7日目ムートン男爵の帰宅と酒造りとアユンの塩焼き
今日は朝から屋敷が慌ただしい、理由はなんとなく分かるっというか毎年の恒例だ。多分昼頃には着くのだと思う。
【今年は予定が早くないかね?いつもならもう少し後のはずだが・・】
「大方、ヴェラ嬢に挨拶をと考えたんじゃないかな。はぁ~仕方ない、今日から例の小屋に泊まろう。事情はエリリ義母さんがヴェラ嬢達に話してくれるさ。」
レピの言葉に大きなため息を吐き俺は産まれた時に居た小屋、つまり実母が亡くなった場所に向かう。今までは屋敷の横にあった小屋も今回の建て直しの際に屋敷から少し離れた場所になった。エリリ義母さん達がその方が母さんが良いと思っていると話したからだ。いつもの様に扉を開けて部屋に入る。ゴミ一つ落ちていない部屋は老夫婦とエリリ義母さん達が掃除してくれているかららしい、さらに母の遺骨が置いてある奥の部屋に入り手を合わせる。
「今年もお世話になります、そして報告があります。今年から王都の学校に行きました。そこで知り合ったマルゴー公爵家の令嬢ヴェラ嬢とジスクール伯爵家の令嬢セレスティーヌ嬢、学校に行く道中で黒曜とそれと奴隷として琥珀、金緑、ヤツフサ、義覚に義玄と義賢。クスノキ班、カイノキ班、ハセ班、キンクマ班。多くの者達がこのムートン男爵領に遊びに来てくれて生活してくれることになりました。」
父親が帰って来る年始と夏の年2回、近況を報告する様にしている。そして小屋に来たら
【シンガ、お客さんだぜ。私が相手をしておく、お前さんは母上にのんびり挨拶してなさいな。】
「ありがとう、助かるよ。」
父親が帰宅すれば、暗殺者が俺を狙う。あの根性悪の言葉など気にしない。3種族のギルドマン崩れや穢れの勇者に恨みを持つ者が男爵家当主からの依頼と言う免罪符を手に喜んで襲ってくる。
「そう言えば、エリリ義母さん達や老夫婦が僕の言葉や考えが母さんと似てるなんて言ってました。母さんって・・めちゃくちゃ変な人だったんですね(笑)きっと話が出来たら楽しかったでしょうね。」
俺は前世の記憶があるからこの世界の常識とは違う事もあると思うがそうじゃ無い人がとなるとかなり変わった人なんだと思う。話が出来たら楽しかったんじゃないかな。ただ、母が生きてる未来その時はエリリ義母さん達はメイドでカインは居ないのか、それはちょっと、いや、かなり残念だな。ああ、老夫婦も居ない可能性もあるのかな?でも、俺の守る為にそばに誰かは付くだろうからそれなら老夫婦が良いな。
「皆と協力して領地を繁栄させます。母さんのお墓も作れたら少し大きく出来たらいいですね、・・・いや、この小屋が気に入ってるのかな?ここから離れたく無いような感じがする?」
なんとなくだが、この小屋に母の遺骨を置いている意味がある気がする。エリリ義母さん達も一見意味が無いような事が後になって問題解決に繋がった事もたまに、本当に希にあったらしいからね。(笑)
「ペトリコール鉱山もムートン男爵領として開発を考えています。後は男爵領の特産品を考えて・・・お酒だ!今回のお詫びに作るお酒が好評なら地酒として売りだそう。後は花を育てて蜂蜜を作る計画と合わせて蜂蜜酒も作ろう。特に2種族はお酒が大好きだから喜ぶと思う。」
不思議な事に小屋で母に報告と相談をすると何故かアイディアが浮かぶ。ちなみに、カルメネールの嘆きと言われた紋章のデザインもこの小屋で閃いてたりする。単純かも知れないが、母に助けてもらっている気がするんだ。ありがたいし心強いね。
「蜂蜜なら金綠の使い魔であるミストの様子を見に行こう。それと、ほかにも使い魔を呼べる人材が居れば有難いな、ウルフ系の使い魔を使える人材やバード系の使い魔なら、レースなんてのも良いな。応援した子が一等を取ればお金じゃなくてぬいぐるみがもらえるなんかはどうだろう?エリリ義母さん達にお願いできるかな。エサ代を稼ぐためにふれあい広場みたいなのも良いかな・・・・・ふぅ、ダメだ、気になるな。今までは俺だけだったからねヤツフサや義覚達は嫌な目に合っていないかな、男爵は典型的な貴族だからな。特に鬼人族の娘はメイドで傍に仕えてるから変な事で傷つけられてないと良いけど・・・エリリ義母さん達が居れば安心だけど居ない所では・・」
色々と考えながらもヤツフサや義覚達が気になる。貴族にとって2種族、特に黒死病に感染した者達に対いしての扱いは口に出すのも嫌になるほど悪い。前世での歴史で切り捨てごめんと言った事があったらしいがそれをイメージしてもらえば間違いは無い。いや実際はもっとひどい、以前に説明したが鬼人族の回復力の高さからワザと傷つけて楽しむクソみたいな存在も居る。俺に暗殺者をけし掛ける事はあってもクソ野郎でない事を祈る。
【もどったぜ、シンガ。あと、お前の父親だがね・・・ペトリコール鉱山攻略交渉の時に参加したハセ班の娘が1人斬られた、理由はカインにお礼を言わせたからだそうだ。】
「クソが!・・・他の者達に動揺などは無いかな?エリリ義母さん達はどんな様子だった?ヴェラ嬢達はどう?」
心配していたことが現実となった。クソクソクソクソ!なんで貴族って言うだけで偉いんだよ!なんで簡単に傷つけるんだ、同じ命だろうに。
【動揺は見られないな、悲しい事に慣れてるんだろうぜ。エリリ義母さん達は注意はしたが・・あれは聞いていないな。逆にヴェラ嬢達にメイド達の教育がなっていなくて申し訳ないと謝罪していたからな。】
慣れてるっか、悲しい事だね。どれだけの時間、期間を虐められて過ごせば慣れる何て事になるのか。悩んでいてもしょうがない、義覚は動けないから夜番担当の義賢に連絡して今日傷つけられた娘に会えないか相談しよう。
「ヴェラ嬢やセレスティーヌ嬢も気にしてないと良いけどね。折角、楽しむために来てくれたんだからさ。」
【それについては問題ないぜ、公爵令嬢と伯爵令嬢だ、今までも見た事のある光景なんだろうな、特に気にしていなかった・・・いや、どちらかと言うとお前さんの言動と比べて内心呆れていたな。】
「あ⁈そうだ、カインはどうだった?」
【特に表向きは変化が無かった、父親の意見を聞いているって感じだったぜ。その後にお前さんを貶す発言を始めたらすごく冷めた目で見ていたから良くは思っていないと思うぜ。】
見慣れてるってのも嫌な事だよね。あと、男爵はカインにめちゃくちゃ甘いからな少しぐらいの冷たい態度も気にしないでしょ。ほんの少し気を落ち着かせていると
「あ⁈・・・参ったな。どうしよう」
【どうしたねシンガ?珍しく困っているようだが。】
「いや~レピも知ってる通りに先日のペトリコール鉱山攻略時に迷惑かけた6名にお酒をプレゼントするって言ってたじゃない?もしそれが好評なら地酒って事で売り出そうかと思っていたんだ。ミストが作る蜂蜜を加えて蜂蜜酒も良いかなって・・」
【なるほど!良いアイデアだと私は思うがね、何が問題なんだね?】
「・・・僕、味見できない。お酒・・飲めません。味見できないのに新しいお酒って造れると思う?」
【ああ・・そうだな・・難しいな・・】
アイデアは良かったが俺の歳ではお酒は飲めない、前世でも正直得意な方じゃなかった。どうする?正直に説明して味見からお願いするか?・・それしかないよね。本当は出来上がったのを渡したかったけどしょうがないね。
【そもそもだがね、シンガ。お前さんはお酒を造る気でいたのか?酒の実はその名の通りお酒だぜ?実を割ればお酒が出てくる。それを渡すものだとばかり思っていたんだがね。】
「え⁈・・そうなの?てっきり実をお水に浸すとか何らかの手を加えるものとばかり思っていたよ。」
そうなんだ~ならなんで彼らはお酒を造ってほしいと言ったのだろうか?
【そりゃ~シンガ自ら割ってもらえるってのがうれしいのさ。普通はそんな事ありえないからな、そもそも当主や次期当主にお願いすること自体がかなり稀だぜ。了承する方ももっと稀だがね。】
なるほどね、そういった事ならば有難いね。とは言ってもただ渡すだけはやっぱり味気ない。なので一工夫することにした。
「彼らの好きな匂いや味ですか?」
「そうだね、故郷の思いでの匂いや好きな花、木の香りを教えて欲しい。あと果物など好きな物もお願いするよ」
男爵に挨拶する為に早馬にて先程帰って来た下半身がガクガク震えてる(笑)ヤツフサに好みなどを聞いて見る。どうせならお酒に香りや後口に残る味を付けてみようと思う。一晩や二晩寝かせてどれほどの香りや味が付くか分からないが出来るならば有難い。
「彼女らや私達は、桃の香りと味が好きです。後、藤の花の香りも好きです。」
「ありがとう。桃だね。」
キンクマ班の娘にも聞いて見る、班は違えど同じ鬼人族だから試しに聞いて良かった。取りあえず一通り聞くことが出来た。もちろん屋敷からは離れて男爵にバレないようにしている。俺と話してる所なんて見られたら、ヤツフサや彼女達にどんな危害を加えるか分からないからね。しかし鬼人種族で桃や藤の花が好きってちょっとモヤるな。ともあれお酒造りを始める。布でマスクを作り匂いで酔わないようにする、まぁ、レピが居れば酔ったらヒト噛みしてもらえばいいだけだしね。まずは酒の実の瓢箪の口を切り中のお酒を少しだけ別の容器に出す、もちろんこれはアイテムボックスに入れる。それからそれぞれが希望した香りや味の物を瓢箪の中に漬けていく。ふたを閉めて良く振り(レピが尻尾で一度に3本振る)30分間ほど振り続けると灰汁が出るようなので布を数枚被せたボウルに流して灰汁を取り再度瓢箪に戻して同じように振る。繰り返す事3回目で灰汁が無くなり透明なお酒が出来た。
「ふぅ、レピありがとう無事に出来たね。振るの大変じゃなったかな?」
【気にしにゃさんにゃシンガ・・じつにうまいじゃにゃい・・うまいしゃけができたじぇ・・ヒック】
・・・酔ってない?あれ?なんでレピが酔ってるの?・・あ⁈酒の実がいつの間にか使用する6個じゃなくて18個も置いてある!しかも空になってるじゃんレピ!お前さん12個も飲んだの?何時の間に?
「駄目じゃないかレピ!黙って飲むなんて悪い事だと思わないかい?しかもそんなに酔っぱらうほどなんて。」
【ゼハハハハハ!やめときな、正義だ悪だと口にするのは!!この世のどこを探しても答えはねェだろくだらねェ!!!】
「いや、みんなの物を黙って飲むのはダメだよね?正義や悪の話はしてないよ。」
【・・・すみましぇん。ちょうしににょりました、ごみぇんにゃしゃい】
ベロベロのレピと一緒に後か片付けっと言っても6個のお酒以外はレピのお腹にしまい込むだけだ。アイテムボックスやレピの収納に入れてしまうと時間経過が起きないので意味がないからね。ああそうだ、こんな状態のレピははじめてだからちょっと心配だけど、どうしようかな?もうすぐ夕食の時間なんだよね。キンクマ班の娘に任せても良いけど、今日は先日捕まえたアユンの塩焼きを出す予定だったんだよね。キンクマ班の娘も出来るけどエリリ義母さん達も楽しみにしていたから出来れば作りに行ってあげたい。
むむむと悩んでいても仕方がないのでアイテムボックスからカツラを取り出す。これは最初の村に行った時に変装するために使ったアイテムだ。最初はレピの毒に身体が耐えられなかったので身長のみを大きくした。その後は目や髪の色、声まで徐々に変化させれるようになり今に至る。
「懐かしいな、あの時はレピと一人と一匹だったんだ、見るものすべてが新しく楽しかったな。嫌な目にも遭ったけど、それもいい思い出だね。」
カツラを被り、布マスクで顔を半分隠した状態でこっそりと厨房に向かう。・・・・・カイノキ班に捕まりました。
「ふぅ~・・・当主様。男爵様がお帰りになり、さらに不審者の目撃もあり多少皆がピリついております。先ほどハセ班の娘が・・・んん、取り合えずエリリ様から事情は聞いておりますので、明後日まで離れの小屋にてお休みください。」
「義覚、夕食を手伝いに来たんだよ。今日はアユンの塩焼きを出す予定でエリリ義母さん達も楽しみにしてただろう?キンクマ班の皆を信用してないんじゃないんだ、ただ、個人に合わせた食事を出すのは苦手でしょ?」
鬼人族の皆は全員が同じ味付けの料理を出すことが出来るが個人の味付けで出す事には多少の苦手感がある。いや違うな、相手の苦手な物や食べれない物を記憶は出来るが抜いての料理はしないが正解かな。食堂で注文としてなら対応するがこういった家で出す食事では言われないとしない、っで食べる方はこういった場で食べれない物を前もって言わない。出された物は頂くのが礼儀だからだ。自宅で作るラーメンで自分だけ今日はあっさりとしたスープが飲みたい気分でも皆に合わせてこってりとしたスープを出されるそれを食べないと駄目と言った例えが分かりやすいかな?
「分かりました。その変な変装もバレない為の物ですよね?義玄を傍に就けますので何かあれば必ず、決して一人で行動をなさらないようにお願いいたします。」
「・・・もちろんです。」
義覚から釘を刺された、ペトリコール鉱山での行動がちゃんと共有されてますな、良い事です。変な変装ってちょっと傷ついたのは内緒だ。クスン
「さてと、メニューはアユンの塩焼きとエリリ義母さん達には副菜に夏野菜の浅漬けをヴェラ嬢にはほうれん草とキャベツのおひたしと浅漬けの両方を少量で、カイン、セレスティーヌ嬢は野菜サラダを始めに提供しよう。汁物は野菜のポトフを作ろう。ポトフもエリリ義母さん達、カインは薄味でヴェラ嬢とセレスティーヌ嬢は普通にお願いできるかな。もちろんすべての料理は全員がおかわりや別のを食べたい時の事を考えて大皿での配膳もしてね。ドレシングも各種を準備してください。では料理を始めよう。」
〖ウィ、シェフ!〗
調理場での俺はシェフ呼びされてる(笑)キンクマ班の娘達が返事をしてそれぞれの料理に取り掛かる。俺も下ごしらえされたアユンに串を打ちしていく。踊り串やのぼり串と呼ばれる打ち方が終わり、全体の料理スピードを確認しながら焼くタイミングを計っていく。汁物のポトフの出来上がりに合わせてアユンを焼く。しかし改めて思うがご飯が無いのが残念でならない、パンで食べる事になるからさ~どっかにお米ないかな?
「さてと、焼き具合はどんな感じかな?」
焼きあがった1匹を皆で味見・・毒見する。
「うん、良い感じだね。皆ありがとう、これならきっとエリリ義母さん達も喜んでくれるよ。」
〖はい!シェフ。ありがとうございます。〗
時間になり皆が配膳に向かうのを見送り俺は、調理場でキンクマ班の娘と二人で過ごす。食事が始まりしばらくすると、おかわりがあったようで大皿の料理の量があとどれぐらいかが告げられてくる。場合によっては追加を作らなければならないからね。
「よしよし、多めに焼いてて正解だったな。カインとセレスティーヌ嬢もおかわりしてくれるなんてうれしいな。」
実はこっそりと黒曜と琥珀や手の空いてる黒檀一族、墨鴉一族の者も別の場所で食事してる、腹ペコ黒曜と琥珀がいつもはエリリ義母さん達と一緒に食事をしてるが男爵が居る時にはさすがに駄目だからね。キンクマ班の娘も手がすき次第食事を取ってもらう。少しでも仕事を早く終わらせよう。その為に、返却された食器を洗っていく。
「と、シェフ?何をなさっているのですか!」
「食器を洗ってるんだよ。片付けが早く終われば皆もゆっくり食事にありつけるでしょ。」
食事も終わりに近いた為に次々に食器が届く。食器を洗っていると義玄に驚かれた(笑)
「その様な事は私達がやります。と、シェフは食事をなさって下さい。」
「じゃ、一緒にやろう。その方が早く終わる。手伝ってもらえると助かるよ。何人かはポトフを温め直したりアユンの準備をしてね」
俺の言葉に説得を諦めたのか義玄が他の娘達に指示を出して行く。
「シェフ失礼します。私もお手伝いいたします。」
「ありがとう。毎日この量の洗い物をしてくれてありがとうね。」
ムートン男爵家に同じ形の食器は少ない、お客様のヴェラ嬢達やエリリ義母さん達に使用してしまえば、後は不揃いの物を使い回している。
「王都に戻ったら食器も購入して領地に送ろう。皆の家も住みやすい様にリフォームしたいな。いずれは領地で結婚して子供を育ててのんびりと過ごしてもらえると嬉しいね。まぁ、取りあえずはお金を稼いで領地が潤わないとダメなんだけ・・・皆さんどうなされましたでしょうか?」
俺が独り言を呟いていると視線を感じたので周りを見渡す。キンクマ班の娘が、義玄が信じられない者を見る様に固まって居る。
「当、シェフ。私達が結婚、子供ですか?王国内で子供を作るのは違法です。子供を作るれるのは私達は魔王国領地のみで自分たちの領地では無いムートン男爵領では子供を作れません。」
「ここは、君達の領地だよ。名乗りを許されてるでしょ?」
「当主様、詳しく説明しますと、それはあくまでも奴隷契約を結んでいる状態にのみ適用されます。生まれて半年間は奴隷契約が結べません。その為に、半年間は不法滞在扱いになります、出産時は聖王又は聖女が確認する為に不正は出来ません。通常は各々の国で出産して半年後に仕えている領地に戻ってくる形になります。」
いつの間にか現れた義覚が説明してくる。なるほど、中々にめんどくさい。聞けば聞く程に人族は2種族の数を増やす気は無いみたいに聞こえる。
「あ⁈それなら、先日のクスノキ班の娘が対応出来るんじゃないかな?」
「それは難しいですね。何故ならば、別種族の聖王又は聖女が確認をすることが決まっているからです、私達魔人種は出来ても自分たち獣人種は出来ません。考えて見てください、私達ばかりが子を産める環境が続けば必ず獣人種との確執が生まれます。理想は人族の聖王か聖女です。」
「となると、魔人種でも聖女が居ないと駄目か~次回の魔法教室で頑張ってもらいますか。」
「そんなに簡単に聖王・聖女が生まれたら・・・生まれそうで怖いですね。ですが、基本的に領地に聖王・聖女は一人です。複数人は王都か主要都市のみです」
ふむふむ、義覚の言葉で良いアイデアが浮かんだ。明日ヤツフサに聞き取りとお願いをしてみよう。気づけばエリリ義母さん達の食事も終わったようで、キンクマ班の娘が全員食堂に居る。
「さてと、良かったらなんだけど僕に皆の食事の準備をさせて欲しい。アユンを焼くからちょっと待っててね。」
僕の言葉に慌てだすキンクマ班の娘を手で制して椅子に座らせて浅漬けやパンにサラダ、ポトフと配膳を始める。最後にアユンの塩焼きを配って
「いつもエリリ義母さん達においしい食事をありがとう。僕からのほんのお礼です、どうぞお召し上がりください。」
〖・・・いただきます。〗
皆の声を聴いて頷き皆の分の後かたずけは任せて食堂を後にする。
【シンガ、私も腹が減ったぜ。ペコペコで身と皮しかないぜ。】
酔いから覚めたレピの悲しそうな声を聴いて笑いそうになるが俺自身も腹ペコだ、小屋に戻り慌てて食事をした。




