリィを攫った連中をぶっ飛ばしてるし」
「……ピエールだ。勝負する前に、ミリィの無事を確認しに来た奴がいただろう? あいつの仕業だよ」
あちゃーやっぱりか。あのデブ、あからさまだったもんなぁ。
にしても、ミリィを攫った犯人がデブだと分かっているのに、何故処罰しないのだろうか。俺の疑問に、エリザさんはこう答えた。
「それは出来ない。まず、ピエールが命じたという確実な証拠がない。お前の部下がミリィを攫ったのだと追及しても、知らんの一言で容易に逃れられてしまう。奴は狡猾で、絶対に尻尾を掴ませる事はしない」
さらに、とエリザさんは続けて、
「奴は政治関係の手腕が高く、父の右腕でもあった。奴は優秀で、父の時代から帝国を繁栄させてきている。実質、帝国の政権は奴が握っていると言っても過言ではないのだ。王冠を被って間もない私よりも、ピエールの方が実績が高い為、無理矢理排除する訳にもいかない。奴を消すのは簡単だが、それをしたら貴族達が黙っていないし、反乱が起きてしまう」
だから、
「手を出したくても、今のところ指を咥える事しか出来ない状況だ」
「ままならないもんですね」
「全くだ。ピエールが直接動いてくれれば、どうにか出来ん事もないんだがな」
エリザさんはそう言うと、疲れたように長い息を吐き出す。その表情は、己の力不足を嘆いているようだった。
王様なのに、まるで中間管理職みたいだな。
「まあ俺には関係無いんで、良い未来になる事を祈ってますよ」
「他人事だな」
「他人なんで」
「ふっ、まあいい。話しを聞いて貰っただけで助かった。そろそろ出るか、アルメリアも待っているしな」
ザバっと湯から立ち上がり、風呂場を出ようとするエリザさんに、俺はマッタを唱える。
「ん? どうした?」
「何とぼけているんですか? 約束は守って貰いますからね」
「約束って……まさかお前、本当に私の胸を揉むつもりか!?」
当たり前だろーが、揉むに決まってんじゃん。こちとら風呂に入ってから、今か今かと待ち侘びていたんだぞ。逃げるなんて許さねーからな。
俺は驚愕しているエリザさんに、両手をワキワキさせながら迫る。
「さあ、たっっっぷり揉ませて貰いますよ」
「ま、待てッ!! 嫁入り前の、というか女帝のカラダに触れるという事がどういう事か分かってい――ゥゥゥゥゥンンンッ!!!」
その後めちゃくちゃ揉みました。
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