平凡少女とツンデレ藍さん。
うううう、スランプ…!
唐突だが、妹という存在って、何なんだろう、と思う事が良くある。
例えば、妹が私の物を欲しがった時であったり、
お姉ちゃんにいじめられたと言って、母に告げ口をする妹を見た時であったり。
(そのあときっちり私は怒られた)
ニヤニヤする妹は、びっくりするくらい憎らしくて、でも何だか可愛くて。
両親や友達と対峙するときとは違う、なんかこう…ぐにゃぐにゃで、それでいて……何だか……。
例えるとするなら、そう、こんにゃくみたいな…いや、少し違う。
少し、私には難しいみたいだ。
いまいち良く分からない。
良く分からないし、上手く言うことは出来ないが、本当、憎らしくも可愛い妹って、何なんだろうと思う。
まぁ、
実を言えば、今現在も思っていたりするのだが。
「お姉ちゃんは地獄に堕ちればいいと思いました。まる。」
玄関の扉を開けた瞬間、聞こえてきたのは、お帰り、といういつも通りの台詞ではなく、攻撃力抜群の台詞。
声の主は、私の目の前で仁王立ちしている私の妹、佐藤 藍だ。
父親譲りの天然パーマの髪の毛をポニーテールにし、母親譲りの切れ長の目を尖らせた、小生意気な小学四年生。
ストレートの髪の毛を、手入れが面倒くさいという理由でショートにし、父親の顔の遺伝子を受け継いでしまったせいで、よく童顔と言われる私とは正反対の藍。
小学生にしてこの威圧感。
こいつ、ただ者ではない。
…いや、所詮私の姉妹なのだから、平凡以外の何者でもないのだけれどもね。
でも。
本当、妹って何なんだろう。
かろうじて人間なのは知っているよ、最近知った。
(失礼だとか言わないの、お姉ちゃんなんてものは大体そんなものだよ)
でもね、藍。
君は分かっているのかな、私はお姉ちゃんだよ。
君より七歳も人生の先輩なんだよ。
その態度はいくらなんでも無いんじゃないかな。
まぁ、別にいいけど。
もう、今更慣れたけど。
でも、もう少し労ってくれてもいいと思う。
今日はいつも以上に数学はちんぷんかんぷんだったし(さらに眠かったし)、それだけじゃなく、カオスかつ非凡な霧雨家で多大なカロリーを消費してきたんだ。
仮にもお姉ちゃんなんだし、お疲れ様の一声ぐらい欲しい。
それを…何?
君は私が地獄に堕ちればいい、と?
さっぱり理解出来ない。
よって、姉の威厳をふんだんに使って、一言言わせてもらうこととしよう。
「ゴメンナサイ」
「お姉ちゃん、ごめんで済んだら警察は要らないんだよ」
ああもう、妹より、私って一体何なんだろう。
妹に頭の上がらない姉って何なんだろう。
なんか泣きたくなってきた。
すん、と鼻を鳴らし、くたびれたローファーを脱ぐ。
癖になりそうな足の開放感に、ほっと息を吐いた。
「で、藍さんはどうして怒ってらっしゃる」
そっぽを向く藍の頭に手を置くと、触んないでよ、と言われた。
ムカついたからわしゃわしゃ撫でてみる。
このクソ虫がって言われた。
泣きたい。
「あら何やってるの?」
「母さん、」
どうやらへそを曲げてしまった様子の藍に苦笑していると、エプロンで手を吹きながら出てきたのは私の母。
佐藤 道子、自称永遠の17歳。
ちなみに、怒ると怖い。
母が怒ると父が涙目になるくらいだ。
そして、かなりの適当発言をかます。
しかもそれが、意外と爆弾だったりするから怖い。
例えば、こんな風に。
「藍、お姉ちゃん困らせたら駄目よ。困らせたらね、お姉ちゃんはネガティブの塊だから、鬱とか引きこもりになっちゃうの」
ならねぇよ。
その言葉は、はっとした様子の藍の顔を見て引っ込んだ。
えっ?と、鳩が豆鉄砲食らったような顔でこちらを凝視する藍。
藍はまた母さんに騙されているようだ。
だって藍の顔が、申し訳なさそうなへにゃりとした顔になったから。
そして段々、顔が赤くなる。
ふい、とそっぽを向いて、ツンデレ藍さんは言った。
「しーちゃんち、藍も行きたかったんだもん。お姉ちゃんばっかズルい」
ふふ。
憎たらしいけど、可愛い奴なんだ。
むすっと膨らんだ頬っぺたが可愛い。
やっぱり妹って不思議な存在だと思った。
……色んな意味で。
「ねぇ、何で藍はしーちゃん大好きなの?」
「しーちゃんは藍の師匠だもん!」
「あ、そうですか」
藍は不思議な奴である。
あの天上天下唯我独尊な変人しーちゃんが大好きなのだ。
尊敬する人はしーちゃん。
藍の神経は良く分からないけど、猪突猛進型の藍に何いっても無駄だということはよく知っている。
今度は絶対一緒に連れてってね!絶対だよ!とキラキラした瞳で叫ぶ藍に適当にハイハイ、と返し、はぁ、とため息を吐いた。
出た!お姉ちゃんのネガティブため息!とか藍が言ってるけど、気にしない。
とりあえず、これだけでも言わせてください。
「ただいま」
「「お帰りなさい!」」
平凡な台詞って最高だな、と思いました。まる。
作文?
あ、お父さんが出てきてない。
どうしよ!




