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終わりゆく世界の片隅で  作者: アンチョビ


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28/41

3日目ノワールの教え武術編

本日は武術の合同訓練日、動きやすい恰好のヴェラ嬢とセレスティーヌ嬢を前にそれぞれの得意な武器で練習してもらう。準備運動を終えて声をかける、俺が二人の指導をすることになる。師匠のノワールはもちろん現れるはずがありませんからね。


「では、まずそれぞれがいつもの様に練習を行い、その後に気になる点等を修正していきましょう」


〖はい!〗


2人の返事を聞いて俺は何時も通りにお婆ちゃんとお爺ちゃんと続けて対峙して行く。たまに放たれるレピの殺気を躱しながら変わらず殺されていく。


(当たり前だけど未だ背中は遠く日々頑張りますか。)


しばらくは集中していたが・・


【シンガ、そろそろヴェラ嬢達も見てやりな、先ほどからお待ちだぜ。まぁ、ヴェラ嬢に関してはお前さんに見とれているから問題はないがセレスティーヌ嬢は退屈だろうさ】


レピの言葉に二人の方に視線を向ける。


「お待たせしました。最初はセレスティーヌ嬢から見ていきましょう。」

「はい!であります。よろしくお願いしますであります。」


木剣を正眼に構えて素振りを始める、すっごくきれいなフォームで中々に様になってる・・・・めっちゃ違和感。いや、なんやろ?構えも素振りも変な所ないねん・・・けど、めっちゃモヤモヤする。どう言ったら伝わるかな~スク水で一人だけ白スク水な感じ?柔道なのに空手着来てる感じ?色はカレーやのに味はシチューな感じ?とにかく、分からないけどすっっごく変な感じがする。


「どうでありますか?自分はその・・シンガ卿から見てどう思われたでありますか?」


「セレスティーヌ嬢、一度素手で素振りをお願いできますか?木剣を持っている感じでお願いします。」


取り合えず素手での動きも見て行こう・・んん?違和感が少ないな、もしかして適正は剣じゃないのかな?でも、ヴェラ嬢の時と違いほかの武器のイメージがわかなかったからどうなんだろう?


「セレスティーヌ嬢、他の武器も持ってもらってよろしいでしょうか?まずは槍からです。次に・・」


その後も色々と武器を持たせて素振りをしてもらうがしっくり来ない。無手の型も見てみるが・・・


「今日はこれまでにしましょう。次はヴェラ嬢、構えて下さい。」

「ありがとうございますで・・あります」


寂しそうなセレスティーヌ嬢。ごめんね、お爺ちゃんなら分かったかもしれない。レピもこのあたりは教えてくれない。意識をヴェラ嬢に向ける、こちらは凄く良い感じです。風が流れる様に、大地が動かぬ様に構えて動いている。


「ヴェラ嬢、お見事です。型に付いては申し分ないと思います。日々継続なさって下さい。」


「ありがとうございます。よろしければ、1度手合わせをお願いします。」


ヴェラ嬢の申し出に少し考えて頷く。


【シンガ、ここで負ける様なら一生ヴェラ嬢の尻に敷かれるぜ(笑)頑張りなさいな】


いやいや、多分負けますよ。今まで勝てたのはレピバフのお陰ですからね、カザル君の時は別としても通常なら勝てませんよ。俺は木剣を腰に差し無手の構えを取る。ヴェラ嬢の正面に立ち両手は帯を結んだ後にそのままの位置で下腹部に置く仕草をする。アンチェインのパンツに手をイメージして貰えると分かりやすいかな。そしてヴェラ嬢は安定した構え、少しの時間でここまでの練度は恐れ入りますな。


「セイ!」

「シュ!」


ットン・コン


ヴェラ嬢の袈裟切りの穂に合わせて左手を当て軌道を俺の右側にそらしさらに右手で寸勁を当てると薙刀がヴェラ嬢の手から離れる。ヴェラ嬢の体勢がわずかに崩れ、間合いを詰めると地面で跳ねた薙刀を左手一本で持ち穗が俺の身体に迫る、柄の部分を右わき腹に抱えて後ろに飛ぶと合わせてヴェラ嬢が体勢を崩されないように一緒に前に飛んでくる。着地と同時に右手を柄に沿って滑らせながら間合いを詰めてヴェラ嬢のお腹に寸勁を放つ・・・が後方に避けられる。うーんダメージ無しですか。


間合いを取り合いお互いにけん制する、左右に身体を揺らしながら突きを躱し間合いを詰める柄の部分に通しと呼ばれる徑を放ちヴェラ嬢の持ち手に攻撃を与えるが、薙刀から両手を放し回し蹴りで俺の接近を防ぎ一回転しながら軸足で薙刀を宙に投げ体のひねりを利用して上段斬りを放ってくる。地面擦れ擦れで躱し、起き上がりながら間合いを詰め左手をヴェラ嬢の右腰に当て寸勁を放つ・・こちらも避けられる。マジか⁈ゼロ距離の寸勁が避けられるとは思わなかった。普通に強ない?


「・・さすが強いわね。一応これでも学校ではトップ10に入るのだけれど。」

「ヴェラ嬢も流石ですね、最初の薙刀を弾いたのに手から離れる瞬間に手元に戻るように角度を付け地面に投げましたよね?それに先ほどの攻撃を避けられるとは思いませんでした。お見事です。」

【いやいや、今の状態のシンガが一撃も有効打をあたえられないとはね。特に最後の一撃は決まったと思ったが、ヴェラ嬢は中々所かかなりの使い手だぜ。】


余裕を見せているが背汗が凄いです、心臓バクバクです。お婆ちゃん、お爺ちゃんとイメトレしてからだから集中が継続してるのか、もっそい動けてるけどそうやなかったら普通に負けてるで。レピの言葉通りに改めて思うがヴェラ嬢の力量は一般から掛け離れている、有り余る才能に惜しまぬ努力。このヴェラ嬢を出来損ないと言わす姉のヘレナ嬢が恐ろしいな。


「腰に差した木剣は使わないのかしら?私が相手では使うまでもない?」

「・・初太刀は避けてくださいね。受けてはダメですよ。」


言葉に答えて意識を切り替え蜻蛉の構えを取るとヴェラ嬢の雰囲気が変わる。縮地モドキで間合いを詰めて飛び上がり振り下ろす。


「きぇぇぇぇぇえい!」

「うく・・きゃぁあ」


ボグンバキィ・ゴリ・・


「ヴェラ嬢!大丈夫でありますか!」

「ヴェラ嬢、大丈夫ですか!すいません。」


俺の初太刀を受け薙刀の柄が折れ、ヴェラ嬢の左肩に木剣が切り込んだ。多分肩の骨は折れたと思う。


「・・大丈夫よ、大丈夫。」


左肩を抑えて苦痛に顔を歪め、額に汗を掻くヴェラ嬢にポーションを慌てて渡す。


「何故、受けたのです?避けられましたよね?」

「受けれると思ったの、受けて逸らす事も出来ると思ったのよ・・ごめんなさいね」


「僕は未だ未熟の身。手加減が出来ません、以降は必ず避けて下さいね」


俺の言葉にヴェラ嬢が頷く、ヤバかった。ヴェラ嬢の構えが対峙した時に予想より綺麗で隙がなかったからリミッターが外れちゃった。二人にバレてないと思うが今は両腕に力が入らない(焦)


【シンガ、お前さん大丈夫かね?両腕に瞬間的に負荷が掛かり過ぎたな、どれ、ひと噛みしてやろう】


ありがとうレピ、良~い蛇です。ヴェラ嬢は少しの間、休憩してもらう。さて次に、セレスティーヌ嬢と無手で向かい合う。


「今から、無手で行う流久舞(るるぶ)と呼ばれる練習を行います。相手よりゆっくりと動いて技を繰り出して下さい、攻撃は寸止めで当てません。避けるのもゆっくりです、身体に技を馴染ませるのが目的ですから急所の攻撃もOKです。では、始めましょう」


身体の動きに集中、相手の動きに集中。意識は1ヵ所ではなく全体に呼吸も静かにゆっくりと周りの音が耳に入らない入れない程に集中する。お婆ちゃんの動きに重ねていく。


【シンガ、それまでだ。セレスティーヌ嬢が凹んでるぜ。】


しばらくしてレピの声が頭に響き動きを止めると右肘がセレスティーヌ嬢の顔の前で止まってる。


「・・ありがとうございます・・であります。」


明らかに元気の無いセレスティーヌ嬢に対峙したから気になった事を質問する。


「セレスティーヌ嬢、呼吸の仕方が少し気になったのですが、ジスクール伯爵家の流派はその呼吸法なのですか?」


「はい、ジスクール家の女性はこの呼吸法を覚える様に躾られますであります。呼吸法が何か?」


「もう一度、呼吸法を見せて頂いてもよろしいですか?」


「もちろんであります。では、分かりやすくヒッ・ヒッ・フゥー・ヒッ・ヒッ・フゥー・・・」

「ありがとうございます。(困惑)」


ん~?何故にラマーズ法?誰が教えたの?


「ちなみにですが、その呼吸法は、えっと、どのように伝わったと言いますか、誰が編み出したと言いますか・・・」

「旧領地にて敵対勢力と交戦時代にかの大聖女スズカより、当時のジスクール伯爵夫人が教わったと聞いているであります!」


それって、伯爵夫人がその時妊娠してて、スズカが呼吸法を教えただけじゃないかな?何処でそれが武術の呼吸法になったんだろう?


「呼吸法と言えば、先ほどのシンガが最初にしてた呼吸法も変わってるわよね。なんか、コヒョ~カファ~って言うやつよね。」


「息吹と呼ばれる呼吸法です。僕は意識を切り替える時に使用してます、普段は出来るだけ丹田呼吸法と呼ばれる呼吸法を心掛けています。やり方は・・」


ヴェラ嬢が息吹を真似してるがなかなか可愛いらしい(笑)二人に息吹と丹田呼吸法を説明する。イマイチ良く伝わらないな~、お!?流石はヴェラ嬢です、何となく分かった見たい。ん~セレスティーヌ嬢には分かりにくいか。


「セレスティーヌ嬢、分かりにくいですか?」

「・・はい、お腹がどうとか特に丹田?がどうとか分からないであります・・」


本人に確認すると案の定な返事が来る。仕方ない、嫌な予感もするけど・・・大丈夫でしょう。


「では、僕がお腹の動きを見せるので、触って見ますか、そうすれば、わか・・」

「師匠!私も全然分かりません、理解する気もありません。あれでは、言葉だけでは伝わらないです。触れれるなら上半身裸でお願いします!!お金は払います!」


ヴェラ嬢が土下座してお願いしてきた。理解する気持ちは持ってくださいよ。


「・・いや、真面目にですね、呼吸法を知って頂いきたいのですが・・」

「真面目です!下心無し!純粋に呼吸法を学びたいです!見て下さい、私のこの澄んだ目を!上半身裸でお願いします。何卒、何卒、この私、ヴェラ・ド・ムートじゃないわ・・・あれ?なんだったかしら?マリモ?マンゴー?ああ!マルゴー。そう、ヴェラ・ド・マルゴーの名に掛けて誠心誠意真剣に学びたいです。」


めっちゃ目、濁ってますよ。ちょこちょこ、怪しいけどセレスティーヌ嬢の為でもあるし・・・しゃあないか。


「分かりました、絶対にふざけないでくださいね。魔法の使えない僕にとって武術は生きる術です、真剣に学ぶと言われるならば未熟な僕で良ければ出来る限りをいたしましょう。・・・後、これは独り言ですが、僕だって本気で怒りますよ。」


「ちなみにだけど、あくまでも例えばなんだけど。ある人物がこの後ふざけてシンガを怒らせたとするじゃない、その人物はその後どうなるのかしら?」

「僕の中でその方は今後存在しません。」


「そ、存在しないとは・・何かしら?(震)」

「言葉通りです、存在しない人と交流は出来ませんよね?もちろんする気もありません。ちなみにですがヴェラ嬢、その手にお持ちの魔道具は何でしょう?」


「~~すぅ・・・何でもないわ。すぐに片付けるわね。(焦)」


俺とヴェラ嬢のやり取りをセレスティーヌ嬢が苦笑いしながら見ている。マジックバックから出したその魔道具って前世で言うカメラですよね?さすがに怒りますよ、まぁ存在しないまでは行きませんけどね(笑)。ともあれ、上半身を裸にして呼吸法をしてみる。


「まずは上半身の力を抜いて、このように鼻から息を静かに吸います、下腹部のこの辺りが膨らむのを意識してください。口、又は鼻から息を吐きます、再度吸う時は肩や胸が動かないように注意してください。では、呼吸を続けますので触ってみてください。」


説明しながら呼吸法を行い、セレスティーヌ嬢がお腹を触る。呼吸し膨れるお腹と丹田の位置、へそから指3本分下の下腹部中央に手を添えさせていく。


「これがノワール様から学びし呼吸法でありますか・・・ちなみに、息吹とはどうするのでありますか?」

「では、息吹を実践しますね。まずは、鼻から大きく息を吸い込み先ほどの丹田に息を溜めます。溜めた息をお腹で押し出す感じで口から吐き出します。この時にカーッっという声を出すと言いますか喉奥から息を吐きだす感じと言いますかを意識します。そして全身の筋肉を締めて息を吐きだします。」


説明難しいな、取り合えず息吹も実践する、この時も手を丹田に当ててもらっている。セレスティーヌ嬢がめちゃくちゃ真剣な顔でもう片方の手を自分のお腹に当てて真似している、ちょっとくすぐったいが仕方ない。


「・・師匠、そろそろお時間です。次は私が学ばせて頂きます。」


しばらく、セレスティーヌ嬢の手をお腹に当てて息吹と丹田呼吸法を繰り返していると、今までに見た事のないすっごく真面目な表情と声のトーンのヴェラ嬢がピシッと直立不動の体勢で声を掛けて来た。時間制だったっけ?


「セレスティーヌ嬢、少しは役に立ちますでしょうか?焦らずに日々取り組みましょう。僕も師匠ノワールより 立ち方3年 握り方3年 突き方3年と教わっています。先日お伝えした 千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とする とも教わっています、どちらも武を極めるには時間が掛かるという事です。焦りは禁物ですよ」

「はい!ありがとうございますであります。明日以降もよろしくお願いしますであります!」


うんうん、少しは元気になってくれたみたいだ。・・・さて次はヴェラ嬢ですな。


「では次に、ヴェラ嬢です。どうぞ。」

「はい!ご馳走になります!」


・・・イキナリふざけてないか?いやまだ分からないか。セレスティーヌ嬢の時と同じく丹田呼吸法と息吹を実践する。


「えっと、シンガ。もう一度息吹をお願いしても良いかしら。背中や脇腹等も触っても良いい?」


【シンガ、私が見ていた限りでは変な所は無いぜ。少し探る感じではあるがね(笑)】


レピの言葉に疑問が湧く、探る?何を?考えても仕方がないので体中をサスサスと触られながらも息吹を続けていると


「シンガ、丹田呼吸法をお願い。」


めちゃめちゃ真面目な表情のヴェラ嬢から次のリクエストが来たので続けて呼吸法を切り替える。こちらも全身をサスサス触られる。しばらく続けていると軽くお腹にグーパンを食らう。いきなり何?


「やっぱりそうなのね。シンガ、スキルはアイテムボックスと鑑定よね?魔法は使えない、武術もスキルではなくお師匠様、ノワールからの指導による習得で間違いないかしら?」

「はい、その通りです。それが何か?」


「この呼吸法、息吹から丹田呼吸法を行うことでシンガは、身体能力強化スキル、又は強化バフと同じ効果を得ているわ。」

「はい⁈」


ヴェラ嬢から言われた言葉に驚きの声が出た。呼吸法にそんな効果があったんや、確かにレピバフは別としても普通に考えて6歳の子供の動きとちょっとちゃうもんな。しかし、良くわかったな?


「シンガ卿の呼吸法にそんな秘密があったでありますか!凄いであります!自分も効果がでるでありますか?」

「どうかしら?何か条件があるかもしれない。例えば直接お師匠様の手ほどきが必要とか、呼吸法だけではなく武術習得と関係しているとか・・・私も専門家じゃないから詳しくは分からないわ。」


【シンガ、ヴェラ嬢はああ言うがね、普通に触っただけで気づけるなんてのは中々ないぜ。それこそ、保険室の先生が触診で大病を見つけるようなもんだ、その人物の事を細かく観察してないと分からないぜ、お前さんかなり愛されてるな(笑)】


さよでっか、レピさんのからかいはもういっす。しかし、身体能力強化ね。スキルや魔法以外にもそういった効果が出るんだね、気持ちの部分が反映されるんだろうか?ならば、俺の知る座学っぽい事もやってみるか。



「心の置き所、心を何処に置こう。剣先に置けば剣先に心を奪われ、相手の腕に心を置けば腕に心を奪われる、気持ちに心を置けば気持ちに。故に、明鏡止水でなければならない。曇り、迷いのない磨かれた鏡の心であり静かな水面の心こそが武の道を歩むに必要な物」


俺の前にはテーブルと椅子に座る2人、俺の言葉にふんふんと頷いている。まぁ、心の置き所って色々言われるよね、俺は爺ちゃんから色々忘れてるけど多分こう教わりましたが、婆ちゃんからは 心は体の中になく、心の中に身体がある。 と言われてたりする。よ~分からんがなんかのきっかけになればよいかと思ってる。持ってるものはすべて渡していこう。


「ありがとうございますであります!その、言葉の意味はまだ分からないでありますが。でも、シンガ卿が自分の為に・・こんあ自分のぉ・・為に・・色々と・・親身になって・・来て良かったであります!(泣)ヴェラ嬢にも感謝するであります!」

「何を言ってるのかしら?夏季休暇は始まったばかり、明日以降も楽しい事しかないわ。でしょ?シンガ。」


「そうですね。是非とも楽しんで行ってください。」


涙ぐみながらお礼をいうセレスティーヌ嬢、小さながらも悩みはあるんだね。武門の一族で上手く剣が扱えないって相当なプレッシャーやろうな。座学も終わり、少しの自由時間を経て夕食と舞台の準備をしていく。


「当主様、タルボ男爵より返事が来ております。」

「ありがとう、確認するよ。」


夕食の準備をしていると義覚が手紙を持ってきた、中身を確認すると予定としては明日の昼にタルボ男爵家にて交渉を行う以外の予定は開かないとの事。


「予想通りにこう来たか。・・仕方ない。義覚、今からタルボ男爵領に向かう、ギルドで馬車を借りる手配を!ハセ班の一名とクスノキ班の2名は僕に同行してくれ。エリリ義母さん夕食はキンクマ班が対応します。ヴェラ嬢、申し訳ありませんが本日の舞台は中止とさせていただきます。」


「待って、私も行くわ。だから明日の朝出発しましょう。」

「いえ、それは出来ません。今から出ないと約束の時間に間に合いません。出来れば夏季休暇中に交渉と攻略を終えたいのです。それに交渉の場にはヴェラ嬢の参加は認められません。」


予想してたけどここまで露骨とは思わなかった、ムートン男爵領からタルボ領まで馬車で早くて半日かかる。馬車を持っていない当家の完全に足元を見られた、交渉時間に遅れれば相手の優位に話が始まってしまう。明後日以降と考えていたが外れたな。ここにきて鉱山の話をすると聞いて何か儲け話があると勘ぐられたのだと思う。交渉内容は事前に手紙で送ってたのだけどな~


「大丈夫よ、交渉事には派閥と違う家の者が同席しても問題は無いわ。いいえ、多分だけれど相手も別の派閥の者を呼んでるわよ。だから私が参加するのはかえってシンガの為になると思うわ。特に・・・聖王・聖女教会の者が参加するならね。」


んん~確かに、別の派閥の者や特に聖王・聖女教会の者が同席するならヴェラ嬢の存在は有難いな。それと、出発が明日の朝は何故に?今からじゃないと間に合いませんが・・・


『ヴェラ嬢が参加なさるなら、是非カインもお願い出来るかしら?シンガの交渉する姿を見せたいのよ。』

「義玄、すまないが同行をお願いする。黒曜はカインの護衛を頼む、他は最初に言ったハセ班1名、クスノキ班2名が同行。義覚、ヤツフサ達はエリリ義母さんとセレスティーヌ嬢の護衛と領地の警戒をいつも以上に頼む。」


〖承知いたしました。〗


「ルナリス、明日の準備を。」

「はい、お嬢様。」


それぞれが返事を返し準備に入る・・・えっと、なんか皆のんびりしてない?今すぐいかないと遅刻しますが?何故に明日?


「・・・ヴェラ嬢、今から出ないと間に合いませんが・・ギルドに馬車を借りに・・」

「間に合うと思うわよ。・・・・だって私の馬車、不壊の馬車はその辺の馬車と速度が違うわ。他の馬車が1日掛かる所をフレア達がちょっと本気で走れば数時間よ(笑)」


ああ!!でした、忘れてた。フレア達なら普通の馬車が普通列車なら新幹線やもんな。・・言い過ぎか?いやいや、ちゃうちゃう俺の用事で乗って良いの?


「言ったでしょ、あの馬車は私とシンガの馬車よ。・・・私と貴方の2人の為なら地の果てまで走ってくれるわ。(照)」

【シンガ!これ告白ですよ。いや~間違いなく告白ですぜ(笑)おいおい、モブ顔の癖にこんな美少女から告白?モブ顔が身の程知らずにヒロインから・・か~どうでもいいモブがね~モブの分際で恐れ多いぜ、勘違いするなよモブ野郎。】



俺が、 え、良いの? 表情でヴェラ嬢を見ているとテレテレのヴェラ嬢が声を掛けてくる。エリリ義母さん達、皆の表情がスンとしてるのが見える。あのよ、レピさんモブモブうるさないか(怒)へ、へ~ん羨ましいやろ!ヴェラ嬢みたいなどちゃくそ可愛い子から告白モドキをされました!イエ~イ(困惑)


「ヴェラ嬢ありがとうございます。とても助かります。」


お礼を述べて夕食をみんなで食べる、エリリ義母さん達みんなの視線が気になって食事の味が良くわからなかった。だから、エリリ義母さん俺は何もしてませんし、しません。


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