5日目ペトリコール鉱山攻略開始
さて、本日は遂にペトリコール鉱山攻略となる。標高は義覚達に確認すると700M程らしいので前世で言うと桂木山、三国山ぐらいかな。ムートン男爵家からは俺、レピとヤツフサ率いる黒檀一族23名と墨鴉一族の8名の計32名と1匹です。出発時にめちゃくちゃ揉めました。ええ、めちゃくちゃでした。ヴェラ嬢、セレスティーヌ嬢、カイン、黒曜、ルナリスお姉様をごっつい説得しました。・・・正直鉱山攻略から帰りたくありません。説得の時にヴェラ嬢に言われた付いてこない条件を聞いたエリリ義母さん達が お前ホンマになにやってん?これ大丈夫か? な目で見てましたがホント勘弁してください(泣)俺は悪くありません。
「シンガ卿、お待たせしました。では、打ち合わせ通りに私達タルボ男爵家はこちら側から攻略いたします。」
「はい、よろしくお願いします。僕達はこちら側から始めていきます。攻略には日にちが掛かると予想されますので、当家の攻略責任者を紹介いたします。ヤツフサ!」
「は!初めてお目にかかります。ムートン男爵家自警団団長、黒檀一族のヤツフサと申します。今回の攻略に、自警団クスノキ班、カイノキ班、墨鴉一族のキンクマ班、計31名が参加いたします。討伐等に付きましては某が、回収等につきましてはキンクマ班より情報をタルボ男爵家へお伝えします。」
ヤツフサがいつもより少し大きな声で挨拶すると予想通りタルボ男爵家の2種族が動揺しているのが分かる。名乗りの噂は聞いていても実際に宣言されると違うよね。更に目ざとい者達は班名が家名だと気付いたと思う、攻略期間中に班員に何らかの接触が予想される。
「・・名乗りが許可されている噂は本当だったんですね。」
「どうかされましたかコゼット嬢?時間もありませんので攻略を始めましょう。ヤツフサ、攻略作戦を開始して!」
「は!これより攻略を行う、クスノキ班、カイノキ班、キンクマ班の各班2名はこの場にて馬車の護衛とキャンプ、食事準備等を行ってくだされ。では、出発!」
ペトリコール鉱山攻略が始まった、ヤツフサ達を先陣に鉱山を登っていく。鉱山と言っても岩肌でなく草木も生えている、まずは魔導銀の回収とモンスターの間引きを優先的に行っていく。しばらく登っていると瓢箪の様な実を付けた木が数本生えてるのが見えた。あれ?あれって・・
「ねえ、あれって酒の実だよね?持って帰らないの?皆お酒好きでしょ。」
「当主様、今回の攻略では回収の優先順位がございます、残念ですが酒の実は含まれておりませ・・・え⁈と、当主様?誰か!ヤ、ヤツフサ団長!」
俺の質問にキンクマ班の娘が答えてくれる。が突然慌てだした、ヤバいモンスターでも出たのだろうか?周りを警戒して居るとヤツフサが現れた。
「いかが為された?モンスターを発見なされましたか?それならば少々声を抑えて頂きたい。某でなくても近くの者に連絡下されば対応いたしますぞ。」
「そ、そうではありません。実は・・」
「ねえ、ヤツフサ。回収品に優先順位があるそうだけど、僕はアイテムボックスのスキルを持ってるし、レピも僕以上に物を持てるから目についた物を回収しても良いかな?」
「おお!それは助かります。殿の采配で回収なさってくださ・・・殿?」
キンクマ班の娘が慌ててるけど、良かった!ヤツフサの許可も出たし、さっそく酒の実の木をそのままレピさんに回収してもらおう。
「お待ちくだされ!ぜ、全員この場に集合!急げ!」
回収しようとしていると血相の変わったヤツフサが大声を出す!やっぱりヤバいモンスターが出たみたいだ!俺もその場に留まり周囲を警戒する。
「レピ!警戒を頼む、ヤツフサが慌てる程のモンスターだ。かなりの大物に違いない、皆を守るために力を貸してくれ!」
【・・・一応聞くがボケてるわけじゃないんだよなシンガ?突っ込み待ちじゃないんだよな?】
なんでボケや突っ込み待ちせんとあかんねん!こっちとら真面目やぞ(怒)ええから早く警戒せんかいな。気づけば全員がヤツフサの元に集合してる。皆と一言二言やり取りをして俺の方に歩いてくる。やっぱりこちら方面からくるのか!
「殿、お聞きしたいことがあります。少々よろしいでしょうか?」
「もちろんだよ。で、モンスターは何処に?レピに聞いても返事がないんだ。怖がらせるつもりはないけどかなりヤバい奴だと思う。場合によっては撤収しよう、命大事にだよ。」
攻略が始まってすぐだけど、レピの警戒網にも引っかからない様な相手なら最悪の場合を考えて撤収も考えなければならない。
「ええ、ある意味モンスターよりも恐ろしい存在でございますな。(怒)」
それほどの存在なのか⁈・・・てかヤツフサさん気のせいか怒って居られません?しかも皆の視線が明らかに周りではなく俺に釘付けになってる気がする。
「・・・もしかしてだけど、僕は来ちゃダメだった?」
「殿は聡明なお方と思っておりました、今日までのお言葉の数々をお聞きし得難き名君であると思っておりました。殿の母上様であるエリリ様達や老夫婦にギカクが殿を少々頭の可笑しい等と申しておってもその様な戯言をと心で笑っておりました(怒)」
やっぱり、ヤツフサが遠い目をしながら珍しく怒ってる。てか、皆は俺の事をそないな感じで言ってるの?
「領地出発前に、エリリ様達から目を離さない様にとヴェラ様からも油断なさらないでねとお言葉を頂きましたのに、このヤツフサ一生の不覚。殿、タルボ男爵家のコゼット様は鉱山の麓にて待機なされておりますな、何故でございましょうか?」
「えっと、コゼット嬢は女性だし・・そうだ!タルボ男爵家当主代行だからね。歳も若いから鉱山登頂はしんどいでしょ、モンスターも出て危ないしね。普通に領地の事を考えたら当主代行が危ない事したらダメだよ。頭がおかしいと思われちゃうよ(笑)」
「殿とてムートン男爵家次期当主でしょうが!さらに申せば、コゼット様より年若く山歩きに不慣れであり何よりヴェラ様の寵愛を頂く存在!万が一が御座ればいかが為されますか!おい!誰かこのヘラヘラと笑ってるモブ顔で戯け者の首根っこ引っ掴んで鉱山麓まで引きずって行け!!(激怒)」
めっちゃ怒ってる。しかも、たわけって結構な罵倒をされましたよ、そんな怒る事かな(困惑)ヴェラ様云々の部分は聞かなかった事にしよう。
【そりゃ怒るぜシンガ。今お前さんを失えばムートン男爵家はおしまいだ。カインじゃまだ若すぎる。まぁ、私はこの鉱山にいるモンスター如きに遅れは取らんがね。】
レピの言葉にそうかな?とも思う。でも一応、現ムートン男爵当主は健在だしそもそも、レピが居て俺に万が一も無いと思う。俺とレピと言うかレピが居れば回収品の持ち帰り量は莫大に増やすことが出来る。近距離ならレピさんだけをヤツフサ達に同行させる事も出来るけど、これほどの長距離は無理だ。出来る出来ないで言えば出来るらしいがレピはやらないと言ってる。
「待って、ヤツフサ。鉱山攻略にあまり時間を掛けたくないんだよ、特に僕も参加できるのは今日だけだし、レピが居れば危険は少ない。回収品の量も莫大な量を持ち帰れる。危ない事はしないと誓うから同行を認めて欲しい。・・・それとも何かな、ムートン男爵家自警団クスノキ、カイノキ班のメンバーはペトリコール鉱山に生息するモンスター相手に子供一人の護衛も満足に出来ないの?(笑)」
「・・そうでござった。ヴェラ様を始め皆が天下無双のモブ顔口八丁男と申しておりましたな。口では某が敵うわけごさらん。護衛は付けます、決して無理をなさいませぬ様に。」
おい!モブ顔口八丁男ってなんやねん!(怒)くっそ~とりあえずモブ顔って付いてるのもなんか気に入らん。その通りやけどモブ顔ですけど気に入らん。イライラするが同行は許されたのでさっそく酒の実の木を回収する。護衛が1人付き、キンクマ班の娘が1人付いて3人と1匹で行動する。
「ん~生き物は流石にレピでも回収できないか。食材や鉱石などは僕やレピで回収するから他の皆は生き物をお願いするよ。」
〖承知しました。〗
ニコッコと言う鶏のモンスターを見つけてアイテムボックスに入れ様としたけれど当たり前に生きた状態では無理でした。レピももちろん無理。集団で生息するようなので数匹をその場で捕まえて殺しアイテムボックスへ、生きたまま3組程の番を近くに居た別のキンクマ班が背負う網に入れて護衛を付けて下山させる。
「そうだ、ヤツフサを呼んでもらって良いかな?」
「は!直ぐに」
ピ~ヒョロロ~
俺が声を掛けると笛を吹きだした。おお⁈そんな感じで連絡を取るんだ!
「殿、お呼びですかな?」
「うん、実は鉱山にいくつか砦と小屋を作りたいと思っているんだ。この地図を見て欲しい、鉱山の4隅に砦を、山頂までのいくつかの場所に小屋をと考えている、鉱山全体を訓練場と飼育、生産施設と考えて欲しい。魔導銀の回収はもちろんだけど、鉱山が枯れてもこの地に生息するモンスターの間引きによる戦闘訓練と食材の栽培でと考えている。徐々に、植林も行っていき飼育と栽培の範囲を増やしていく。先ずこの辺りにニコッコを育てる小屋をと考えているんだけどヤツフサ達の意見が聞きたい。」
呼び笛のすぐにヤツフサが現れて、会議で話していた内容の一部を共有する。
「鉱山の4隅に砦を作られる理由は何ですかな?」
「もちろん、他の貴族から鉱山の資源を守るためだよ。あと、正当な理由で3種族を増やす為でもある。対外的にはスタンピードが発生した場合の防衛拠点として運用するとなってるからね。訓練施設や他の貴族への防衛拠点何て言えないでしょ?」
現状、ムートン男爵領に仕事はそんなにない。いやまぁ、農業的な仕事はあるけど収穫まではお金にならない、ダンジョンが領地内にある所ならダンジョン運用による収入もあるけど当家はもちろんない。
「砦の件は理解しました。でしたら、先ほど発見いたしましたがこの先にウモーンと言う牛のモンスターがおります。その近くで飼育なさればいかがでしょうか?」
「なるほど、両方同じ場所で飼育できれば助かるよね。・・それって出来るの?」
「はい、特に問題はございません。ヤツフサ団長の提案に賛成いたします。」
ヤツフサの提案をキンクマ班の娘に聞けば問題ないとの事、飼育できるモンスターの生態系は前世と違うところが多少あるらしく、同じ場所での飼育が難しい種も居るそうでその辺は確認をしながらになる。地図にしるしを入れて小屋の設置を予定に入れる。ウモーンも数匹倒してレピさん預かりへ、生きてる子供のウモーンを数匹手足を縛ってキンクマ班の娘が2名で背中に背負って下山する。え⁈鬼人種族って力強ない?前世で言う原チャリを苦も無く数台背負って普通に歩いている。すっご。
本来は生き物はこれぐらいが限界だ、だって他の物も持って帰るからね。キンクマ班の娘も残り人数が少なくなって来てる、しか~し!今日はレピさんが居る。そこら中に生えてる実のなる木や花、野菜、もちろん魔導銀の回収と手当たり次第に行っていく。その間もヤツフサ達がモンスターを間引き地図にしるしを入れている、倒したモンスターの討伐証明の為にこちらもレピ預かりに。
「殿、今日はこれまでになります下山いたしましょう。」
「分かった、結構回収できたよね?レピありがとう。」
【何、気にしなさんな。今回、かなりの食材が手に入ったからな毎日の食事が楽しみだ。】
鉱山を登って4時間ほど、ヤツフサから下山する胸が伝えられる、皆は鉱山麓でキャンプして引き続き攻略を行うが俺はそれが出来ない為、帰りの事も考えるとしょうがない。収穫はかなりあったしね、川でシャッケーやアユンと呼ばれる魚もゲット出来たし魚料理にも挑戦してみよう。
「では、殿。少々失礼いたします。・・おい!手筈通りにいたせ。」
「当主様、失礼いたします。」
・・・気づけばキンクマ班の娘が背負う大きな鳥籠の様な籠の中で正座して居た。
「あの~ヤツフサこれは?」
「申し訳ございません。殿もお疲れかと思いなにか我らで出来ぬことは無いかと考えました処、恐れながら背負いて下山はいかがかと皆より提案が御座いまして、されど直接触れるは此の者も緊張すると思い断腸の思いで仕方なくこのような手段となりました。申し訳ございませぬ。(笑)」
〖申し訳ございません。(笑)〗
真面目な表情を保とうとヤツフサが笑いをこらえながら事情を説明してくる、周りの皆も笑いながら頭を下げてくる。背負ってる娘も頭を下げるから籠が揺れて俺はバランスを崩しそうになる。
〖・・プッ・・ク・・フフ・・(笑)〗
俺が籠に入って困ってるのがよほど面白いのか笑いをこらえて俯いてる者や遠くを見てる者などが居る。
【シ、シンガ。(笑)これなら、安全だぜ。ヤツフサも憎い事をする・・・わははははは】
「ヤツフサ、聞きたいんだけどさ。勝手に付いてきたことに対する嫌がらせじゃないよね?」
「・・・もち・・プ・クク・・もちろんでございます!このヤツフサ、殿に嫌がらせなどいたしません!」
いや、こっち見んかいな!背中向けて誰に喋ってんねん!ビンタかました後のブライトさんみたいになってるぞ!(怒)
「・・・分かったよ。キンクマ班の娘は重く無いかな?よろしくお願いするね」
「は、はい!当主様はとても軽いです。全然平気です!」
ちょ!?籠を揺らさないで!何はともあれ下山開始。早いな、来た道を帰るだけじゃなく皆の歩くスピードが早い。さりげなく、俺の歩くスピードに合わせてくれてたんだな。
「・・・シンガ卿。しばらく見ないと思えば中々に珍しい・・フフ・・失礼。素敵なお姿ですね(笑)」
「コゼット嬢にもムートン男爵家に仕える者達の忠義の心が見えますか?まさしく囲われております。」
麓に降りるとコゼット嬢が楽しそうに話しかけてきたのでやけくそで返事する。
「あら?ヤツフサ。珍しい生き物を捕獲したのね?・フフフ・私に譲って頂けるかしら?(笑)」
ヴェラ嬢の声も聞こえる。声が聞こえた方に視線を向ければ見ればフレア達も居るから迎えに来てくれたんだと思う。
「ヴェラ嬢、お迎えでしょうか?わざわざありがとうございます。さ、ヤツフサここから出して。」
「は!おい、籠を開けて殿をお出ししろ。」
ヤツフサの指示でキンクマ班の娘が籠から出してくれた。
「シンガ駄目よ、勝手に付いて行っては。貴方はムートン男爵家の次期当主なのだから」
「申し訳ございません。僕とレピのスキルなら回収量も多く、ヤツフサ達の役に立つと思いまして、それに僕にはレピが居ますから大丈夫だと考えたのです」
「そうね、事前にヤツフサに相談しての参加なら問題はないわ。レピの事だもの貴方に危険は及ばない様にするでしょう。でも、勝手に参加はヤツフサ達は心配するわ、怪我や万が一あればとても後悔する。傷はポーションで治せても後悔する気持ちは残るわ。シンガがヤツフサ達をムートン男爵家の宝と言うように、貴方も宝なのだから。」
穏やかな声で話しかけてくるヴェラ嬢にぐうの音も出ない。周りを見れば鉱山麓で馬車の護衛とキャンプ等の対応して居た6名が疲れた表情を、キンクマ班の娘の目元が赤い。泣かしてしまったのかな。すごく俺を探したんだろうな、悪い事をした。
「・・迷惑と心配をかけてごめんなさい。」
「いえ!我らが悪いのです。作業に気を取られお側に居なかった為に皆に要らぬ心配をさせたのです。」
「当主様が無事ならそれだけで私達は十分ですから頭をお上げ下さい。」
そうは言っても迷惑と心配をかけたのは事実だからね。何かお詫びに出来ないかと聞いてみる。
「皆で話し合いまして恐れながら、酒の実でお酒を作って頂く事は出来ますか?そちらを頂きたいです。」
少し皆で話し合いが始まり代表で1人が話しかけてきた。ん~どうだろう?流石に前世でも作った事は無い・・義覚に聞いてみるかな。
「分かった。上手く作れるか分からないけど、皆に最初に渡すよ。」
〖有りがたき幸せにございます〗
そういえば、見れば先に麓に降りて来ていたニコッコとウモーンは馬車の中で大人しくしてる。シャッケーとアユンも小さな生け簀で泳いでたりする。
「シンガ卿、この度は私達を指名頂き感謝します。」
「何のことでしょうか?確かに僕はギルドに条件を付けてお願いしましたが貴女方をとは伝えていません。最終的な人選はヤツフサ、義覚両名に対応させました、なので僕は関わっていませんよ。ただ、当家の依頼を幾つか達成して頂くと面談の優先権が貰えますので頑張ってください。」
「ありがとうございます、頑張ります。」
馬車から出て来た獣人の女性。ムートン男爵領まで護衛をして居た彼女達が声をかけて来た。思う所は少しはあるけれど頑張ってくれるなら良い事にしよう。
「・・他に何かありましたか?」
「仕える奴隷、獣人種族や鬼人種族に頭を下げられるのですね、私達が仕えた、見て来た貴族にその様な人族は居ませんでした。」
その場から動かない彼女らの視線を感じて質問すると俺が皆に頭を下げて謝罪したのが珍しい見たいだ。
「そうですか?迷惑や心配をかけたなら謝罪は辺り前でしょう、そこに立場など関係ありません・・と僕は思っています。」
「・・私達は叶うならやはり、シンガ様の下で働き、暮らしたいです。その為にも、今回頂いた仕事ももちろん頑張ります。では、失礼します。」
3人が馬車に戻って行く。明日朝早くに馬車で二コッコやウモーン等を乗せてムートン男爵領地に向かう、何回かの輸送クエスト。今回は3チームが参加してる、3チーム共が面談希望だが1チームしか雇用はしない・・・だって仕事ないもん。今回の攻略が上手くいって事業が軌道に乗れば雇いますよ。上手くいきますように・・ホンマ頼むで!
「どうこれ?とても素敵でしょ(笑)」
馬車に乗り領地に向かうさなかヴェラ嬢がマルゴー公爵家の紋章入りマントの裏地を見せて来た。丁度左胸に当たるであろう部分に表側は新しく小さくワンポイントでマルゴー公爵家の紋章が裏にはムートン男爵家の紋章が刺繍されている・・・ええされてます。前世で言う所の蘇繍と呼ばれる技法、確か中国の伝統刺繍で両面刺繍の技法だったはず。2人が2本の針と2色の色を使用して、2人が表と裏で別の模様を縫い針を返すごっつい難しい縫い方らしい。エリリ義母さん達がむちゃくちゃ苦労して仕上げたのが目に浮かぶ。
「ヴェラ嬢、誰にも見せてはダメですからね?冗談ではないですから、ムートン男爵家がつぶれますからね?本気で困りますからお願いしますね。」
「・・シンガ、怖がることは悪い事ではないわ」
・・・・何を言ってるのです?(困惑)見せたらホンマにあかんで!ニコニコ笑顔でマントを羽織り、裏地をチラチラと見て楽しそうなヴェラ嬢の姿のお陰で、最高級の馬車に乗り、安らぐ空間がとても居心地が悪かった。領地に付いてからはすぐに寝た。ええ、現実逃避しました。おやすみなさい!明日は良い日だと良いな!!!(泣)




