ヴェラ・ド・マルゴー③
決闘が終わり日常が戻る。学校で授業を受け、家で講師に八つ当たりされる日々、でも私の気分は良好だった。もうすぐ、夏季休暇。つまり、シンガとムートン男爵領で2人は末長く幸せに過ごしました。おしまい。
な、結末なら最高なのだけれど。そう上手くは行かない。私に個人所有の馬車や護衛は居ない。ギルドで頼んでもシンガの存在が2種族にっと考えるとなかなか難しい。ギルドマスターに相談する為、ギルドに訪れるとシンガがクエストに行ってるらしくどうせならと終えて帰ってくるのを待つ。
「おかえりなさい、シンガ。少し良いかしら?」
「ただいま戻りました。・・・何かありましたか?」
しばらく待っているとシンガの姿が見えて声を掛ける。うふふふ、このやり取りまるで新婚夫婦みたいね。(喜)別室でギルドに来た要件をシンガに伝える。話を聞いて怒気を含んだ表情のシンガにうれしくなるが帰りの護衛の相談をする。
「変わりに、ヴェラ嬢にお願・・」
「良いわよ、任せて。」
シンガが快諾してくれて、その後に私にお願いがあるらしい。内容など関係ない、断るなんてしない。話を聞けば、シンガの師匠ノワール様に食事を振舞って欲しいとの内容だった。
「・・ルナリス、準備を、すぐに準備なさい。後、他の公爵家に連絡を、それと・・」
「ヴェラ嬢。他の人が居れば気分を害する。後、師匠に会う時の注意点をお知らせします。」
慌てて、準備の指示と他家への連絡をと考えていたがシンガに止められ注意点を聞かされる。必ず厳守する様にとシンガがとてもまじめな表情で伝えてくる・・・カッコいい、しゅき。注意点は3点あった。
1 食事中はしゃべりかけない、しゃべらない。
2 料理の名前等も伝えない、説明しない。
3 個人名は伝えない呼ばない。
一応理由を尋ねてみたら。
「簡単です、師匠は本物ならかなり長く生きています、新しい情報で重要な記憶を消さない為にあえて新しい情報を与えない覚えない様にされているのです。」
なるほど、長く生きるとそういった弊害もあるのね。そして明日の夕食を振る舞う事になった。約束の時間になり、部屋で待つ私とシンガにめちゃめちゃ緊張したスパイのメイドがノワール様の来客を伝える、貴女も緊張するのね。私の指示にルナリスはじめ、全員が緊張を隠さずにうなずいてる。先日のノワール様とのやり取りを思い出す。もちろん、ミス等許されない。
「お?元気にしてたか、ガキ。それとお嬢ちゃん、今日は飯を食いに来た、よろしくな。おお、ベッピンさんも居るのか」
ノワール様が現れ、それぞれが挨拶を交わす。ルナリスが居ると言われて緊張するが咎められる事はなく安心する。
「お嬢ちゃん、得物はなんだ、構えな。・・早くしろ!ガキ、お嬢ちゃんに渡せ!」
「は、はい!」
突然、ノワール様に構えろと言われて慌てているとシンガがアイテムボックスから剣を渡してきて受け取り構える。
槍・斧・短刀・弓・素手
言われた物を一通り素振りをするとシンガに紙を渡していた。その後はノワール様と食事を楽しむ。と言っても会話は無い、やがて食事が終わりシンガが声をかける。
「師匠、明後日は人数が増えても宜しいですか?」
さて、これからが今日の本番。ノワール様の目が細くなると部屋に緊張が増す。
「人が何故増える?お嬢ちゃんが飯を食わしてくれたらそれで良い・・」
「師匠、明後日の得物の対価は先日の決闘で僕に刀を貸してくれたお礼です。今日の食事の対価は明後日の人が増える事です。明後日の対価は考えて下さい。」
シンガがノワール様とやり取りをしている。私は前もってシンガからノワール様との会話に参加しない様にお願いされている為、ただ見守る。
「ちっ・・クソ、分かった。但し、ルールは守れよ。じゃ、今日は帰るわ。お嬢ちゃんご馳走さん。」
暫くの沈黙の後、しぶしぶノワール様が人が増える事に了承して帰って行く。
「明後日は人数が増えても大丈夫です。」
「シンガ、やっぱり貴方凄いのね。人族の英雄ノワールを説得するなんて、本当にありがとう。」
ルナリスに他の公爵家と王族に連絡を入れる様に伝えて全員から参加の返事をもちろん貰う。参加者は国王と聖王、4大公爵家当主又は次期当主と私、シンガの8名。シンガから書面で注意事項にサインをさせる様にと言われて前もって全員に配りサインをもらう。
「今日の参加者に変更がある、お前の代わりに当家はヘレナ様を参加させる。以上だ。」
「お、お待ちください。シンガの師匠であるノワール様は私に食事の準備をせよと仰せに・・」
「だから、準備はお前がするんだ。参加はする必要がないだろう?それともお前に参加しろとノワール様が伝えたのか?」
食事会の当日朝、自分の娘を様付けで呼ぶイカレタお父様に私の不参加を告げられる。・・反論など意味がない、改めてこの家に私の居場所などないと思い知る。
「お、お嬢様。その・・」
「・・・食事の準備をしましょう。いつも通り毒見は私がします。」
部屋から追い出された私を見てルナリスの表情が曇っているが悲しんではいられない、シンガが参加するならいつもの様に私に出来る事を、変わる事のない変える気もないシンガの為にして上げたい事をするだけ。
「あら?これはこれは、出来損ない・・・失礼。かの4大公爵家の一つマルゴー公爵家の次女、ヴェラ嬢ではありませんか?なぜこのような所に・・ああ、メイドの真似事ですか?確かにこの先の事を考えると必要ですものね。うふふふあはははは、お仕事の邪魔にならないように失礼いたしますわ」
年増がなぜ此処に?とりあえずあいつの食事には、雑巾の煮汁でも出そう。・・・いやいやダメよ、今日はダメ。食事の準備を進めていると各当主や国王陛下、聖王と別室に集まり始める。この別館が建てられてこれほどのメンバーが集うなど初めての事だと思う。
「ヴェラ嬢。そろそろ、着替えられてはどうでしょうか?もうすぐ、師匠が現れます。」
「・・・その、私の参加は・・お父様から認められてないのよ。」
「あ、そうなんですね。でも、公爵家の当主如きがヴェラ嬢の参加を認める認めないもありませんよ?決めるのは師匠、ノワールです。」
「これこれ、シンガ君。本当に自重してくれ、その発言は不敬罪だよ。」
参加者全員に再度口頭で注意点を伝え終えていたシンガの言葉にアドリアン卿が突っ込みを入れる。本当にシンガって私の事が好きね(笑)シンガから、動きやすい格好とドアの近くで隠れて待つ様に言われる。やがてノワール様が来られて入室されるとすぐに喧騒が聞こえる。私はドアを開けて慌てて入室する。
「っち、しょうがない。今回だけだ。・・・ガキからルールは聞いてるな?破れば二度と現れないからそのつもりでな。」
謝罪しながら席に着く、その後は滞りなく食事会は進み終わりが近づいて行くのが分かる、それぞれが秘めた思いで、ノワール様にどう接するのかお互いをけん制しあう。
「悪い悪い。ほれ、お嬢ちゃん持って構えな。」
突然呼ばれて、アイテムボックスから変わった形の武器を取り出し渡される。シンガを見ると小さくうなずくのが見えて取り合えず構えてみる・・・構える事ができる。内心で驚く、何故、私はこれほどまでに、この武器が私を選んだかのように落ち着くのだろうか。その後もいくつか構えと振りを修正していると
「じゃ、ヴォルフ。ああ、お嬢ちゃん動くなよ、噛まれたら素振りをしろ良いな?」
ノワール様の言葉に使い魔のダークスネークのヴォルフが私に噛みつく。素振りをすると世界がゆっくりと流れる、身体が、いいえ筋肉の筋の動きまでもが分かる。全身がまるで水、もっと濃い、そう世界の抵抗にあらがうように武器を振るう。
「はぁはぁはぁはぁ・・・し、失礼いたしました。」
1度の素振りで最初の位置に戻るとまるで数百回素振りをしたの様な疲労感を感じて荒い息がでる。
「流派は鈴鹿流薙刀術。先日と今日の食事の対価は払った。問題ないよな?気が向きゃ俺が教えてやる。」
「・・・はぁ⁈わ、私がノ・ノ・ノワール様の孫弟子ですか?人族の英雄自らの指導??・・・ええ???」
は!?、私が孫弟子?人族の英雄に手ほどきを受ける?ふぅ~落ち着きなさいヴェラちゃん、ええ、未来のヴェラ・ド・ムートンちゃん、きゃ♡。シンガ(旦那様)と出会って色々あったでしょ?へいき、そう、へいき・・・・な訳ない!ど、どうゆうこと?
薙刀と教えられた武器を抱えてワタワタしてると年増がなんかやらかした。
「ガキ!!お前はちゃんとおっさん達に伝えたのか?どうなんだ!!」
ノワール様がガチギレしてシンガに怒りをぶつけている・・・よし、あいつは本気で殺そう。この薙刀で最初に殺す相手はあいつに決めた。アドリアン卿がうまく立ち回り彼が聞きたかった事をちゃっかりと聞いていた、そのあたりはさすがと言うべきか。
「貸して。」
気付けばヘレナ姉様が横に立ち薙刀を借りようとしている。嫌だと思いながらも恐る恐る手渡すと構えを取られる。・・・ああ、またしても私は及ばない。選ばれたと思ったのに、未熟な自分でも分かってしまう、ヘレナお姉様の方が私よりも・・
「それは孫弟子の物だ。っち、お前はこれだ。」
ノワール様、いいえ、お師匠様がヘレナお姉様に声を掛け弓を指導される。
「孫弟子とべっぴんさん、スズカも弟子にするなら孫弟子の方だ、なぜそうなるのかも考えろ。」
お師匠様はヘレナお姉様を弟子になさらなかった、私をこの私を大聖女スズカも弟子にすると言われた。おごるつもりなどないがうれしいのは本当だ、ダメだ、泣きそうになる。喜びに浸っていたら年増が聖女の肩書を外され、私は後日国王陛下から馬車を頂くことになって、お父様が国王陛下から護衛団を付けるようにと言われていた。
次の日、昨日感じていた違和感と言うか疑問をシンガに聞いてみる。
「シンガ、いいえ、師匠(笑)昨日はありがとうございます。ただ、なぜヘレナお姉様は弟子になさらなかったのかしら?」
「ヴェラ嬢、師匠は止めて下さい。今まで通りシンガでお願いいたします。ヘレナ嬢が示した対価は物の価値はあっても心はありません。ヴェラ嬢に師匠は何か可能性を見出されたのだと思います。」
此処でも、心と言われる。目に見えない物に価値を置かれるお師匠様とシンガ、だからと思いもする。見た目や形ある物に捕らわれず思いのままに言葉を行動をするのだと、縛られないのだと、とてもとても、・・・怖いと思ってしまった。つまりはシンガはお金や地位で私が今ある紛い物の力では縛り付けられない。私自身の力で横に並び立たないと何れは・・・・
後日の夕方、私個人の馬車が別館に届いた。・・・・・デカくない?ええ⁈めちゃくちゃデカくない?公爵家が持つ馬車の数倍ある。ごっつい生き物の馬?達・・・魔物じゃないわよね?も白くてめちゃくちゃ綺麗だ、すっつご~い(笑)さすが国王陛下ね。
「お、お、お、おじょうざば!オンドゥルルラギッタンディスカー!!こ、ここ、こここ・・・」
「ルナリス落ち着いて、どうしたのよ?確かに素晴らしい大きな馬車だけど・・」
馬車の後ろ向かって外観を見ているとルナリスが一か所を指さして今まで見た事のない慌てぶりを見せて古代の言葉、確か、オンドゥル語?を叫び、鶏みたいにここここ言ってる。
「ふ、不壊の馬車・・・これは不壊の馬車と呼ばれる王族御用達の馬車です!MRNの刻印がここにあります!」
「ふへ⁈」
変な声が出た・・・ふぅ~なんやこれ?王族御用達?なんで王族に嫁ぐ予定のヘレナお姉様じゃなく、まったく関係ない私が頂いてるの?・・・ああ、なんだ、そういう事ね。お師匠様ではなく私を縛ることで、場合によってはお師匠様に恩を売る腹つもりなのね。なるほどなるほど、以前私がシンガに向かって言った言葉がある意味あっていたと思う。つまり、全能神ゼリウスはシンガを忌避される存在にする事によってお師匠様の力を悪用されないようにしていたのね。
確かに、男爵家のシンガでは国王陛下からこのような頂き物をすれば、お願いされた内容によってはお師匠様の力を借りれるように説得するかもしれない。でも国王陛下が、けが・・のシンガを懇意にすれば2種族や聖王・聖女協会の突き上げを食らうことになるために手は出しにくい。・・・やっぱり私の存在が二人の足かせになっている気がする。
「ふん!国王陛下も全く無駄な事をする。生ゴミに不壊の馬車など何を考えているのか、このデカい化け物も瞳がワインレッドとは不快でしかない。どれ、この俺様がその目を抉ってやろう。剣を持て!!」
耳障りな声に気付けば弟が勝手に別館に来てなんか勝手に私のシンガと過ごす大事な馬車を引く愛馬達に剣を向けている。
「・・・おい、生ゴミの分際で、俺に良く分からん武器を向けるな。俺を誰だと思っている、この俺様は・・・」
「貴方こそ私を誰だと思っているのです?この私、ヴェラ・ド・ムーじゃなかった、なんでしたかしら?ああ、マルゴーはかの人族の英雄ノワール・ド・カルメネールの孫弟子になります。国王陛下、聖王・聖女教会もお認めの事実。貴方如きに遅れは取りません、この子達を傷つけるなど・・・・ガキが寝言をほざくな!!(怒)」
薙刀をマジックバックより取り出し弟に向けて構える。以前までの私なら出来なかった事だ、傷つけられても諦めて気にしないようにしてきた。でも、譲れない物が手に入れたい物が出来た。ひ、退かぬ!・媚びぬ!・省みぬ!スズカ流ナギナタ術継承者に逃走は無い!!
「っち、き、今日の所はこれで許してやる。」
小物全開のセリフを残し去って行く後ろ姿を見送る。馬達を良く見れば古いけど大小いくつもの傷があった、そうあなた達も傷ついてきたのね。
「ルナリス、ポーションを持って来て。この子達の怪我を治しましょう。私の大事な愛馬だから綺麗にしないとね」
「はい、お嬢様。・・先ほどはお見事でした。」
馬達の怪我を治し、夕食を済ませて休んでいると明日朝、本館に来いと連絡が入る。気分が悪いが仕方ない、次の日朝に向かう。お父様の部屋に通され
「お前に縁談がある。相手はサンテミリオン侯爵家の当主だ。来年のお前の誕生日後、準備をはじめろ。以上だ下がれ。」
珍しく家族全員が集まる部屋で何時もの様に言われる。サンテミリオン侯爵家と言えば、ラトゥール公爵家の派閥のはずだ。ああ、ヘレナお姉様が王太子妃となる為、ラトゥール公爵家を見限ってマルゴー公爵家に擦りよったのね(笑)
しかも、現当主は確か50歳を超えていたはず、あくまでも家の繋がりだけの結婚。それに、娘さんには婿養子が居て次期聖王なはずだ。なるほど、聖王・聖女教会として私のお師匠様であるノワール様との繋がりも欲しいのか。
部屋の外で待っていたルナリスを後ろに思案しながら廊下を歩く。
「お、お嬢様。当主様からのご用事はどのような事でしょうか?」
「私の縁談が決まったわ。サンテミリオン侯爵夫人よ(笑)寿命が延びたって事かしらね。」
「お嬢様?・・冗談ですよね?サンテミリオン侯爵と言えば、齢50歳を越えたお方。さらに次期当主は娘婿様が決まっており、いえ、それよりもシ、シンガ様はどうなさるのですか?お嬢様はシンガ様の事を・・」
「言わないで!・・お願い。・・・言わないで、ここで私は・・ふぅ~早く別館に帰りましょう(笑)」
この場所で、誰が見てるかわからない場所でなど・・・出来ない。悲壮な表情を浮かべるルナリスを連れて別館へ帰る。その夜は、よく眠れなかった。翌朝、ベッドから起き上がる気にならず横になっていると
「お嬢様、当主様がお出でになっています。すぐ、中庭に来るように仰せです。」
「分かったわ、すぐ向かいます。」
お父様が何の用だろうか?・・まぁ、ろくな用じゃないとは思う。
「国王陛下より頂いたこの、馬達にマルゴー公爵家の当主として名と武具を送ろう、有難く思えよ(笑)」
「ご厚意、有難く頂戴いたします。」
「まず、馬達の名だが・・・フレア、グレン、エクラ、イグニス。お前以外の家族全員からの名付けだ。それと、おい!・・・こちらの武具を身に着けさせると良い。お前のその髪と目の色であるワインレッドの武具を特注で拵えておいた。お前の将来的な立場でも丁度よいだろう。(笑)・・・ではな、最後位は役にたったな。」
「名付けと武具。まことにありがとうございます。」
去っていく後ろ姿を見つめていたが馬鹿馬鹿しい、炎を冠した名前に火の魔法適正をイメージする武具。つまり、水の魔法適正をイメージする青い武具でない事からマルゴー公爵家からは居ない者とされたって事になる。どうせ居ない存在にされるなら、シンガの元に・・・ダメだ、国王陛下からこのような素晴らしい馬車を頂いておきながら、貴族籍の返上等無理に決まってる。
「お嬢様。この仕打ちはあまりにも・・」
「気にしないわ。今更だもの、公爵令嬢も考えものね。私が伯爵や子爵の令嬢ならシンガの元に行けたでしょうね(笑)」
「お嬢様。公爵家を捨て、貴族籍を返上なさればよろしいのではないですか?シンガ様ならきっとお嬢様の事を悪くなさらないでしょう。私が正妻で、お嬢様が妾で仲良く暮らしましょう。」
「ダメよ、ルナリス。国王陛下からこのような素晴らしい馬車を頂いておきながら、貴族籍の返上は出来ないわ。確かにシンガなら・・・ちょっと待って、何か雑音が入った気がする。ルナリスもう一度ゆっくりと最初からお願い。」
「お嬢様。貴族籍を返上しましょう。」
「続けて。」
「私が正妻でお嬢様が妾・・」
「ルナリス、ストップ。」
「あ、はい。何か?」
「ふぅ~、何でルナリスが正妻なの?」
「え!?他に誰か、コクヨウ?コハク?」
「だから(怒)何で、私が妾なの!貴女、いつの間にシンガの事が好きなのよ!人の事をさんざんチョロイとか言ってたじゃない。あ!貴女、婚約者が居るって言ってたじゃない。」
「え?最近出来た婚約者はけっこう前に私が振りましたよ、決して振られた、ええ、振られた訳ではありません。それと別にシンガ様に惚れてませんから、シンガ様が私の事が好きなだけです。」
「ダメなヤツじゃない(泣)それ、ダメなヤツ。振られた現実見てないし勘違いしてる、最近なのにけっこう前にって可笑しいじゃない。絶対シンガはルナリスの事なんて全然これっぽっちも興味ないわよ。」
「あ~嫉妬ですか~。シンガ様が私を好きなのは私は悪くないですよ?イヤ、強いて言えば私の存在が・・・でしょうか?」
「ルナリス、貴女の目がグルグルよ?え、待って、私は何時もこんな感じなの?引くわ~ヤバいこれは引く。気を付けないとシンガに嫌われる。」
「お嬢様、お分かり頂けましたか?この私、ルナリスは何時ものお嬢様がこんな感じですよとお分かり頂く為に敢えて、そう敢えてこのような態度を取りました。以後、お気をつけ下さいね」
「ええ、分かったわ。ありがとうルナリス。あれはヤバいヤツよね(笑)貴女って本当に素晴らしいメイドよ、私に仕えてくれてる事を幸せに思うわ」
「お嬢様、当然の事です。お気になさらないで下さい。」
ルナリスと2人で仲良く笑いあう。改めて思う、自分を支えてくれる味方がいる事がこんなにも心強いなんて、今日も素敵な日になりそう!私達は何時までも笑いあっていた・・・・
なんて、以前の私なら思っていたでしょうね。ダメよルナリス。貴女にでも、シンガは渡さない。大聖女スズカの名言集にもあった。 恋はダービ- 決して負けられない戦いの事らしい。貴女は今日からライバル、負けるつもりはないわよ!自称名探偵キュアアルカナシャドーの私の目は誤魔化せないわ。月が変わってもお見通しよ!




