ヴェラ・ド・マルゴー⑧
今日も、当たり前だけどロリ男爵は屋敷に居る。ヤツフサ達はまた、ペトリコール鉱山の攻略に出かけて行く事になる。案の定、ロリ男爵が攻略に向かうメンバーに余計な一言を掛けている所を私とセレスティーヌ嬢がその様子を見学させてもらっている。まぁ、シンガの時とどれほど違うのか興味がわいたからですけどね。
「お前たち奴隷は物以下だ、お前たちの命などより装備は必ず持って帰る様に。それと、攻略に時間を掛けるなよ、お前たちは死んでも代わりなどいくらでもいる。どんなにお前たちが死んでも構わないからさっさと攻略する様に。」
「は!男爵様のご期待に答えられるように精進いたします。・・・出発!」
うん、よく見る光景ね。普通はこうなのよね、やっぱりシンガがおかしいのよ。ヤツフサ達も慣れてるのか淡々と準備して何事もなく出発していった。ロリ男爵には内緒で何故か私に教えてくれたのだけど、もうほとんど主要部分は攻略できているらしいので、明後日には一旦全員が戻って来て、以降は数名で交代しながら砦や小屋を作っていくらしい。・・・他家の私が聞いて大丈夫な奴よね?まぁ、鉱山の運用って言うか男爵領の運用を一緒に考えた時点で今さらよね。(笑)
「ヴェラ嬢、セレスティーヌ嬢。わざわざのお見送りありがとうございます。彼らも命を賭して攻略に邁進する事でしょう。」
「ろ・・・レオン卿。彼らを無駄に死なせてはムートン男爵領に今後2種族は来なくなるのではありませんか?」
アカン、気を抜くとロリ男爵と言いそうになる。ともあれ、疑問に思った事を質問する。2種族の労力はどんな貴族であっても必要な物だから今後の事を考えるとあまり失うような行動は良くないと思う。特にムートン男爵領は田舎やからね。
「ははははは、いや、ヴェラ嬢。当家をご心配頂きありがとうございます。私も、エリリから奴隷の購入を聞いた時はどうかと思いました、カインが契約者であることは気にしませんでしたがね。ただ、ヴェラ嬢が素晴らしい物をムートン領に与えてくれました。それは、名乗りです。これがあればバカな2種族はこぞってムートン領に来るでしょう。現にギルドでは連日、面接希望があるそうですから壊れたおもちゃは新しくすればいいだけですよ。ついでにあの害虫も新しい何かと交換できればさらに有難いですがね(笑)」
まぁ、これも今までよく聞いた言葉ね。名乗りの件は確かに今思い出しても良く許可が下りたわよね?多分、ド田舎の男爵家に許可してもそれほどの事は無いと思ったのでしょうね。それとね、また言いやがったけど害虫?ほ~ん、私の旦那様を害虫ね・・・こいつは一度叩きのめす(怒)ボッコボコにしてやる!
「そのようにお考えなのですね(笑)・・・ちなみにレオン卿。この後少々お時間は頂けますか?出来ましたら私の武術のお相手などお願いできますでしょうか?学校で大会も控えておりますので是非ともご教授頂きたいのです。(笑顔)」
「・・・いや、申し出は有難いのですが、私は未熟で手加減が出来ません。万が一ヴェラ嬢に怪我などをさせては問題になるかと。」
「武術の練習に怪我は付き物です。是非とも 格上 の方と対戦する機会を頂けませんか?こう言っては何ですがムートン領に私の相手をして頂く方がおりませんので、お願い出来ませんでしょうか?(笑顔)」
逃がすかいな!思っても居ないのにワザとプライドを刺激する様に格上なんて言われたら、気持ちよく相手してくれるはず。うふふふ、ボッコボコにしてやる(怒)私の腕が折れても絶対ボコボコにしてやる!!(激怒)胸の内を悟られない様に今まで培った余所行きの笑顔でロリ男爵にお願いする。
「分かりました、私でヴェラ嬢のお役に立つならば微力ですがお手伝いいたしましょう。」
はい、ボコります(笑顔)いや~今日は良い日やわ(笑)・・・まぁ、言うても警護団に勤める人やから油断はできひんけどね。セレスティーヌ嬢は屋敷に戻って最近メチャクチャ仲の良くなったカイン君とコクヨウと時間を過ごす。うふふふ、夏だけど春が来てるわね(笑)。中庭に移動してそれぞれが準備をする、私はナギナタ、ロリ男爵は木剣を持って対峙する。正眼に構えるロリ男爵。うん、構えは悪くないけど拍子抜けした。隙だらけ、初めはシンガと同じく隙を見せていると思っていた。でも違った、弱くない?その圧って言うのかしら体の芯に来る恐怖感て言うのかしら、シンガが蜻蛉と呼ばれる型を取った時は正直、死を予感したわ。ううんでも、油断は禁物。
「ふむ、なかなか様になっておられる。(笑顔)」
「ありがとうございます(笑)では、私から・・参ります!」
なんやろな~笑顔もウザなって来たな。最速で間合いを詰めて柔らかに微笑むレオン卿の頭にナギナタを振り下ろす。
ゴン!
やはり、初手は簡単に・・あれ?ゴン?ナギナタの刃の木である部分と木剣だからカンでは無いの?あれ?
ゴウン!ドシャ・・
反撃を警戒して間合いを取ろうと後方に飛ぶと柔らかな笑顔のままのレオン卿がゆっくりと地面に倒れ頭を地面に打ち付ける音も響く。・・・・え?倒れた?頭から倒れた。周りで見学しているハセ班の娘が嬉しそうに拍手している。いや、めっちゃ嫌われてるやん(笑)
「お嬢様、お見事です。止めを。」
「・えっと、誰か回復魔法かポーションをお願い出来るかしら?」
〖嫌です〗
「・・じゃ、誰か屋敷に運んでくれるかしら?」
〖絶対触りたくないです。後から文句を言うと思われます。〗
「あ、ナギナタの木の部分じゃ、無理ですね。えっと・・・」
「・・・ええ~そうなる?いや、気持ちは分かるけど・・・」
〖ヴェラ様、当主様の為にもお早く止めを〗
「お嬢様、こちらをお使い下さい。さぁ、ひと思いに」
「・・・・そうねシンガが当主になれば・・・いやいやそれはダメよ。ルナリスと貴女達どさくさに紛れて私に何をさせようとしてるのよ(困惑)」
〖ヴェラ様、あくまでも武術の訓練中の嬉・・悲しい事故です。コイツの私達の当主様に対する数々の不敬極まりない言動にヴェラ様が正義の鉄槌を下されただけ。ご安心ください私達は何も見ていません。〗
「その通りです、これだけの証言者がいます。更にカイノキ班の娘達も加わりますので完全犯罪は容易にできます。っと言う事で、このヘスティアナイフでサックっと一突き、どうぞ!(笑顔)」
嬉しい事故って言いかけた?ふぅ~~現当主のレオン卿をコイツ呼びか~私じゃなければ不敬罪になるわよ。いやいや、以前の私なら普通に罰していたわ、私もかなりシンガに染まっているのね。(笑)しょうがないわよねシンガを知っちゃうとそうなるわよね。・・・後、ルナリスさっきから率先して止めを進言してなかったかしら?当たり前だけど公爵令嬢と言っても普通に男爵当主を殺すのは不味い、私の手にナイフを握らせてロリ男爵の頭にブッ刺そうとしないで・・ちょ、力強い!刺さるって!笑顔が怖いって!!
「・・・・ううん・・あれ?・・ああこれは・・お見苦しい所を・・しかし、ヴェラ嬢。素晴らしい技をお持ちだ、これならば学校の大会での優勝は間違いないのではありませんか?(笑顔)」
「ありがとうございます。そのレオン卿、私の方こそ手加減が出来ませんでした。お体は大丈夫ですか?」
ルナリスとハセ班の娘達と言い合っているとロリ男爵が目を覚まして起き上がってくる。危なかった、慌ててナイフをルナリスに渡す。あまりにあっけなさ過ぎてボコボコには出来なかったけど額の瘤を見れば、まぁ、今日はこれぐらいにしておきましょう・・・・ハセ班の娘、小さく舌打ちしたよね?本当にムートン男爵領って面白い所よね(笑)
「ははははは、こう見えても鍛えていますよ。ただ、この後は執務がありますので失礼いたします。・・おい!何をボサッと見ている?木剣を片付けておけ、それと、執務室に飲み物を持って来い。」
〖承知いたいしました。〗
額に大きな瘤を二つ作ったロリ男爵がヨロヨロと屋敷に向かって歩いていく。・・・・ハセ班の娘達、誰が飲み物を持って行くかを押し付け合ってそんなにケンカしないの、以前も思ったけど貴女達って種族的にメチャクチャ仲がいいはずよね?やっぱりムートン男爵領に何か変な力があるんじゃないかしら???
その後は特に何事もなく時間が過ぎて、夕食を済ませて時間まで部屋に待機する。今日はシンガと夜の・・・デート。きゃは~~~デートですわ!!
「お嬢様、約束をお忘れなく。エクアンの恨みは・・・うふふふふ。」
「・・・・もちろんよ。すでに、マルゴー派閥のいくつかの家に手紙を送っているわ」
「紹介してくださるのはもちろん、若くて将来有望株でイケメンで家事も得意で私をデロデロに甘やかせてくれる王子様みたいな男ですよね?無理ならシンガ様で妥協します。」
「・・・出来る限り希望に沿うように善処するわね(困惑)・・・あと、次もその冗談言ったらちょっと本気でキレるわよ(笑顔)」
ルナリス、条件増えてない?て言うか本当に結婚する気あるのかしら数百年生きてるおば・・お姉さんがデロデロに甘やかされたい?それって介護の事じゃないわよね。・・・・ルナリスええ加減にせえよ!シンガは渡しません!!
「こんばんは、シンガ。1日ぶりね、とても会いたかったわ。昼間でないのが残念だけれど、会えて嬉しいわ」
「こんばんは、ヴェラ嬢。ムートン男爵がご迷惑をかけていませんか?」
小屋から出て来たシンガに声を掛ける。ああ、一日ぶりに聞くシンガの声、幸せな気持ちになる。なにより、ホヨヨ~ンなシンガに癒される。
「あら?シンガって自分の父親の事をムートン男爵と呼ぶのね(笑)うふふ、夜に散歩かしら?私も一緒に行っても良い?」
「構いませんよ。」
「・・・僕のような存在は夜に例えられるそうですね。日陰者、闇と言った悪いイメージだそうですね。」
「・・気にすることは無いわ。その・・」
シンガと一緒に歩いて目的地と思われる所に着く。二人で並んで座って、上に視線を向けると満天の星空が見える、とても綺麗だ。世界でただ二人だけの時間。それから、シンガの言葉を聞いていると私も良く言われる言葉が聞こえた。シンガは夜で私は・・月だ。
「はい、月が好きですね。(笑)」
「シンガは月が好き、嘘偽りないかしら?だって太陽は明るさや温かさ、力強さそれに、権力の象徴ともされるでしょ?それに比べて月はどうしても暗いイメージになるわ。」
でも、シンガは月が好きと言う。シンガの言葉を否定したくはない・・がどうしても・・だって・・
「・・・ぜひ僕の好きな月明かりの下で貴女にお礼に一曲歌わせてください。」
「はひ!?・・待ってシンガ!魔道具、魔道具を準備してからお願い!・・あれ?どこかしら?あれ?・・」
思案していると思わぬ言葉が届く。え?歌?シンガの生歌???きゃは~~~来た~~~さっそく魔道具を準備しないと。落ち着けヴェラちゃん。
「・・・曲名は you raise me up」
when l am down♪
シンガが歌い始める。・・・・圧巻だった、声が綺麗とかそんなのじゃない。心が魂が揺さぶられる、ああカッコイイ。月明かりがシンガの黒髪を照らしている。以前見た朝日を浴びるシンガと違う素敵な黒。あの時とは違う吸い込まれそうな優しい黒。月明かりに照らされてシンガの夜は私を癒してくれる。
あなたが私を奮い立たせてくれる 今以上の自分になれる なんて素敵な歌詞でしょう。私は出来ればシンガにとってそんな存在になりたいと思う。やがて歌が終わりシンガが頭を下げる。気が付けば私は涙を流していた。
「・・素敵な歌ね。」
「そうですね。・・ヴェラ嬢、ムートン男爵領では楽しんで下さい。」
「・・・私はずっとヘレナお姉様の影、お姉様が太陽で・・私は月だったのよ。日中は太陽の光で姿が見えず夜でも太陽の光が無ければ輝けない。どこまで行っても月は表に出れない影の存在。私は自分をそう評価されて月が嫌いだった。・・・でも、そうね。シンガとこうして見上げる月はとっても綺麗で優しい月明かりね。貴方の夜でなら私は月に成れるのをうれしく思う。ありがとう。」
胸の内をシンガにだけは話すことが出来る。この時間が終わらなければと思ってしまう。寂しさもあって話したお願いの内容を聞かずに返事をするシンガ・・うふふふ、私の真似かしら?だから少しだけ意地悪がしたくなった。
「・・良いのかしらシンガ?もし私がムートン男爵家を捨てて私の奴隷になって一生仕えなさい、何てお願いをしたらどうするの?」
「なるほどそれは困りますね(笑)ムートン男爵領が好きですから・・・それに、奴隷じゃなくても僕の心はヴェラ以外に仕えませんよ。僕はヴェラだけの物ですから、これから先もきっと・・・・ギョルルギョパ~ン(ええ加減鬱陶しいわその笑顔。でも好き)」
・・・うん、セリフが所々違う雰囲気を醸し出してる気がするけど・・・・・気のせいやな!え、まって、つまり、私はシンガと心でつながってるって事ね?マジか~結婚以上やったわ。ごめんなサンテミリオンのジジイ、しゃあないで、諦めよう。相手が悪いって、だってシンガやもん。(笑)
「カッコよ・・・じょ、冗談はさて置き、お願いと言うのは私の誕生日のパーティーに出席して欲しいのよ。お願い出来るかしら?」
本気はさて置き、来年の誕生日が私が自由に暮らせる最後の時間になる。これは逃れられない現実、別に私だけじゃない、長い歴史を見ても年の離れた政略結婚はいくつでもある。それが、私の身にも起こっただけ。好きな人と結ばれないなんていくらでもある。うん、もうはっきりと私は自分の気持ちに気が付いている、シンガが大好き。でもね悲しいけど私、貴族なのよね。
そうね、参加をお願いしたけどシンガの気持ちも分かる、シンガの容姿で数多くの貴族が参加するパーティー。きっと嫌な思いをさせてしまう。それでも出来れば来て欲しいな・・別れる前にシンガに祝ってもらいたい。
「ヴェラ嬢、僕はパーティーに出席した事が恥ずかしながらありません出来ましたら、マナー等を教えて頂きますと助かります。お願いしても良いでしょうか?」
きゃ~やった~!シンガが来てくれる(喜)今までは関係ないヘレナお姉様に祝いの言葉を述べるガキ共を眺めるだけの私の誕生日。そもそも、私の誕生日パーティーやのに、何でヘレナお姉様が主役顔やねん、今更ながら腹立つわ(怒)うふふふ、マナー?パーティー会場から私の手を掴んで馬車に乗って地の果てに逃げる事よ(照)フレア達の準備は万端いつでもOKよ!
「それって二人っきりかしら?もちろん、誰にも邪魔されない、地の果てで二人きりよね?マウスツーマウスよね?いいえマウスインマウスでもこの際・・・」
「そ、そうですね。当家の屋敷の部屋でマンツーマンでお願いします(苦笑)」
うふふふ楽しみ、初めて自分の誕生日パーティーが楽しみになった。今は、その後の事は考えない様にしよう、せっかくシンガが参加してくれるのだから。
次の日、朝から特に用事は無い。明日にはロリ男爵は王都に帰っていく、こんな事は思ってはダメだと思うが早く明日が来て欲しい。取り合えず、セレスティーヌ嬢と体を解して武術の自主練を行う事にする。ちなみに今日も一応ロリ男爵にはお願いしてみたが予想通りに断られた。しかも、断るロリ男爵に周りに居たハセ班の娘が露骨に残念そうな視線を向けていた、いやいや表情に出過ぎやって(笑)
「シンガ卿は今頃どうしているでありますかな?出来れば色々と組手や指導して欲しいであります。」
「そうね。そういえば、セレスティーヌ嬢はレオン卿にお願いしたりはしないのかしら?」
「・・・・」
一通り自主訓練を終えて休憩している時にセレスティーヌ嬢が呟いた言葉に問いかけると珍しく、困った表情で私を見てくる。やがて言いずらそうに口を開く。
「その、自分の直感的な物でありますが、レオン卿は素質はあれど鍛錬が足りないと思うであります。正直、対戦するなら普段のシンガ卿の方が怖いであります。」
「奇遇ね、私もそう思うわ。ただ、実力を隠しているって事も・・・無いわね。そうなると、危機感を持たないと駄目ね(苦笑)」
「危機感、っでありますか?それはどのようなであります。」
セレスティーヌ嬢の問いかけに杞憂である事を願いながら思っていることを話す。
「レオン卿の実力=警護団全体の実力。・・・良く考えて見れば王都に居る警護団は実践経験が皆無の方達だわ。あくまでも王都での警備を担当だもの、平和な王都では必然的に事務作業がメインになりがち、モンスター討伐はギルドマンが前線での敵対勢力との戦闘はルクシオン砦にいるステージ3以上の2種族がメインに行っている。となれば、武術のレベルも必然的に下がるのではないかしら・・・考えたくない事だけど。」
「お嬢様、少々考えすぎではありませんか?ただ、あの優男が弱すぎただけではありませんか?」
「・・・多分でありますが、その懸念は合っていると思うであります。近衛騎士団総長の父上が同じような事で嘆いているのを聞いた事があるであります。年々、近衛騎士入団者のレベルが引くくなっていると、その時はあまり気にしなかったでありますがヴェラ嬢までもが、っとなりますと間違いないと思うであります。」
ルナリス貴女もロリ男爵が嫌いなの?(苦笑)セレスティーヌ嬢の話を聞いて改めて考えるけど中々に頭の痛い事ね。貴族の個人講師は警護団所属の人間が多い、平和過ぎてやることがないから小遣い稼ぎにやっている者が多い、ちなみに私の講師達もそれにあたる。その講師のレベルが下がる=学ぶ生徒のレベルが下がるっと言った感じに将来はあまりよくない環境になるのではないかしら?そう考えると、人族の英雄ノワールの教えを学んだシンガが指導してくれるって、とてもありがたい環境よね。奢らずこれからも励みましょう。
夕食までの時間をのんびりと過ごしていると、キンリョクとコハクが蜂蜜を持って屋敷に現れた。コハクの顔色は元に戻っていて元気そうだ、劇をまた頑張ってね。キンリョクは以前より・・・めっちゃ美少女になってる⁈血色も良くちょっとふっくらしてキラッツヤしてる。ま、まぁ、私と比べたら美少女レベルは分かりやすく言うと99年の有馬記念のグラスとスぺちゃんみたいな差があるわね・・・また謎の例えが浮かんだわ(困惑)
「と・・シンガ様に蜂蜜をお届けに参りました。御在宅でしょうか?」
「今、不在となっております、蜂蜜は確かに受け取りました。他に用事はありますか?」
「何、蜂蜜だと?ムートン領で養蜂を行っているのか。それは、私が預かろう。こちらに寄越せ。」
玄関先でやり取りしているといつの間にか現れたロリ男爵がハセ班の娘から蜂蜜を取り上げる。
「あ、あの、男爵様ですか?」
「貴様は目が見えないのか?まぁ、良い。蜂蜜は今後、王都に居る私の所に送る様に。ああ、エリリとカインに老夫婦にも蜂蜜は渡しなさい。それ以外は蜂蜜を使わない様にしろ。」
ロリ男爵が勝手な事を言い出した。大方、上司や同僚に媚びを売るのでしょうね。シンガは一旦領地の皆に分けて外部には流通が整ってから販売をっと言ってたけどね。
「初めまして、キンリョクと申します。シンガ様から身に余る大任を仰せつかりムートン領にて養蜂を任されております。どうぞ今後もよろしくお願いいたします。」
「そうか、まぁ、頑張れ。後、ウジ虫に名前は無い。私の前では、呼ばぬ様にしろ」
「ありがとうございます。それでは申し訳ございませんが、シンガ様の許可なく蜂蜜はお渡しできません。お返しください。」
おお!やるなキンリョク!!隣でコハクがオドオドしてる、突拍子もない事するのはコハクやけど意外と肝が据わってるのはキンリョクの方なんやね。面白いわ。
「気のせいかな、私に蜂蜜を返せっと言ったように聞こえたが?それとウジ虫に名は無いと言ったが聞こえなかったか?」
「もちろん聞こえております。ですから、シンガ様 の許可なく蜂蜜は渡せませんっと申し上げました。お返し・・」
パァァン!!
キンリョクの頬をロリ男爵が平手打ちする音が響く。ふぅ~落ち着けヴェラちゃん。気持ちは分かる。でも、他家の問題で首を突っ込むのはダメだ。・・・だから、ルナリスとセレスティーヌ嬢は私の手を放しなさい。
「こんにちは、シンガ様は御在宅でしょうか?少々用事がありまして訪問いたしました。」
声に気付いて視線を向けるとコハクが消えて聖女ヒメユリが居た。・・・なるほどね。思い切ったわね、多分誰にもバレてないと思うわよ。
「貴様は、誰だ。邪魔を・・」
「これは、聖女ヒメユリ。生憎とシンガは不在なの、もしよければ私が伝言をお預かりしましょうか?」
でも、確かに彼女ならば多少の事には口を挟めるわね。あえて、私は彼女を紹介するかのように声を掛ける。
「せ・聖女⁈・・これは、ムートン領にようこそ聖女ヒメユリ。穢が居て何かと不都合が多くてですね。是非とも、聖王・聖女教会に当家の現状を・・」
「あら?キンリョクさんではありませんかどうなされたのです?その、お顔が赤くなっておりますが。」
いいぞいいぞぉ(笑)ヒメユリ(コハク)の言葉にロリ男爵がビクンとなる。教会では奴隷だからと意味なく2種族を傷つける事はもちろんよくない事だとされている。キンリョクに暴力を振るったと聖女にバレたらまずい事になるわ。そもそも、大聖女スズカが2種族の一種である獣人種ですからね。
「・・・男爵様、蜂蜜をお返しください。後日改めて、シンガ様にお渡しいたします。」
「っち、分かった返そう。」
キンリョクの言葉に渋々と言った感じで蜂蜜の入った小瓶を渡す。彼女達が屋敷を出て行くのを見送る、ロリ男爵が射殺す様な目で二人を見ていた。




