ヴェラ・ド・マルゴー⑨
夕食時にロリ男爵が急に今後のムートン男爵領の運営について話し始めた。
「ムートン領は今後も2種族の奴隷を増やして行くが、傭兵部隊を作り他の貴族へ派遣する事を考えている。業務は多岐に渡り、モンスターの排除やダンジョン攻略や・・・」
うん、これはあれね。どこぞの派閥のある貴族がやり出したやつね。ちなみに、シンガにこういった事は考えてるのかっと聞いた時にはそれは、派閥内の貴族に行っているから上手く行っているのであって無派閥のムートン男爵家は難しいとシンガは話していたわ。名乗りをしている事もトラブルになる可能性があるからとも言っていたわね。さらにシンガは最大の問題があってそれがある限り無理と言っていたわ。さて、私が居るこの場でこんな話をするなんて目的は1つよね(苦笑)はぁ~先日も言ったのに懲りないわね。
「レオン卿、その様な領地運営の話しを自分・・私が聞いても大丈夫でありま・・でしょうか?」
「ははははは、実は最初の派遣先にマルゴー公爵家とジスクール伯爵家を考えております。契約期間は1年間。延長はその・・・」
「レオン卿、マルゴー公爵家はお断りいたしますわ。」
「・・・理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「他家の力なぞ必要ありませんわ。突発的な対応はギルドマンで十分です。まさか、レオン卿はマルゴー公爵家が他家の力を頼らないといけない程に問題を抱えて窮していると思いですか?マルゴー公爵家に仕える2種族が頼りにならないと?(笑顔)」
「いえ、そう言った意味ではありません。マルゴー公爵家は領地も広く手の届かぬ所もあるかと愚考しただけで決して、その・・」
「レオン卿、ジスクール伯爵家もお断りします。理由はヴェラ嬢と同じです。」
マルゴー公爵家は兎も角、ジスクール伯爵家は歴代の近衛騎士団総長を数多く輩出して来た名門武家。そんな所が他家の自警団を傭兵として受け入れたなど名に泥を塗る行為になる、そんなことも分からないのかしら?
「・・・そう・・ですか。で、では、マルゴー派閥の何処かの貴族にで・・」
「お断りいたしますわ。マルゴー派閥の貴族に無派閥の力を借りる家はありません。派閥の他の貴族達からクレームが来ますもの、自分達が頼りないと思うのか?っと。」
『あなた、もうやめましょう。食事の時にそのような話は失礼です。』
「それもこれも、あの害虫のせいだろうが!あいつが居なければ今頃ムートン領は栄えていたんだ。それがこんなにも・・・」
いや、シンガが普通の容姿をしていてもロリ男爵の能力がこの程度ならばたかが知れている。2種族を使いつぶして領地運営は暗礁に乗り上げ自滅する。王国ではよく聞く話だ。言いも悪いもエリリお義母様達が言っていた普通の貴族って言う言葉が良く分かる。まぁ、ロリ男爵がシンガの話を聞いて考える気持ちがあれば自滅は防げると思うけど。
「レオン卿。実際にムートン男爵家では傭兵派遣で利益を得るのは私が知る限りほぼ不可能です。」
「失礼ながら、理由をお聞きしても?」
これも、シンガと話をした時に聞いたのよね。ギカクの確認も取れているから間違いが無いと思う。
「まず、確認ですが。派遣人数はどれぐらいをお考えですか?金額は?」
「5~10名です。一人、1カ月金貨2枚です。」
「なるほど、滞在費。つまり食費や宿代、武器の手入れや破損した場合、怪我をした時の治療費等の経費はどちらが払うのです?」
「・・それは、派遣先にて支払いをお願いしたく」
「となりますと、月の経費は派遣元に金貨10枚~20枚と滞在時の経費が含まれるとなりますね。派遣人員の内訳はどうお考えですか?」
「獣人種4名と魔人種1の5名が基本チームです。」
「基本的に、派遣業務はモンスター退治やダンジョン攻略がメインになるのでしょうか?ドロップ品はどちらが権利を持ちますか?」
「金額の半分は派遣元に権利を頂きます。」
その後もいくつかの質問を続けるとドンドンロリ男爵の表情が曇り焦りが出始める。質問内容はシンガが私やギカクにした内容を同じように質問していく。
「ルナリス、出来てるかしら?」
「はい、此方にございます」
「レオン卿、此方を確認ください」
「これは、何でしょうか?」
「今まで確認した内容の右が傭兵派遣を依頼した場合の経費。左が突発的事案に対してギルドマンで対応した時の経費です。どう思われますか?」
ルナリスから受け取った紙をロリ男爵に渡すと内容を確認して現実が見えたのか意気消沈している。倍以上掛かっている。そりゃそうよね、誰でも分かるでしょうけど仕事が無い時はどうするの?って話よ。毎日モンスター被害がある領地ってド田舎の領地でも珍しいいわよ。ダンジョン攻略もギルドマンの主戦場だからあまり自警団を行かせるのは良くないわ。暗黙のルールとしてダンジョン攻略は要請が無い限り自警団の派遣はしない事になってるもの、ギルドマンの稼ぎを減らす様な行為はギルドマンたちの反感を買うわ。ギルドから反感を買うと困る事はあっても良い事は何もない。全国にあるギルドネットワークが使用できなくなる=突発的な対応が出来なくなるわ、領地の貴族とギルドはどちらが偉いとか無くてお互いが手を取り合う関係でなくてはならないのよ・・・・これもシンガに言われたのだけどね(笑)さて、止めを刺しますか。
「当家の2種族とトラブルが発生した場合や依頼内容のミスが発生した場合。管理責任はどちらが負いますか?また、違約金は請求しても、もちろんよろしいですよね?」
「・・・そ、その場合は内容によって精査させて頂きたく・・」
「契約書にはもちろん違約金の項目は含まれていると思いますが、例えば討伐ミスによる領地の損害賠償及び風評被害による損害、名誉回復にかかる時間と損害ももちろん考慮された物になっておりますよね?」
「それは・・その・・そうです!問題を起こした奴隷を処刑し・・・」
「レオン卿、それはお好きになさってください。ただ、それをなされても違約金と損害賠償請求は致します。ムートン男爵家の奴隷が処罰されても損害はゼロにはなりませんよ。最初に私が申しました派遣業務は無理な最大の理由ですがそれは、ムートン男爵家の2種族は黒死病感染者がメインですよね?当家の未感染者が感染した場合の損害も請求いたします(笑顔)」
完全に動きが止まった、シンガが言う最大の問題。それは無派閥である事は関係ない、黒死病に感染する2種族をメインに奴隷契約するムートン男爵家だからこそ起こりうる問題、派遣先の2種族への黒死病の感染だ。現在感染していない2種族であっても突然感染する。その時に、ムートン男爵家の奴隷と接触があったからだっと難癖付けられる可能性が高い。さらに、相手の2種族が名乗りが欲しい為にお前たちのせいで感染した等とこちらを脅してくる可能性だってある。ちなみに、今回のムートン男爵家での休暇でルナリスが付いて来ているがもちろん当人にリスクの確認はしているしそもそも最初の契約時に感染時には本家に行かない事等を契約書に盛り込んでいる。
『あなた、私もギカク達も無理だと言ったはずです。これで分かりましたよね?ヴェラ嬢、セレスティーヌ嬢。大変失礼いたしました、どうかお許しください。』
「レオン卿。先日も申しましたが事前に書面で頂いていないお話を、口頭でのみは礼を欠いておりますわ
。私は予定を切り上げて王都に戻る事を検討いたしますがいかがなさいますか?出来れば、ムートン男爵家とのご縁を大切にしたいのですが、このような事が続きますと困りますので。」
「・・・申し訳ございません。私の不手際でした。どうかそのような判断はお待ちください。」
いや、帰らんよ?だってシンガが居るもん。何しに来てんねんって話やんか。明日、絶対にロリ男爵は王都に帰ってね。
「・・・ヴェラ嬢にとっては夏の気晴らし程度かもしれませんが当家にとっては有難いご縁です。以後、気を付けます。」
「ええ、シンガと過ごす時間は何よりも代えがたい時間ですもの(笑顔)」
私の言葉に苦笑するロリ男爵。エリリお義母様達も困った顔をしている。長かった夕食も終わり昨日と同じくシンガと夜の散歩に出かける・・・間に合って良かった、めっちゃ焦った。昨日と同じくシンガと夜の散歩に出かけると狐のお面を付けた明らかに猫の獣人達15名程に囲まれている。何?もしかして私を狙っての事?
「これは決闘かそれとも闇討ちでしょうか?闇討ちでしたら、それでもかまいませんよ。名無しに斬られ命を落とすのも良いでしょう。」
「穢れが大口を叩くにゃ(笑)」
「決闘ならば名乗りをすべきでしょう、名をお聞きしても?」
「穢れ者が聞いた口を、アタシ達はフウマ聖闘士と言うにゃ!」
シンガの言葉を黙って聞いていると相手が名を告げる・・・フウマ聖闘士??なにそれ、聞いたことがないわ。
「・・ああ、風魔と言えば大聖女スズカが伝授した忍術やらを扱う獣人が居たはずですね。・・・僕を殺せば風魔を復興させるとか言われましたか?・・・」
「まって、シンガ。この者たちの狙いは私ではなく貴方なの?」
「正確には、僕とヴェラ嬢の二人共です。ただ、僕を殺す事が最重要になってますね、ヴェラ嬢はその次です。」
狙いはシンガなの?だってシンガの暗殺は全能神ゼリウスが禁じているわ。聖王・聖女教会はゼリウスの神託を全国に知らせる役目を持つ、そんな所が本当に暗殺などを依頼するだろうか?・・・個人的な依頼と思って間違いないわね。その後はお互いが名乗りを上げて対峙する。シンガがトンボと呼ばれる型を取らずに、あれは抜刀術と呼ばれる型かしら?
シンガから少し離れて、二人を見る。シンガが右足を前に少し腰を落とし右手で剣の柄を握っている。吹く風に木々がざわめき一瞬でアザミの姿が消え、前後左右の木に打ち付けるような音が響く。
コン・・・コン・・・コン・・コン・・コン・コン・コンコンコンコン
音の間隔が短くなっていく、木の葉が舞い落ちてきてシンガの視界を奪って行くように見える。徐々に木の葉が落ちてくる量が増えていき、音の間隔も短くなっていく。
「フウマ忍流奥義、飯綱落とし!」
「っし!」
足元から聞こえる声にシンガが反応したように見えて気づけば剣が振り切られていた。・・・はっや!全然見えなかった。
ボグィ・・ゴシャ~~ゴリ
明らかに骨が折れた音が聞こえ地面を滑る音と何かに当たって止まる音が聞こえる。シンガが大きく深呼吸を数度繰り返して大木の根元で横たわるアザミに近づいて行く。アザミがかばうように前に出る仲間を手で制してヨロヨロと立ち上がり
「・・・なんで殺さないにゃ、お前はアタシを舐めてるのかにゃ?」
「ムートン男爵家に仕えませんか?その力が欲しいのです。当家を助けてもらえませんか?」
「アタシはお前を殺す依頼を受けてミスしたにゃ。ミスした暗殺者は生きる事は出来ないにゃ、影は猫知れず影に沈んでいくのが定めにゃ。」
「これどうぞ、じゃ、今日からよろしくお願いします。名前はアザミだと生きてるのがバレるので・・翡翠はどうでしょう?」
「ですから、猫?知れず死ぬなら誰があなたの死を確認して依頼主に伝えるのです?周りの仲間の方たちですか?」
「ふざけるにゃ!私達もアザミ様の後を追い生き恥など晒さないにゃ!!」
「だったら、名を変えてムートン男爵家に仕えても誰も分かりませんよね?僕が生存してる=全滅と依頼主は勝手に思いますから。」
「うふふふふふ、シンガ流口説き落としって所かしらね。流石だわ。」
シンガとフウマ忍のやり取りを聞いていて思わず笑みが浮かんだ。こう言った所がシンガの凄い所よね。今自分に足りない物を補う為ならば敵をも味方につける、その為には出し惜しみはしない。きっと彼女達は味方になる。
「ヴェラ嬢におね・・」
「良いわよ。」
シンガが私にお願いしてくる。内容は容易に想像できるから有難いと思う。
「恥ずかしながら、当家では今すぐの彼女達の給料と居場所が作れません。ヴェラ嬢に派遣と言う形で何人かを身近に置いていただけませんか?・・お金をお支払い頂けると助かりますので。」
「・・・・ありがとう。うれしいわ、喜んでその願いを叶えます。もちろん言い値で払うわ。」
口頭での約束、シンガとのやり取りに書面など要らない・・・なによ?臨機応変って言葉をご存じかしら?こんな場所に書面何てあるわけないでしょ!誰よ、帰ってから作って話を決めたら良いやんって言った奴は、作りますぅ~~書面で残すの当たり前ですぅ~~そもそも書面で交わさないって言ってないですぅ~~~~
「お館様に忠誠を誓うにゃ、今後はヒスイと名乗りムートン男爵家の力になるにゃ。」
と、言うわけで、ヒスイ達風魔忍が仲間になった。シンガの筋書きはこうなってるわ。アザミが暗殺に来たけど師匠の指示で同じく風魔の抜け忍だったヒスイ率いる忍軍が返り討ちにする。アザミ達は全滅、ヒスイは弟子のシンガと孫弟子の私の護衛に師匠から付くように言われたな感じで行くとの事。聞けば彼女達は暗殺者の仕事の時は狐のお面を被ってるし、変装の達人で仲間内でも本当の顔は知らないから明日からでもマルゴー公爵家で働いてもらおう。・・・そうだ。
「シンガにお願いがあるのよ、彼女達をマルゴー公爵家ではなく私専属として契約したいの。私の味方が欲しいの」
「もちろんそのつもりですよ。折角ですから、彼女達からリーダーを選出して名を上げてください。翡翠もそれで良いよね?」
「もちろんにゃ。・・・ヴェラ様、出来れば契約内容はお館様と同じだと有難いにゃ。」
「ええ、大丈夫よ。・・・シンガありがとう。」
シンガから離れて私は、残りのメンバーに視線を向ける・・・・あれ?14人のはず??ああ、居・・た。息が止まった。まるでそこに居ない様に気配のない地味な一人。夜空の様な紺髪の一人。銀灰髪、灰色髪、色々な髪色の中で彼女だけ、いいえ、彼女達は変装して本当の姿は誰も知らないと言っていた。でも、私は何故か彼女の髪色は本物だと確信する。私の好きな夜空の色。
「貴女にするわ。名前は ルミナ ・・・私はマルゴー公爵家は敵だと思っているの、だから、悪いのだけれど一緒に死んでもらうわ、よろしくね。」
「名を頂き感謝します。本日この時より私の命はヴェラ様に・・・あの、どうされましたにゃ?」
イケないわ、最近涙もろくなったのかしら・・・私にもルナリスと二人目の味方が付いてくれた、マルゴー公爵家とは別で私だけの味方。いいえ、14名ね。周りを見ればルミナを先頭に残りが片膝をついて私に頭を下げている。
「みんなもよろしくお願いするわね。」
〖はい!にゃ〗
ルミナを残して他の者は先にマルゴー公爵家別館に向かわせる。今居るであろう他貴族の暗部の排除をお願いした。屋敷に戻ろうとするとシンガから先に帰るように言われる。なんでもやる事があるそうだ、こんな時間からっとも思ったがシンガの目を見て素直に聞くことにした・・・あの目は何かを決めた目だ。
朝になり、ロリ男爵は王都に帰って行った。王都に帰って行った。大事な事は2度言わないと駄目らしい。全員での見送りにとても満足していたけどロリ男爵の見送りの為じゃない、この後帰ってくるシンガの出迎えの為な事は全員が思っている事だ。
「ただいまっで良いのかな?」
『おかえりなさいシンガ。こんなに大勢でお出迎えって初めてじゃないかしら(笑)』
ほわぁ~~シンガだ!ホヨヨ~ンとしてる、喋ってる・・・ちょっと待って、玄関でシンガの帰りを待つ・・・つまり、嫁?妻?家内?奥さん?あっか~ん!!妄想が暴走して子育てしてたわ・・・ぐへへへへ。ふぅふぅ、落ち着きましょう。会えなかった時間がたかだか数時間でこの状態、末期どころか
【末期どころか、治療法の存在しない重症患者だぜ。すまないが、私にも治療は無理だ】
・・・あれ?今、レピの声が聞こえた?まさかね、気のせいね(笑)
朝の挨拶が終わって朝食を・・・いやいや、キンクマ班の娘多くない?なんでシンガの給仕に5人も付いてるのよ!シンガもちょっと困った顔してるじゃない!困り顔のシンガご馳走様です。朝食が終わってシンガは自分の部屋に、もちろん私も付いて行く。セレスティーヌ嬢はカイン君と読書をしに行った。せっま、いや、狭いって!ハセ班の娘とキンクマ班の娘が部屋にギチギチに居る・・・ギカク注意しなさいよ!
「あっと、そうだ。申し訳ないんだけど、この資料を片付け・・」
〖はい!当主様。〗
「・・・あなた昨日、あの男の資料を片付けてたじゃない?だからこれは私です。」
「ええ、昨日は罰ゲーム。これはご褒美です。」
「待ちなさい、当主様の担当者は私です」
「ちょっと、なに勝手に担当制を導入してるのよ!」
〖ハセ班の方々、はしたないですよ。当主様、我らキンクマ班にお任せください。〗
「ではさっそく、当主様。執務で肩が凝っておられるのでは?私がお揉みいた・・」
「ちょっとなに勝手に触ろうとしてるのよ」
「本当に止めましょう、ヴェラ様も見ています。さ、皆は出て行って私が一人で当主様の相手をいたします。早よ出て行けや!」
「やかましい!当主様にストレスが掛かっているではありませんか。では、私が膝枕などを・・」
「まあまあ、皆さんのそんな硬い膝じゃシンガ様の頭がおかしくなります(笑)シンガ様ベッドにてお休みください、私がそ・・」
〖言わせねえよ!調子に乗るなよ!バンパイヤ種のババアの分際で!!そもそも関係ないだろうが、表に出ろよ!!!〗
「うっせいわ!お前らもババアだろうが!!やってやんよ、掛かって来いよ!!一人だからって舐めるなよ!!行き遅れ共が!!(激怒)」
〖お前もやろうが!!!!!(激怒)〗
お互いが胸倉を掴んでルナリスも含めて全員が部屋を出て行った。・・・え?仕事放棄?ルナリス貴女何してるの?えっと、もう一度確認するけど仲が良いで有名な鬼人族の方々ですよね?ギスギスしてますけど?ギカクも何故かゲッソリしてる。注意したけど聞かんかったのね?大変やね。昼時になりシンガがオヤッサンの所に出かけて行った。付いて行きたかったけどプレゼントは当日まで内緒にしたいと言われて大人しく待つことにした。ルナリスと鬼人族の娘はしばらく帰ってこなかった、何してるねん。
シンガが帰って来てから、先日頼まれたマナーを教える事に。
「えっと、カイン君。今日はお姉ちゃん初めて人に教えるからシンガと二人っきりがいいな~」
「ヴェラお姉ちゃん、どうしても僕もマナーを教えて貰いたいです。お願いします。・・・・セレスちゃんにかっこいいとこ見せたいです。お礼をするのでお願いします(照)」
よっしゃ!そういう事ならお姉ちゃんに任せなさい!っか~春ですな~良いな~
「ヴェラ嬢、えっと、パーティー会場でのマナーで十分かと。エスコートは今回は・・」
「お兄ちゃん!ヴェラお姉ちゃんに学べるなんて普通は出来ないんだよ。わがまま言っちゃダメだよ。」
カイン君必死やん可愛い~。さてさて、エスコートとマナーなのだけどまずは
入場時
・男性が半歩前を歩き、道を案内する
・段差や階段では声を掛ける
・人込みでは進路を確保する
歩く位置
・基本は女性の左側
・階段では危険な側に男性が立つ
・廊下などでは女性が壁側、男性が通路側になる様に
手を取る場合
・男性から腕を差し出す
・女性が腕に軽く手を添える
・強く引っ張らずに、女性の歩調に合わせる
椅子に座る場合
男性が椅子の後ろに回り
・椅子を軽く引く
・女性のドレスの裾を整えるのを待つ
・女性が腰を下ろし始めたら椅子を支える
・座り終えたら静かに椅子を寄せる
何度も何度もカイン君がギゲンを相手に繰り返す。そう、私は何度も繰り返す・・・いや、私は何もしてないけど。カイン君に教えてる間シンガと、こ・恋人繋ぎしてるけど(嬉)ごめんなさい、先の幸せより目の前の幸せに負けてしまったのよ。シンガのマナー講習は今回はあきらめましょう(笑)マナー講習が終わって久しぶりの皆での食事時間。
「・・実は、ヴェラ嬢の血を頂きたいのです」
んんんん????なんて???
「・・ごめんなさいね。疲れているのかしら、幻聴が聞こえた見たいなの、エリリお義母様や周りの皆もシンガの言葉をしっかりと聞いて欲しいの。ではシンガ、もう一度内容を皆も分かる様にゆっくりと大きな声でお願いしても良いかしら?」
「ヴェラ嬢の血を頂きたいです」
「エリリお義母様。」
『確かに。』
「ルナリス」
「間違いありません」
「ギカク」
「同じく間違いありません」
「ヤツフサ」
「間違いございません」
「コクヨウ、コハク」
〖やったね、おめでとうにゃ〗
「セレスティーヌ嬢」
「愛は時を超えるであります!」
此処から少しの間の記憶が曖昧でよく覚えていない。なんか色々あった気がする、気が付けば・・・
「・・満足して頂けるか分かりませんが、明日は精一杯執事として仕えさせて頂きます。」
ふぇ???シンガが明日一日執事????・・・・・・・マジで!!!!(喜)




