留守番
〜フィーナ 視点〜
ハルたちに文字を教えてもらって、数日がたった。家にいる間はほとんど文字の練習をしていたおかげでひらがなとカタカナについては大分覚えれたと思う。
「今日は全員でかけるから、フィオたちだけで留守番頼むね」
リュウの言葉にハッとする。そう、今日はリュウもタクもユキもハルも皆用事があって出かけるらしい。といっても日が落ちる前にはタクが戻れるらしいんだけど。
「はい、大丈夫です」
ここに来てもう数日がたってるし、大丈夫。ユキたちの言葉だと2週間?家事の手伝いで少しは慣れたと思う。
「ま、ずっと家に居る必要はないからな。適当に散歩でもしてくればいいし」
「そうね。近くの公園ならルイ君もエリーちゃんも楽しんでるし」
ルイとエリーはユキやハルに連れて行ってもらって近くの公園で友達と遊んでる。私が連れて行った事はないから、3人で出かけてもいいかな。
「でもぉ、練習はやらないとダメよぉ」
「は、はい…」
なんとか五十音表に書かれてあった文字は覚える事は出来たんだけど、追加で覚えるように言われた、特に『ばびぶべぼ』や『ぱぴぷぺぽ』に関しては文字が似すぎていて未だに覚えられない。
「そこら辺は頑張って。じゃあ行ってくる」
リュウたち4人を見送って部屋で遊んでいたルイとエリーに何をするか聞きにいく。
「今日は何して遊びたい?」
「「公園!!」」
二人が元気よく返事する。向こうでは同じ年頃の友達と遊ぶ事はなかったのだけど、こっちに来てからは友達と遊べて本当に楽しそう。
「それじゃぁいつもの時間に公園に行きましょう」
“時間”もこの数日間に教えてもらった事の1つ。今の時間ぐらいなら問題なく分かるようになった。
ユキやハルに連れられて行く時間が昼ご飯を食べた後だったから、今日もそれぐらいの時間に公園に行くとして。それまで文字でも練習してよう。
昼の間はルイもエリーも家で遊び、昼ご飯を食べて公園に向かう。
今日の昼ご飯はわたしだけで作ってみた。手の込んだ料理は作れないから、ソーセージを焼いて厚焼き卵を作ったぐらいだけど。
「公園でいつもなにしてるの?」
「キョウ君とトール君と遊んでる」
「アズサちゃんとレイちゃんとユウちゃんと遊んでるよ」
2人に何をして遊んでいるのか聞きながら公園に向かうと既に3組の親子が居た。
「あ!トール君だ」
「レイちゃん。ユウちゃん」
ルイとエリーが友達に向かって走って行ったのをみて、子供を見つめながら、見守りながら?話している親の元へと向かう。
「こんにちは。ルイとエリーの母親のフィーナです。いつも子供たちがお世話になっています」
わたしが母親だと名乗ると驚いてこちらに振り返った。
「春香ちゃんや由希ちゃんから話は聞いてたけど。本当にこんなに若いなんて」
「確かに。しかし苦労する事も多いだろう」
「そうね。辛い事だったり聞きたい事があれば遠慮なく言ってね」
こちらの世界の人はどうしてこんなに優しい人が多いのだろう。
「ありがとうございます。ハルやユキには凄く助けられています。それに、ルイもエリーも初めて友達が出来て本当に楽しそう」
「若いと言ってもしっかりとした母親だな。昨今の若いのとは大違いだ」
「ええ本当に。うちの子も保育園以外で友達が出来て楽しそうだわ。ルイ君とエリーちゃんはどこの小学校にいくの?」
どこの小学校?よく分からないけど、学校ってそんなに沢山あるものなのかな?
「わたしはこちらの事はよくわかっていないんですけど、多分ここから一番近い所になると思います」
「もしかしたら一緒の学校に通う事になるかもしれないわね」
そんな話をしながら。子供について。というより、育児について楽しく話して。そろそろ帰る時間になった。
「ルイ、エリー。帰るわよ」
「「えーもうちょっと」」
案の上まだ遊びたいと駄々をこねるルイとエリーだけど。これ以上遅くなるとタクが帰ってくる時間に間に合わなくなる。
「ダメ。ほらちゃんと挨拶しなさい」
「…うん、またねトール君」
「またねレイちゃんユウちゃん」
家に帰る途中まだ気落ちしているルイとエリーに嬉しい情報を教えてあげる。
「そういえば、トール君もレイちゃんもユウちゃんも同じ学校に行けるみたいよ。そしたら毎日あそべるみたい」
「「ほんと!?学校に行きたい」」
2人の意気の合った返事に少し笑いながらも、学校に通わないという選択肢はないんだろうな。と思っていた。だってハルが絶対に通わなくては行けないと言っていたんだし。
「きっと行けるわ。それよりもほら、家に着いたわよ」
「「ただいま!」」
「帰って来たら手を洗うんでしょ?ほら」
ルイとエリーを手洗いに向かわせ付いていこうとすると、
TRUUUUUU、TRUUUUUU …………
玄関に置いてある物からいきなり音がでた。電話と言うらしいのだけど、わたしは触った事がない。大抵の場合、リュウが出ている。
とはいえその行動は見ているから。好奇心も手伝い手に取ってみる。
「もしもし、私、東和教材の者ですが……………」




