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俺はお嬢様が恋をしたことに気付いていない  作者: 海原羅絃
第5章 バレンタインと元彼とお嬢様
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第四話 食い違い

 俺は小学校五年生あたりまで恋愛。というか誰かを好きになるなんて言う気持ちは持っていなかった。

 当然クラスの女子たちとは話したり遊んだりすることはしていた。

 しかし恋愛感情というのは芽生えてこなかった。

 みんな小学校の低学年あたりだとまだ異性をお友達として扱っている人もいるはず。

 でも小学校五年生夜六年生となっていくと異性をそういう目で見てはいられない人もいる。

 そうなればもう恋したのも同然の事だ。

 今の小学生は余程の事でない限り『一目惚れ』というものはないだろう。

 だって俺もそういう事がないし周りのやつらもそういう経験はない。

 だいたい今の女子など『一目惚れ』っていうとアイドルグループの誰々君がチョーかっこいい!!とかミーハーな女子がそういうものに出くわしている。

 男子はそう言うときは妙な嫉妬心が芽生えて来るっていうのは男子なりのハビット?なのかもしれない。

 そんな話はさておき、話を戻すと俺は恋愛感情を持ち出したのは小学校六年生の時。

 その子は綺麗な黒髪で突然俺の前に姿を現した。

 同じ剣道チームで年齢が一つ上の人たちに集団で殴られ、剣で叩かれるなどよくありがちな喧嘩でない喧嘩が勃発した。

 三対一でなんて勝てるわけないと分かっていたはずなのに俺は必死に対抗した。

 けれど喧嘩の流れで俺は右目をしないで突かれ、極度の視力過失となった。

 そんな殴られてばかりいる俺の眼の前にその女の子が現れたのだ。

 正直あの時はびっくりした。だって女の子人いで男三人に勝てるはずないのに。

 しかし勝ってしまったのだ。あっさりと。

 なんでと聞きたかった。どうしたらあんな風に軽々と三人を圧倒できるのだろうか。

 竹刀なんて引いていない。すべて避けで勝っている。

 そんな姿に俺は驚愕することしかできなかった。

 華麗な身の翻しに反射神経といった女の子としてはありえなさすぎる運動神経だった。

 俺の前で上級生三人が逃げていく。

 その時泣狂う三人を視界にとらえれる事は出きず、その女の事を見ている事しかできなかった。

 憧れに感謝の気持ち。

 「君、大丈夫?」

 女の子が俺に手を差し伸べて来たのも覚えている。

 なんだなんだ、この心臓の鼓動は。

 これがみんなが言っている・・・・・・・異性を好きになる”恋”というものなのか?

 とりあえずわからなかった。けれど唯一覚えているのが、あの女の子がどれだけ綺麗な顔をしていて、どれけひたむきな子なのか。

 道着からして隣の体育館でやっている剣道チームだった。

 顔もしばしば見せるようにはしていた。だって彼女がどれだけの反射神経を兼ね備えていて、どれだけの剣道の技術を身に着けているのか。

 俺としてはもっと知りたかった人だった。

 だけれど・・・・・・・・神はそう言って人の願いをたやすく乗らせてもらう訳ではなかった。 

 ある日を境に彼女はどこかへ引っ越してしまったらしい。

 親がかなり有名な人だったらしく、いわば家庭の事情という奴らしい。

 それから・・・・・・・小学校の六年生のあれ以降、俺は”恋”をしなかったのだ。

 中学へ入っては、見苦しいリア充どもの存在を目の当たりにして一時期は恋愛アンチのような類になっていた。

 そのおかげなのか、中学校三年間では誰も好きにならずに高校へと進学していった。

 今は今でかなり大変な毎日であることには変わらないのであった。







 

 一月もそろそろ終わりに差し掛かる日の昼休み、俺は俊哉と共に学食へと来ていた。

 学食の方もバレンタイン一色で特定のランチを買えばチョコがついてくるだとか。

 そう言うのもいいのだけれどカップルで食堂へ来たら学食半額など非リア充の人たちにとっては暴動が起こりそうなイベントは正直ひかえてほしい。

 と言っても俺の眼の前にいる二人の人物はそれをやりのけてしまったけれど。

 「お、このエビフライ美味しいぞ」

 「俊君。私の作るエビフライよりおいしいの?」

 など、馬鹿な会話じみたことをしている馬鹿なカップルがそこにいた。

 賀川が俊哉と付き合ってこんな性格になるとは思ってもいなかった。

 前のクールな性格は何処へ行ったんだよ。なんでそんなデレデレするような性格になっているんだよ。

 ったく、こいつらときたら俺を読んだらこの始末かよ。

 嫌がらせか?嫌がらせなんだな?

 そんな眼差しを送っているのにも拘らず飯をがつがつ食う俊哉が何かと憎たらしい。

 つい数か月前まで非リア充だったやつのオーラとは思えねえよ。

 なんてことを心の中でぶつぶつ唱えていたら俊哉がぴくっと反応して俺の方を見た。

 「なんだよ」

 「なんだよはこっちのセリフだよ。俺を呼んだのはお前だろ?賀川も共犯者だろ!?」

 やはりこいつは抹殺する手だでが必要なのかもしれない。

 どうみても僕たちのいちゃいちゃを見てくださいって言っているようなものだ。

 「ああ、そういえばそうだった」

 手をポンとうって、椅子に立てかけていたカバンから書類みたいなものを引っ張り出して机の上にばらまいた。

 食後のお茶をしながら俺はその資料に目を通す。

 「なんだ、やっぱり獅子堂の息子だったんかよ」

 あのときはほとんどが適当だった記憶がある。

 でも獅子堂と聞けば関西圏では有名な財閥グループだ。

 そして鈴川の鈴川グループ。

 万が一、万が一その財閥間の関係で何らかの成立があったとしたら・・・・・・・・・・

 考えればそれは十分あり得る話だ。

 「これはネットで獅子堂グループについて調べた。獅子堂玲音本人の情報はまだ少ないな。なにせ、あいつは関西の学校から来たんだからな」

 「関西っていうと大阪か?」

 「福岡の方にお友達がいるって言ってたから福岡から来たんじゃないの?」

 賀川がフォローを入れるんだけれどその場合、関西じゃなくて九州じゃないのか?

 「さすがの俊哉でも九州あたりの情報を集めるのも無理だよな」

 いくらSNSサイトを利用したところでどこまで情報が膨れ上がるのか。下手をすれば、沖縄まで行ってしまう。

 「いや、その点では大丈夫だ」

 「なんでだよ」

 「ツイッターとかツイッターとか、ツイッターとか」 

 「全部ツイッター!?」

 「ちなみにアカウントを乗っ取りますよ」

 「法的なところで触れてるぞ!!」

 まさかお前が天才引きこもりクラッカーだったなんて。

 ・・・・なわけあるか。

 「なんかいろんなSNSでアカウントを立ち上げているらしいぞ。クラスのやつらが言ってた」

 持参してきたコーヒー牛乳をストローを伝って飲んでいく。

 SNSサイトでかぁ。

 俺がばれないようにそいつに接触すれば何かとうまくいく気がするんだけれど。

 「悪いけど成りすましはかえって危険リスクが高いぞ。パソコンの方でもかなり優秀なプログラミングができるらしいから一回でも接触して怪しまれた瞬間もう終わりだぞ」

 ご忠告どうも。もうやらないと決めました。

 「となればお前の伝手で如何にかならないのか?」

 「やれない事もないな。けれど得られる情報はそれなりの数だっていう事は忘れるな」

 俺は俊哉の言葉にコクっと頷く。

 「でもさ、瀬原君は実際どうなのよ」

 「何がだよ」

 「獅子堂君が蘭とよりを戻すと聞いて」

 どうなのって聞かれれば正直どうだっていい。

 だって俺と鈴川はどんな関係なんだ?友達以上恋人未満?同じ部活の会長と平部員?クラスメイト?だったらなんだっていうんだ?

 俺にはそういう複雑なものは理解できない。

 「最近蘭ともなんか全然話せていないようだし」

 そういえばあいつとはここ最近面と向かって話したことなんて一回もない。

 いや、面と向かってでも話したこと、挨拶など交わしたことなんてなかった覚えがある。

 「だからってなんなんだ?よりを戻そうが戻さないがそれは鈴川の選択肢にある訳なんだろ?鈴川が決めるはずの事を俺が決めて何の意味があるんだ?」

 感情が授与されやすくなってむきになっている。

 「意味はあるよ。だっていつもいつも蘭は瀬原君と一緒にいたじゃない!!」

 賀川の大声が学食内に響き渡り視線がこっちへと集中していた。

 ピリピリしすぎて胃酸が出てきそうだ。

 「一緒だからって止める義理はないだろ」

 「意地っ張り」

 「うるせえ」

 「おい、二人やめろよ」

 「俊君は黙ってて」

 俊哉が俺たち会話に仲介するが賀川の一言でその仲介が一掃された。 

 今やこの食堂は俺と賀川の独壇場と化している。

 そんな口論を見守るかのように無言で立ち尽くしている生徒やひそひそと話している生徒。

 とりあえずそこら辺にいる生徒は失せてほしくて仕方がなかった。

 「意地っ張りだか何だか知らねえけどよ。俺は鈴川には自分で掴む幸せが欲しいって言われたんだよ。今その幸せが目の前にあるだろ?それを俺が止めるとなれば俺は鈴川の幸せをぶち壊しにしたことになるんだぞ?分かるか?俺の言っている意味が」

 俺は分からなかった。

 わからず、ただ単に賀川に吠えているだけのように感じていた。

 俺の言っている事はすべて何の意味も詰まっていない唯の空っぽの言葉。

 五十音を適当に並べてそれを喋ったものに過ぎない。

 「何よ、それじゃあただのビビりじゃない。チキンじゃない。意気地なし」

 意地っ張りの次は意気地なしか。

 「鈴川の今後のことを考えた的確な判断を言ってくれよ」

 パシャァ!!

 顔面に突然水しぶきがかかった。

 特に集中とかしていなかったから目も瞑れやしなかった。

 濡れた髪の向こう側から見ると、めには涙目を浮かべて右手には水滴が滴り落ちているコップが手に持たれていた。

 どうやら賀川は俺にコップ一杯入った水を俺に思いっ切りぶちまけたらしい。

 「もう知らない!!」

 俺にそう吠えた後、もうダッシュで食堂を出ていった。

 階段を上り、誰かとぶつかって頭を下げた後、すごい表情をして再び階段を上り始めた。

 そして、その階段から降りてきた人物は鈴川だった。

 俺はその姿を見たとたん、目を逸らすことしかできなかった。

 









 放課後は部活に出る気がしなかった。

 かといって家に帰るだけでもないんかとつまらない。

 とりあえず胡散晴らしに屋上にでも行ってみることにした。

 今日はどうやら暖かい日のようで太陽もそれなりに暖かい日差しを刺している。

 あと数時間もすればさむくなるのになぜか暖かい。

 このまま寝れば起きたら風邪をひくだろうな。

 適当な場所に腰を下ろして俺は空を見上げた。

 雲一つない空だから変に距離感がつかめない。

 こんな天気のいい日に部室なんかで籠っておしゃべりしていたらもったいないようなー。

 って言っても、今は部員に合わせる顔がないわけだし。

 賀川にも悪いことしたけれど、俊哉にも何かと酷いことしちまったなぁ。

 あとで俊哉経由で謝ってもらおうかな。

 そんなことを考えていると、屋上の扉があいた。

 一瞬週番の先生かと思ったら俊哉が入ってきた。

 「どうしたんだよ」

 「いや、さっきの謝りに」

 俺の横にドカッと腰をおろし、俺の眼の前にパックのコーヒー牛乳が置かれた。

 いつもなら俺がおごって俊哉が貰うっていうパターンがあったけれど今日は特別なのか、はたまたいろんな事情があるっていうかもしれないな。

 「ああ見えて利華もお前のこと心配しているんだよ」

 「そんな事くらいわかっているよ。けれど俺は何をしたらいいのかわからないだけだからさ」

 「そんなときは、焦らずゆっくりと深呼吸してから物事に考えるんだな」

 「お前は中学校時代そうだったけれど」

 余計どお世話だって言いそうになったけれどそれなりに地頭がよくない俊哉でも簡単に終わるな。

 「俺は俊哉の言う事もいいたいけれど人にはいろんな限度があるからさ。自分なりの限度を目指しておこう。ってなるんだろうけれどさ」

 「まぁ、簡単には自分で動けっていう事だよ」

 「動けね・・・・・・」

 簡単なようで実は難しいというよくあるパターン。

 言葉では相当楽そうだっただからな。

 「あとはお前次第だ。頑張れよ」

 肩をたたかれて俊哉は屋上から出ていった。

 自分で考えて動けか・・・・・・

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