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終わりゆく世界の片隅で  作者: アンチョビ


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ヴェラ・ド・マルゴー⑦

今日、ムートン男爵が帰領する事らしくなかなかに慌ただしい。シンガは、屋敷から少し離れた小屋に籠るらしい、会えなくなるのが本当に残念だ。エリリお義母様達がギカク達に注意を促している、曰く 男爵は貴族である なんのこっちゃいと思うけれども一番わかりやすい説明だと思う。つまり、貴方達は道具、いえ、道具ですらない消耗品だと言う事だ。


「ようこそムートン領へ、ヴェラ嬢、セレスティーヌ嬢。ムートン男爵家当主、レオン・ド・ムートンです。」


応接室に案内されて部屋に入ると穏やかな微笑みを浮かべ柔らかな声で挨拶するレオン卿。うん、イケメンね。メチャメチャイケメンのシンガとカイン君のお父様だけはあるっと言うよりカイン君のお母さま、エリリお義母様達もロリってるけど美少女だし、そうなると亡くなったシンガの実母も美少女なのでしょうね。・・・誰よ、シンガはモブ顔ですけどって言ったやつ!あんた目が腐ってるんとちゃうか!あと、この方がロリ男爵なのね。


「お初にお目にかかります、レオン卿。」

「ご、ご機嫌ようであります。」


セレスティーヌ嬢も緊張しているのが分かる。改めて見ても王都で見る俳優にも負けないぐらいのイケメンですわ。シンガの将来が楽しみね、まぁ、今でもメチャクチャイケメンですけどね。(照)案内されてソファーに対面に座る。


「噂通り、お二人ともお綺麗ですね。当家はこのような田舎で、お二人にご満足いただけるおもてなしが出来ているのか気になる所ではありますが、妻とカインを始め最近この地に住み始めた奴隷達も精一杯お二人を歓迎いたします。楽しい思い出を持ち帰って下されば、当主としてこれ以上の喜びはありませんよ。(笑顔)」


・・・アカン・・こいつ嫌いやわ。さりげなくシンガを除け者にした。しやがった。私のシンガを除け者にしやがった!(怒)ふぅ~~~落ち着け、実家のマルゴー公爵家で私も同じ扱いを受けて来たじゃない。シンガから父親の事も聞いていた。大丈夫、大丈夫、私は冷静・・・・そうか、シンガが私の話を、置かれた状況を聞いて怒っていたのはこうゆう事ね、なによ!もう!シンガったら私の事好きすぎじゃない?やはり、美しさは罪って事ね。(笑)


「私の噂がどの様にレオン卿に伝わっているか少々興味がありますが、皆様にとても良くして頂いてます。残りの日々も楽しく過ごさせて頂こうと思っていますわ(笑)」


「じ、自分・・・いえ、私も楽しく過ごしております。」


出来る限りの笑顔で答える。その後も、取り止めない話が続くとペトリコール鉱山の攻略についての話題が出た。


「ふむ・・・契約書に記載されているサンガシャショクズが見つかった際はタルボ男爵家に渡す様に書いてあるがどういった経緯でそうなったのか?また、鉱山の土地代と税金を当家が支払う・・・全く、穢れは何処まで当家を苦しめる!エリリ、君が居ながら何故この様な事になったんだ?」


『シンガを始め、ここにいる・・・』

「穢れに名などない!!・・・ふぅ~・・失礼。お見苦しい所をお見せした。ああ、ヴェラ嬢もこの交渉時に同席なさっていたとか?この契約書を見ればいかに愚かか、失礼ながら貴女ならサンガシャショクズを当家から教会に渡せばどれほどの益をもたらすか容易に分かるはず、残念でなりません。」


「ですが、レオン卿。サンガシャショクズが本当にペトリコール鉱山にあると思いますか?」


「聖王・聖女教会が動いてるならば何らかの確証があると簡単に想像が付きます。そもそも、何故、当家がペトリコール鉱山を管理下に置く必要があるのか、税金を全額払ってしかも土地代の2割を支払うなんて、タルボ男爵家と今まで通り管理も税金も半分で良いでしょう。あんな何の意味もない鉱山はタルボ男爵に格安で売っても良いくらいです。」


浅はかな事、シンガからペトリコール鉱山の運用を聞かされている私からすると、嘲笑が出る。でも、男爵が言う事が普通だと思う。サンガシャショクズの下りはまぁ、シンガも言っていたけど眉唾物よね。


「そうです、ヴェラ嬢とセレスティーヌ嬢。ムートン領にお越しになられたのも何かのご縁でしょう。ペトリコール鉱山の権利をマルゴー公爵家かジスクール伯爵家にお譲りさせていただくのはいかがですか?雑務や管理は当家で行いますので税金などのお支払いをお願い出来れば、もちろん業務は格安でお受けいたします。」

『あなた、そのような事をお客様にお願いする等あまりにも失礼でしょう!』


「それもこれもあの穢れがこのようなバカな事をしでかすからだろうが!・・・・ふぅ・・ふぅ・・重ねてお見苦しい所を申し訳ない。」


「レオン卿。申し訳ないのですが書面ではなく口頭で、しかも派閥の者ではない家の管理地を他の派閥の者が立ち会いの無い場で取引はできませんわ。聞かなかった事・・といたしましょう(笑顔)」

「ジスクール伯爵家もお断りするでありま・・いたします。」


おいおい、ゆとり無さすぎひんか?交渉事は基本、他の派閥の者が立ち合いとして行う事になってるでしょうが。前もっての書面があるならともかく、世間話のついでにする内容とちゃうやろがい。アカン、イケメンで良い声なのが余計にムカつく。あと、もう一回シンガの事を穢れだなんだとぬかしたらお前のそのちょっと裾だけ伸ばして括ってる髪の毛毟るぞ(怒)


「・・・そうですね。いや、流石は公爵家と伯爵家の令嬢です。カインも是非、見習いなさい。」


「はい、お父様。」


カイン君は是非とも父親の様になって欲しく無いわね、内心のイライラは私の鋼の精神で抑え込む。少々、喉が渇きを覚えたタイミングで交渉時に付いて来ていたハセ班の娘がデザートや果物と飲み物を持ってきた。


「ハセ班のお姉ちゃん、飲み物をありがとう。」


「はい、どうぞぎぅ・・」


「おい!全く・・・ふぅ・・ヴェラ嬢、セレスティーヌ嬢。本当にお恥ずかしい、奴隷の躾も出来ていないとは・・・」


おもむろにソファーから立ち上がりハセ班の娘に声を掛けたと思ったら果物ナイフで顔を切りつけた。ザシュっと音が聞こえてハセ班の娘が顔を手で押さえる。


「っつ・・・」

「お父様!なんで、ハセ班のお姉ちゃんを傷つけたの?」


思わず出そうになった声を何とか抑えると、カイン君が父親に批判の声を上げる。エリリお義母様達やギカク、ヤツフサ達は傍観している。


「いいか、カイン。2種族は、奴隷は物以下の存在なんだ。私達が買っているから生活が出来るんだ。そんな存在にお礼何て言う必要はない。」

「お兄ちゃんは、ギカクやヤツフサ達はムートン男爵家の宝だって言ってた。知識ではギカク、力ではヤツフサに勝てないって、皆に支えて貰える存在になりなさい、慢心してはいけない、感謝を忘れてはいけないって!」


よう言った!えらいで!!・・・ただ、それはシンガの考えであって、普通って言うか大多数の貴族の考えと違うんよね。もちろん、妻の私はシンガと同じ考えよ!


「くくくあはははははは・・・はぁ、いいかいカイン。あいつは2種族の奴隷以下の存在なんだ。だから、自分を少しでも良く見せようと底辺の奴隷である彼らに媚びを売っているのだよ(笑) どうか、僕の事を虐めないでください ってね(笑)あいつの様になってはいけないよカイン。はっきりと言う、害虫だ。あいつはこの世界の害虫。そんな生き物の言葉は無視しなさい(笑)」


無意識に、ソファーから立ち上がりこのクソ野郎をぶん殴ろうとしたけど、セレスティーヌ嬢とルナリスに周りにバレない様に押さえられて、立ち上がることが出来なかった。周りを見れば、ヤツフサの表情は変わらないが握りしめた拳がギチギチと音を立てているのが聞こえそうだ。ギカクは・・・こっわ、何がとは言わんけど、こっわ。そらまあ、ギカクは魔法の事でもえらい世話になってるからね。ムートン男爵家の2種族は家紋や家名の件も含めてシンガには物凄く感謝してるから、アンタ生きて王都に帰れたらええね(笑)


しばらくの歓談の後、私は気分治しにルナリスとセレスティーヌ嬢、コクヨウの3人で散歩に出かける。


「あら?何かあったのかしら、ギルドが騒がしいわね。」


ギルドの近くを通りかかると人集りが出来ているのが見える。何事かと更に近づくと昨日、蘇生魔法に目覚めた獣人の娘と数名のギルドの職員が少し口論している、ギルドマンが数名、獣人の娘を庇う様にしており、後は野次馬と言った所だと思う。


「・・ですから、聖女様は王都でその魔法を・・」

「私は王都等に行きません!この地で生を終えると信仰する神に誓いました。無理やりにもと申されるなら、喜んで自らこの命、断ちましょう。」


「冗談じゃ無い!俺達のチームの仲間を救って下さった聖女様が命を断つ等許せる訳がない!おい!ギルドの職員は俺達ギルドマンに恥知らずと言わせたいのか!」

〖そうだ!聖女様を俺達が守るんだ!エリリンも守るんだ!〗


あ、これ、あれや。彼女、蘇生魔法使ってギルドマンを助けたな?あらあら、聖女ってバレたんやね。ギルドの職員からしたら教会に連絡義務があるからしゃあないよね。・・・エリリンってエリリお義母様達の事かしら?


「どうしたのかしら?何か揉め事?」


「これは、ヴェラ様。実は、先ほど、こちらのギルドマンのチームメンバーに死亡者が出たのですが、そちらの獣人の方が蘇生魔法で蘇生させて下さったのです。蘇生魔法を使用出来るのは聖女様の証。ギルドとしては王都の聖王・聖女教会に連絡と本人をお連れする義務がございまして・・・」


そうよね、ギルドの職員は別に間違った対応はしてないのよ。ただ、相手が悪いのよね・・・


「お嬢様どうなさいますか?」

「ヴェラ嬢。どうするでありますか?」

「ヴェラ様、お腹減った。ギルドの食堂で少し食べたい、奢って。」



・・・若干1名がさりげなく堂々とタカってくる(苦笑)コクヨウあんたね、私は言っても公爵家令嬢よ?あのクソボケ男爵の言葉を借りれば、底辺の奴隷が食事奢れって気安く言える間柄じゃないのよ?


「ヴェラ様、今から大きな独り言を言う。・・・シンガは夜に1人で散歩する。その時間は食事を奢ってくれた後に教える、どう?」

「OK。それが本当なら次も奢るわ。食事にしましょう!」


ギルドの食堂での食事代など、シンガと会える情報を手に入れれるなら安いもの。ああ、そうだわ。


「聖女様、王都で教会が新年を祝う時に参加すれば、一応の面目は立ちます。その後、正式にムートン男爵領への希望を出されては如何ですか?ギルドの方も一旦はその様に報告されては如何でしょう?」


私の提案に両者がうなずきギルド内にいつもの雰囲気が戻る。


「では、聖女様。王都の教会には本人の希望により、新年会に参加までは一旦ムートン男爵領にて活動を行うとお伝えします。それでご納得いただけますでしょうか?」

「分かりました、そのように連絡してください。あと教会へは私の名をお告げ下さい、私の名は ヒメユリ と申します。」


めっちゃ、嬉しそう。そしてこの瞬間、聖女ヒメユリが誕生した。


「ヴェラ様、はやく食事。お腹すいた。」


いや、コクヨウあんたね、一応歴史的瞬間よ?聖女の名が決まった瞬間よ?・・・まぁ、良いけど。ギルドで軽食を食べて再び散歩する。うん、屋敷周りと舞台周り以外は何もない、いやちょっとは家があるけどほとんど何もない。正真正銘の混じりっけなしのド田舎ね。・・・でも、悪くないわ、いいえ、好きだと思う。空気が違う、何よりもシンガの故郷である事がとっても良い、落ち着くわね。


「ヴェラ嬢、ここにきて数日経つでありますが、良い所でありますな。2種族も楽しそうであります、ジスクール伯爵領にいる2種族達よりも幸せそうでありますな。」


「そうね。今は身なりは貧しそうでも何れこの地は発展していく事でしょうから・・・シンガが2種族の外交官になればもっとお互いが協力し合える関係を構築できるのではないかしら?そうすれば、王国の・・・いいえ、ダメね、シンガの身を危険に晒すだけね。」


「そうですね、お嬢様の考えは私も理解できますが魔王国にいる種族全員がシンガ様の容姿を受け入れるなど難しいでしょうから・・」


「ヴェラ様、そんな事よりデザート食べたい。奢って。」


・・・・コクヨウ食べてばかりじゃない!え?さっき軽食って言うかあなただけガッツリ食べてたわよね?あの、もう一度言うけど公爵家令嬢!私すっごく良い所のお嬢様。昔っからの立場を超えた友達じゃないのよ?また奢ってって言う?怒りを通り越して呆れる所か恐怖を感じるわ。


「ヴェラ様、シンガは夜の散歩の時、偶に一人で無意識に歌ってる。魔道具は持っていくべし。」

「デザートにしましょう!」


そんな情報をコクヨウはどうやって手に入れているのかしら?んん~私にも暗部と呼ばれる存在が居れば、公爵家直属の部隊は私の身の安全は最低限保証するけど、私の指示は聞かない。今回みたいに私用での護衛はつかない。どちらかと言うと、事故にでも遭った方がヘレナお姉様の同情集めになるから嬉しいと思われる。人族の英雄ノワールの孫弟子とはいえ外の待遇は多少変化はあれど、公爵家の中では未だにそこまでの変化は無い。政略結婚も成功失敗はどうでもいいのだと思う、ヘレナお姉様の王妃に成れる日が来る事だけがあのクズ共の興味のある事なのだから。


「・・・味方が欲しい。力が・・欲しい。」

「ヴェラ嬢、何か言われたでありますか?」


私の呟きが聞こえたのかセレスティーヌ嬢が問いかけて来た。


「何でもないわ。さあ、デザートにしましょう。」


今までは、死が決まっていた、誰にも期待などされていない人生だったけど、シンガに出会い、想いが生まれ、生きたいと思うようになった。そして後悔した、何も持っていない準備していない自分に。どうして今日までただ時間を消費して来たのだろう、何故抗わなかったのか?・・・まだ、間に合う。いいえ、きっと間に合わす。今も足りない物ばかりだけど、でもきっと公爵家の息のかかっていない私だけの味方を創り上げる。散歩を終えて、屋敷に戻ると・・・あら?シンガかしら?ああ、夕食の準備をするのね。(笑)本当に私達の事を考えてくれる、嬉しいわ。


「・・これは、素晴らしい料理ですね!・・・もしかして、公爵家か伯爵家のお抱えシェフでしょうか?もしそうならば一度ご挨拶をしたい。うん、本当に素晴らしく美味しい。しかも聞けば、それぞれの好みに合わせて味付けが変わっているとか?シンプルながらもこれほど美味しいアユンを口に等したことがない。いや、素晴らしいとしか言えない自分がお恥ずかしい。」


ロリ男爵が料理を一口食べて感想を言ってくる。それ、シンガが作ってますけど?(笑)本当の事を知ればロリ男爵はいったいどうなるのかしら?


「確かに、噂(・) 通り今日も素晴らしい料理ですね。ですが、公爵家のお抱えシェフでも伯爵家のお抱えシェフでもありませんわ。ろ・・レオン卿も噂は耳にされたことはありませんか?流れのシェフの噂を。」


あっぶな、思わずロリ男爵って言いかけた。シンガが料理をなんてことは言えないから王都で流れている噂を利用させてもらった。


「まさか!幻の至高の料理人と呼ばれる方がムートン領に?ヴェラ嬢がアポイントを取られたのですか?ふぅ~信じられない。エリリ、カイン、この料理を作っているのは王都でも、いや国王陛下の依頼であっても単に受けない料理人が作ったものだ。まさしく、芸術的料理。これを食べることが出来ただけでも貴族として生きていることに感謝しないとな。・・・いや、待て。エリリ、2種族の奴隷達はまさか、同じ食事をしていないだろうな?もしそうならば、料理に対する侮辱であり料理人に対して非礼どころではない。どうなんだい?」


語るね~確かに美味しいけど、シンガは個人個人に合わせて付け合わせや味の濃さを変えて提供してくれる。手間暇をかけて美味しい物を、なんて、貴族の子がする事じゃない。でも、シンガはおもてなしの心で手を加え時間を掛けてくれる。


『別室で 何時(・・) もの食事をしているわ。』

「なら安心だ。いや~ヴェラ嬢には感謝しかありません。おお、これもとても美味しい。」


ロリ男爵の問いかけにエリリお義母様達が含みのある答えを告げるが気にならない様に食事を再開する。私達もそれ以上は会話をすることなく食事を終える。さて、ロリ男爵の次の行動はっと。


「おい、シェフをここに呼んできて欲しい。是非ともご挨拶と素晴らしい料理の感謝を告げたい。」


予想通りロリ男爵がシェフに会わせろっと言って来た。口では料理の感謝だのなんだのと言ってるが、要は誰も知らない料理人の顔が見たいと言うのだ。


「ろ・・レオン卿。かの料理人は正体を暴かれる事を嫌います。噂には、かの者の調理器具を狙ってか、または、その料理技術を奪うためか、力ずくで奴隷とする為か、色々な事がある為にその家に仕える老若男女に変装し決してバレない様にしているそうです。ここでシェフの機嫌を損ねるとムートン男爵領にとって良くない状況になるかもしれません。挨拶はお止めになった方がよろしいかと。それにマルゴー公爵家と契約を結んだ方とトラブルは・・・」


「・・・・料理を頂いた者として感謝の気持ちを伝える事は普通の事ではあります・・・っが。確かにシェフの気持ちを一番に考える事こそが大事な事でしょう。いや、流石はヴェラ嬢ですね、カイン、是非見習うように。」

「はい、お父様。ヴェラ嬢もありがとうございます。」


空気読める子!カインあんた出来る子!ヴェラお姉ちゃんじゃなく、ヴェラ嬢って呼ばれるのちょっと寂しいけど、ここでお姉ちゃん呼びはめんどくさくなるもんね。ロリ男爵は残念そうやけど、シンガに会わせる訳にはいかないからね。食事の後の会話も終わり、それぞれが就寝時間になった。部屋の窓からシンガの居る小屋を見ているとコクヨウに聞いた時間にシンガが散歩に行くのが見えた。


「シンガ。貴方と話したい、声が聞きたい。明日の夜に貴方に会いに行くわ。・・・ルナリス、明日の夜は私一人にしてね。」

「・・・他家のイケメン将来有望株の若い男の紹介をお忘れなく。エクアンの事、忘れてないので」


・・・・難題が来た~~~忘れてた~~毎日が楽しくて忘れてた。いやいや、今はムートン男爵領に来てるからどうも出来ひんけど、帰ったらどえらい宿題がまってるやん。帰るのやめよっかな?しばらくの間、私は右後ろに立つルナリスを見ない様に出掛けて誰も居ないシンガが籠ってる小屋を見続けていた。




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