第五話 俺の前ではすでに有力!!
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こんな感じだな。今の状況は(笑)
土日を挟んで月曜日の昼、俺は俊哉と共に学食にいた。
先日は賀川もいてかなりの騒動になったのにもかかわらず俺は俊哉を誘って昼を共にした。
今朝も学校に来るなり知り合い、ほぼ同学年同クラスの奴らからいたたまれるような目で見られる始末だった。
会話は途切れ途切れ聞こえるんだけれど想像すれば大体の事は分かる。
俊哉にも気にするなと言われてもさすがの周りからの視線は気になる。
こんな視線はつい最近までもう慣れているようなものだった。
何故ならすぐ傍に鈴川蘭がいたからだ。けれどその鈴川は今日もいない。
そして俺の至る所をつかれる視線も男子だけではなく、女子にまで及ぶようになったのは分かるはずがない。
もう暴動が起きそうなくらいでホント学校へ来るのが憂鬱だった。
こんなに悲痛になるほどの事なんてしたくはないのに。
そんなことで今も食事中にいろんなところからそんなような視線が俺の体に突き刺さるのだった。
「ホント悪いな」
いつもはテンションが高い俊哉も今日に限ってはなんだか落ち着いていて俺はしっくりこない。
「お前が謝る理由なんてねえよ」
そもそもあれは正統派答えのぶつかり合いに過ぎない。喧嘩なんて向こうは思っているかもしれないけれど俺にとっては喧嘩なんて思いもしない。
俊哉でも彼女である賀川とそんなに口論はしたことないだろう。
「でも最近おかしいよな。お前等」
「どこがだよ」
おかしいのはどう見ても周りの奴らだろ。
もう人の前を歩くのは嫌なんだけれど。
今日一日背中に視線が感じたことがない時なんて一時もなかった。
「だって蓮司は蓮司で鈴川と話さないし色々と周りの奴らともぎくしゃくしているようだしホントどうしたんだよ」
「鈴川とはこの前話したよ」
とは言っても軽くで話した内に入るかどうか分からないけれど。
「でも獅子堂が来てからいろいろと怒っているよね」
確かに・・・・・・・・・獅子堂が来てからいろいろなことが起きている。
けれどそれが獅子堂のせいになんて言う根拠はあるのか?
あいるはあいつで俺に勝負を挑むようなことを言っているわけだし。
何が何だか本当にわからなくなってきた。
鈴川もあれから俺を避けているし俺も鈴川を避けているし。
賀川なんて尚更だ。
廊下ですれ違った時のあの顔と行ったら・・・・・・
極悪非道の何物でもない。
「きっとバレンタインが近いからカリカリしているんだろ?放っておいたらそのうち治ると思うけれどな」
「そうだったらお前ら最初からめいいっぱい喧嘩してるだろ」
「確かにそうだな」
バレンタインだからカリカリするなんて言う事はまずあり得ないな。あいつらの料理スキルならチョコなんて多少失敗しても迷わず俊哉とかに渡すだろ。
でもそうして考えていくと本当にわからない。
「まあ、そんな話は置いておいて」
おいてもいいんだ。その話は。
「新たなランキング情報を更新してきた」
そういってファイルから書類を取り出す。
紙は数枚しか入っていないけれどこいつにとってはそれなりの得なのかもしれない。
けれど俺はそんな奴の戦利品など見てもうれしくとも何ともない。
だって背中に感じられる殺意の視線がもうすぐそこまで来そうだから怖い。
薬うった覚えなんてないのになぁ。
「バレンタインで男子が選んだ女子からチョコを渡し欲しい人ランキング?」
どうみて空想の世界に入ってねえか?
あくまでランキングだろ。どっからどう見ても人気投票だろ?
ああ、いったいどこからそんな情報を手に入れてくるのやら。
「今回は今回で凄かったぞ」
「前回の投票の比較とかしていないから俺は何がすごかったのかその基準性が分からない」
そもそも投票する必要があるのかよ。
俺は投票していないんだけれどこれはこれでいいのかよ。
すっかり省かれているんだけれどいいか。別に俺が首を突っ込むようことじゃねえし。
「一位は鈴川蘭、漆原悠乃亜。二位は賀川利華と春富瑠奈」
「なんだよ。順位変動なんて大したことじゃねえじゃん」
「それはそうなんだけど鈴川の投票数が半端じぇねえんだよ。正直漆原前会長が圧倒的かと思ったんだけれどまさか・・・・蓮司との破局の噂がすでに学校中に知れ渡って・・・・・」
んなことあるわけねえだろ。
ぶっちゃけいうと俺は漆原会長というやらの人の顔は一度も拝んだことがない。
ってか集会の時とかほとんど寝てるし。
「でもお前の彼女もぬかりねえよな。全然変わんねえじゃん」
「こうやって自分の彼女が周りから人気を集めているだけで俺の彼女はこれだけ可愛いんだっていう事が自慢できてるからいいんだよな」
あくまでお前が人気者じゃねえんだから優越感に浸っていてもしょうがないだろ。
「でもいくら男子があこがれの女の子からチョコを貰ったと考えても単なる空想上の物っていう悲しい現実なんだけれどな」
現実も何もないだろ。
大体なんでわざわざ競争率の高い女子を好きになるのか俺には分からない。
それだけ好きとなればわからなくもないけれどいくらなんでも自由すぎる。
男には男のプライドが。なんて言う人も中に入るだろう。
ばかばかしい。んなもん単なる虚実以外の何でもねえ。
「しかしこれをランク付けする企画を持ち出すお前もお前だよな」
「は?こんなん俺が企画していると思っていんの?」
じゃあ誰が企画していると思っているんだよ。
俺は今の今まで俊哉が企画して開催しているものかと思ってたぞ。
コーヒー牛乳のパックで弄びながらおれは俊哉の顔をまじまじと見る。
「あー、その事なら情報委員の委員長に言ってくれ。俺その人から情報買ってるから」
買ってるってようおい。
金銭じゃなかったら問題にならないけれど金銭だったら尚更だぞ。
それにしても・・・・・この学校に情報委員なんてあったっけ?
生徒会の方は大体把握できているけれど情報委員なんてものは聞いたことない。
まず、生徒手帳を見返してもそんなこと書いてあるような記憶はない。
ああ、職権乱用。でもないか。
「にしても情報委員てなんだよ」
「名前の通りだよ。学校内、あるいは外の情報をかき集めてスクープにする委員会。生徒会の方では裏の委員会と称されているよ」
「そんな委員会非公式であっていいのかよ」
だいたい会長に見つかったら即終わるぞ。
いくら漆原会長の次と言ってもそれなりの秩序は持っているいるに違いない。
「ちなみに情報委員は会長公認の委員会だから排除されることはないよ」
あ、そうなんですか。
色々と職権乱用しすぎなんじゃねえのか。うちの元会長。
「ちなみに逆versionもあるぞ」
聞きたくねえ。
「一位がまさかの・・・・・・・獅子堂。二位が加賀架、三位がお前」
「なんで俺が入っているんだよ」
「案外お前のところ狙っている女子いるらしいぞ。だからチョコいっぱい来るんじゃねえのか?」
嬉しくもない朗報だ。
俺が三位に入っている時点で殺人予告みたいなものだ。
つまりは俺がランクインしている時点で死は確定と。
ああ、嬉しくも微塵に思えねえよ。
「にしても獅子堂が一位にランクインは予想していたけれど二位とこんなに差をつけていたとは」
「あいつもあいつで顔もいいからな」
「ほう、お前が人を褒めるなんて珍しいじゃん」
「ただ称賛の言葉を言っているだけだ」
「素直じゃねえな」
どうせ素直じゃねえよ。
そんなことを思いながら俺はコーヒー牛乳を勢い良く吸い込む。
ほんのり甘くて苦い味が俺の口の中を駆け巡る。
ため息を吐きたくなるほど今疲れている。
みんなそうだと思うけれどこれはかなり着ている。
またクリスマスの時みたいに倒れるまでたっていようとは思わねえ。
せめて風邪程度で済んでほしいんだけれど。
「とまあ、こちとら色々とあるわけだそっちのそっちなりで頑張ってくれよ」
頑張れと言っても俺もどうしようもないのだ。
◇
今まで忘れていたけれどあれからコンビニのバイトの方は週に四日といったシフトで行くことにした。
店長にあれからこっぴどく怒られる始末であり俺も俺で少しは自重することにした。
でもその時の給料がかなり上がったのは俺の錯覚ですか?
本格的にバイトに復帰したのは先週あたりから。
どうやら矢幡さんとかいろいろな人は俺のことをかなり心配したらしい。
うむ、迷惑かけ多分何か恩恵の意を示さなきゃ。
という事で現在位置コンビニ。
後ろの扉から入って俺は事務室へと行く。
事務室には矢幡さんと店長がいた。
にしても店長、真冬にアロハシャツはないでしょ?
「あ、瀬原君。久しぶり」
「お久しぶり・・・・・っていっても三日ぶりですけれどね」
ぼさぼさの髪にどこからどう見て普通の学生に見えるその人は俺の最初のバイトの先輩である矢幡幸平さんである。
「お二人は今休憩中なんですか?」
「ちょっと喉が渇いたから生ビールを飲んでた」
「俺はカルピス飲んでる」
「店長、矢幡さんがカルピス飲んでいるのはいいとして勤務時間中に酒を飲むと上層部に言いつけますよ」
「そんな事する権力は君にあるのかね!!」
「ないです」
「きっぱり!!」
ないす矢幡さん。これでドン引きされずに済みました。
なんてことをやっていてもしょうがない、俺は仕事へと出た。
レジの方は早見さんがやっているし客もそこまでいないから大丈夫そうだ。
あとは陳列棚のところが足りないのかな。
待てよ?矢幡さんが休憩中じゃん。で、店長は元から働かないどうしようもない人だからいいとして、あと早見さんがレジに。
となればこの時間帯のシフトにいる人といったら・・・・・・
「あれ、瀬原君じゃん」
ひょっこり顔を出してきたのは何処にでもいそうな高校生。
こんな童顔見たことないだろと思うけれどこれでも立派な大学生だ。
そして立派な・・・・・・
「やっぱりヒーローは遅れてやってくるものなんだな。しかしわが黒炎の左腕の前では貴様の能力は既に無力!!」
「すいません、先輩の言っている意味が理解できません。というか理解したくないです。もっと普通に喋ってください」
「しょうがねえなぁ。じゃあわが黒竜の力の前では貴様の能力は既に有力!!」
「字を変えただけですよね?そうですよね?しかも有力になっていますよ。無力じゃなきゃ効果発揮した意味ないですよ!!」
「もうめんどくさいからいいや」
でた、最後の諦め。
もうこの人の中二病にはついてこれない。
というかついてきたくない。
この人は四十川竜士。自分のところを竜の申し子と思っているらしい。
所謂中二病だ。しかも極度の重症。
とりあえず店員全員追いつけているんだけれどどうしても俺は突っ込みは入れたくなる。
完全に俺は遊ばれてないか?
「とりあえず人生は何事も挑戦が肝心だ。頑張れよ」
「・・・・・はい?」
いきなりそんなこと言われてもどうしようもないですけれど・・・・・・
とりあえず今後どうしようか俺は手を動かしながら考えるのであった。
さて、アットノベルスでサマーウォーズを更新するとしますか




