夏期休暇領地に帰ろう④マルベックから領地へ
シラーズの町からゲートを使いマルベックの町へここからは、何もない草原をひたすら馬車を走らせ領地に向かう。
「あら?シンガって、その老夫婦にかなり愛されているのね。てっきりエリリお義母様だけかと思ったわ」
「は?・・・いえいえ、老夫婦からは愛された記憶より冷たくされた記憶が多いのですが、何故そう思われたのでしょうか?」
マルベックから領地へ目指して2日目のキャンプ。まぁ、もちろん俺はヴェラ嬢の馬車に泊まってる。今、セレスティーヌ嬢や黒耀達はシャワーに行っている。もう少しで領地となった為と、ヴェラ嬢から俺の産まれた時の事を聞かれて話が一通り終わると先ほどの言葉をかけられた。
「だって、エリリお義母様は生まれつき身体が弱く寝たきりな状態になったりされているのよね?じゃ、シンガにミルクを与えた、又はもらって来た人物は誰?2種族を相手にしながら村中を駆け回るなんてお義母様には無理でしょうから、残っている人物でなら、老夫婦しか居ないでしょう?」
確かに、乳児ってミルクは2.3時間おきにあげないとダメだったはず。しかも俺の居る小屋を守りながらと考えると2人でなんて無理だ。・・・おい、レピどないなってんねん。
【待て、シンガ。気持ちは分かるがあの時の私はね。お前さんのめちゃくちゃ少ないMPをやりくりして着の身着のまま着の身着のまま、木の実ナナ。わははは!・・・違うんだ、本当にあの時の私は敵か味方かの判断もギリギリでお前さんに危害を加えなくても威嚇はしてる状態だったんだよ。つまり、分かってません、すいません。】
「ふぅ~当時はともかく、今まで騙されてたなら相手が上手だったって事だね。しょうがないさ。」
【そう言ってもらえると助かるぜ。】
しかし、何故老夫婦は俺に冷たく当たっていたんだ?もしかして、父親が俺の事が嫌いだから表だって守るのではなく、冷たい態度を取って父親を油断させてたのか?俺を身近で守る為に敢えてしてたのかな。
「シンガ、話をした方が良いわ。カザル卿の事もあったでしょう?生きてる内に、後悔は無い方がね」
「そうですね、ありがとうございます。」
そうだったね、カザル君もお姉さん達と話をしてればあんな最後はなかったよね。
「シンガ、もし先ほどの私の言葉に感謝するなら、お礼は良いから私の質問とお願いを聞いて欲しいの」
「はい、何でしょうか?」
「シンガ様の女性の好みを知りたいです。(照)」
ん~何故に様呼び?ヴェラ嬢が頬を染めてこちらを見つめてる。
「あ、いや、僕はまだその様な事に気が向きませんので・・」
「じゃ、髪の長さはどれくらい?スタイルは?目の色、あと、髪の色、爵位は?それと・・・」
やんわりと断ったらストレートな質問?尋問が来た。目の色や髪の色、ましてや爵位は答え辛いな~
「目の色や髪の色、爵位は特に好き嫌いはありません。長さはロングヘアーが好きよりでしょうか?スタイルも特に大き過ぎず、小さ過ぎなければ良いかと思います、です、はい。」
これさ、前世ならハラスメント発言じゃなかろうか?いや、質問に答えただけだから大丈夫か?
「そうなのね?私達の周りでとなると誰かしら。・・・え!?コハクじゃない?」
「ウチ、呼ばれましたかにゃ?ヴェラ様。」
俺の好みの条件に当たるのは以外と琥珀でした。ヴェラ嬢もルナリスお姉様もロングヘアーではありませんし黒耀、セレスティーヌ嬢は胸・・消去法なら残るのは琥珀になるのかな。シャワーを終えて寝間着に着替・・何故にカマキリ?でっかくリアルカマキリが刺繍された寝間着の琥珀が現れた。大阪のおばちゃんの虎見たいです。黒曜とセレスティーヌ嬢も現れた。
「コハクにお願いがあるのよ、髪の毛をショートカットにするか、胸を切り落とさない?」
「ヘアースタイルを変える気はないですにゃ、妹が気に入ってますのにゃ。胸は切り・・え?切り、え?」
「切り落としましょう(笑)スパーンと、ミコト・カグヤサイズにしましょう、スパーン」
「私も手伝う。コハク、スパーン。」
「良く分からないでありますが、自分も手伝うでありますスパーンであります。」
琥珀を3方から囲み手刀を振りながらスパーン、スパーンと呟く様子はなかなかなホラーです。
「シンガ、助けてにゃ。皆の様子が変にゃ(泣)」
「どうしたんだい?琥珀。・・・スパーン」
「ひぃぃ~~なんにゃ?何があったにゃ(泣)どうしたら良いにゃ(泣)」
俺も仲間に入りスパーンスパーンと呟きながら近ずくと琥珀が座り込みながら泣き出した。
「冗談はさておき、シンガ。今からする質問に嘘偽りなく本音で答え欲しいの、セレスティーヌ嬢とコハク、彼女にするならどっちかしら?」
4方を囲み皆が笑顔でスパーンスパーンと言っていたと思ったら、ヴェラ嬢から地獄の質問が来た。
「ヴェ、ヴェラ嬢。その質問は少々、この後の人間関係に問題と言いますか、拗れが出るように思うのです。なので止めませんか?」
「私は全然気にしませんよ。」
〖私も、ウチもにゃ、自分もであります。〗
「だ、そうよ。じゃ、答えてシンガ。」
いつの間にか部屋に居たルナリスお姉様が最初に声を上げみんなが同調する。いや~絶対拗れるって~良いことないって~と言いたい気持ちを押し殺して答える。
「・・琥珀です。」
「おっしゃ!にゃ。」
「残念でありますが、自分はまだ子供ですからな、しょうがないであります。コハクおめでとうであります。」
いや、やっぱりセレスティーヌ嬢でお願いします。なに~めちゃめちゃエエ娘やん!笑顔で琥珀を祝福するセレスティーヌ嬢あなたが一番かわいいです。ただ、彼女って感じじゃないのよね。妹枠です。
「次は、コハクとルナリスならどっちを彼女にするの?」
二人に視線を向けると琥珀は自信満々で、ルナリスお姉様は目が血走っていた。こっわ、絶対気にする奴やん。
「・・・琥珀です。」
「にゃははは!」
「エコエコアザラク・エコエコザメラク、我が恨み絶えることな~し」
・・・ルナリスお姉様が呪詛を吐いて部屋の隅に行かれる。ああ、床に三角座りしてる。セレスティーヌ嬢が慰めに行った、ありがとう。だって、ルナリスお姉様は彼女にしたらそれですまないでしょう?ゴールまで行きますよね、いや、行かされますよね?そもそも、俺の事嫌いじゃなかったですか?
「では、コハクとコクヨウならどっちを彼女にするの?」
「ヴェラ様その質問は可哀想すぎるにゃ、いじめみたいな物にゃ。にゃはははは」
「卍解、神殺鑓」
黒曜が卍解して、え?卍解?いや、タダのグーパンでしたわ。びっくりした。琥珀に腹パンしてる。
「黒曜です。」
「効かぬわコクヨウ!にゃはははは、当然にゃ!・・・にゃ?・・にゃぁ~!!!」
「コハク、お前の敗因はたった一つ、貴様は俺を怒らせた。」
驚く琥珀にヴェラ嬢。いや、だって、トラブルメーカーですよ?彼女はちょっと二の足踏むかな~黒曜も最初はトラブルメーカーな所がありましたが、最近は学校で色々と学び交流を持ったことで良い子になりました、多少手が先に出ますけどね。しばらく騒いでいたが、いつのまにか負け犬の住処と書かれたボードが立てかけてある部屋の隅に琥珀は歩いて行った。
「では、最後となりましたわね。お互い愛の女神ヘーラーリスに誓い結果に恨みなど持たないと誓いましょう。」
「分かった、どんな結果でも受け入れる。」
真剣な表情の二人が向かい合い小さく握手する。あの~愛の女神さまのお名前がめっちゃ気になる。前世のあの方がモデルなら嫉妬えげつないで。大丈夫か?浮気性の旦那も悪いけども・・
「ん、んん。では、シンガ。コクヨウと私、ヴェラを 妻 にするならどっち?」
俺の頭の中でシンガ会議が始まった。質問内容を確認する、今後の事を考えてどう返事をするのかシンガ皆で話し合う。頭の中時間で1週間の話し合い、時に怒号が飛び合う会議の結果、遂に結論が出て、シンガ2にハンコをもらう、次にシンガ3にハンコが押された書類を渡して返答の許可をもらう。ふぅ~時間稼ぎ終了。
「・・・・黒曜です。」
静寂が訪れた、黒曜は静かに右腕を天高く突き上げたポーズで石像になっている、横を見れば髪の毛からすべてが真っ白に燃え尽きてソファーにうなだれ座り込むヴェラ嬢が居る。しばらくするとルナリスお姉様と琥珀がヴェラ嬢をまるで人間に連れ去られる宇宙人の様に負け犬の住処に連れて行った。
「・・・・いても・・・」
「はい?何でしょうか?」
「り・・を・・いても・・い・・」
「すいません、声がちょっと聞こえなくて」
「理由を聞いても良いかしら・・・」
まるで、幽鬼のようになったヴェラ嬢から質問が来た。大丈夫ですか?生きてます?
「では、嘘偽りなく僕の本心を皆さんにお伝えします。・・・人族の夫婦で子供に遺伝するパーセンテージはご存じですよね。容姿やスキルなど母親に似るのは75%父親に似るのは25%です。でも2種族が対象なら、獣人種の場合は母親85%父親15%になり魔人種族なら母親95%父親5%です。」
「えっと、それがどうしたの?それがコクヨウを選んだ理由になるのかしら?」
「僕とヴェラ嬢が結婚して子供が授かったら・・・25%の確率で穢れ人と同じ容姿で生まれてくるかもしれないのです。僕にはレピが居ました。でもその子には居ない可能性が高い。ルナリスさんは信頼できるかもしれませんが他の方はどうですか?僕は縁あって生まれてくる子供に余計な苦労はさせたくないのです。今の環境下で人族と結婚を考えられない、理由がこれです。」
俺の言葉にまた沈黙が訪れる。黒曜は復活して何故か俺の頭をニコニコしながらひたすら撫でてる。ちょ、やめろや、髪の毛ぼさぼさになるやろがい、てか、ぼさぼさになってるやろがい!
「ちょっと待って!もしかして私の聞き方が悪かった?・・あ~た~シッパイしただ~これ、やっちまったっだ~」
額に手を当て天井を仰ぐヴェラ嬢。あの~どこの人ですか?まぁ、復活?して良かった。
「シンガ、質問、質問のやり直しをするわ!そう、彼女なら私よね?そうで・・」
「お嬢様、それはずるいです。それで言えば私は妻ですよね?ほら・・ね?」
「諦めて、結婚式には招待する。」
またいつものワチャワチャが始まった。心の中で小さくため息をつくが・・
【シンガ、お前さんこの雰囲気を楽しんでるな?良い事だと思うぜ、どうせなら人生楽しんだもの勝ちってもんだからな。】
確かに、レピの言う通り最近はこのワチャワチャを楽しみにしてる俺も居たりする。そう言えば、エリリお義母さんやカインにはお土産を準備したけど、老夫婦には個人的なお土産は用意してなかった。二人と話をして落ち着いたら何かプレゼントを考えよう
「そうだわ、シンガ。お願いと言うのはこれの事なのよ。」
俺がいろいろと思案しているとワチャワチャが収まったのかヴェラ嬢がマジックバックから箱を出して渡して来た。
「開けてもよろしいですか?」
「ええ、中に入っているのは色々な宝石なの。それを使って何か私のアクセサリーを考えて欲しいのよ。指輪になると私は思っているのだけど、シンガなりの何かがあるならお願いしたいの、指輪になると思うから左手の薬指のサイズは後で教えるわね。まぁ、別でも良いのだけれど、指輪かしらね」
箱の中には確かに色々な宝石が入っている、ん~アクセサリーね。実は以前から考えてた事があります。ほら、俺はMPの9割をレピに取られてますやん。だからゲームで言う祈りの指輪?だっけ、MP回復させるやつか貯めたMPで魔法を撃てる様にするとか出来ひんかと・・・出来るんです!そんな魔道具売ってます、作れます。ただ、魔導銀って言う鉱石や魔力水を使うんですよね~。でも、ヴェラ嬢から預かったこの宝石があれば、あんな事やこんな事やそんな事もどんな事も出来るかも知れない。
「ヴェラ嬢、こちらはしばらくお預かりしても大丈夫ですか?なんとか夏期休暇中に形にしてお渡しする様に頑張ります。」
「ええ、本当に何でもいいのよ、指輪を楽しみにしてるわ。気に入った物があるならシンガも使って大丈夫よ。」
ひたすら指輪を押すヴェラ嬢に許可をもらい一旦アイテムボックスにしまう。・・あれ?領地にドワーフって居なくね?ヤッベ~アクセサリーってか魔道具作る事が出来ない可能性がある。いや、彼らが居ないと出来ません。
「ヴェラ嬢、やっぱりお返しします。領地にドワーフが居ませんか・・」
「あら、居るわよ。私が滞在中は何かと頼むつもりだったからムートン男爵家のリフォームをお願いしたドワーフ達に、そのまま居てもらって居るわよ。」
はぁ!?何それ?え?どんだけ滞在しているの、予算は・・聞くまでもなくマルゴー公爵持ちっすか。スッゲー
「ありがとうございます。シンガ・ド・ムートンの名に掛けてヴェラ嬢に必ず気に入って頂けるアクセサリーをお渡しします。びっくりなさる準備をしておいてください。(笑)」
「しゅき♡、正直、王国とか滅んでも気にならないし~貴族籍捨ててシンガの嫁さんになるか、そっちの方が絶対幸せやもんな。」
(そうなの?楽しみにしているわね(笑)シンガからのプレゼントなら何でもうれしいから、びっくりしちゃうと思うわよ。)
ん???なんかとんでもない言葉が聞こえたような気がする???周りに視線を向ければ何故かヴェラ嬢以外の皆がスンとした表情で負け犬の住処にて三角座りしているのが見える。
「あの・・ヴェラ嬢・・」
「そうなの?楽しみにしているわね(笑)シンガからのプレゼントなら何でもうれしいから、びっくりしちゃうと思うわよ。(チョイデカボイス)」
・・気のせいだ。そう気のせい。誰も知らない知られていけない、好奇心が猫を殺しますからね。このまま気付かないふりが生きる術です。
【聞いたかシンガ。ヴェラ嬢って意外に闇を抱えてるんだな。貴族籍を捨ててお前の妻にな・・・ひぃ⁈ちが、助け・・シン・・】
こう言うのもなんやけど、レピも以外に頭悪いなこの状況でその発言はアカン奴と分からんのかな?・・・いやいや、俺以外に誰がレピの言葉が分かるねん⁈え?レピを攻撃してるん誰やね・・・静かに微笑むヴェラ嬢の足元に左足で頭を踏みつけられているレピが視界に入る。視線をヴェラ嬢の目に合わせると、何?と言った感じで小首を傾げられた。可愛いな。
「・・・是非楽しみにしておいてください。あは、あははははは」
「すっごく楽しみ。うふ、うふふふふふふ」
【だ、だから違うって言ってるじゃないですか!・・・シンガ、床がキンキンに冷えてやがるぜ。(泣)】
レピの声が頭に響くが完全に無視してヴェラ嬢と乾いた声で笑い合う、良い機会なのでしばらく反省してください。その後は雰囲気も普通に戻り、ドペった琥珀が歌を披露して就寝した。それからもゆっくりと馬車を走らせる事2日、遂に領地の門が見えて来た。まぁ、門って言うよりも柵ですけどね。ここからムートン男爵領ですよって言う目印みたいなもんです。傍に小屋があるので顔をだすと見張りの獣人が2名いた。
「お、お名前を確認させてください。あと、こちらにサインをお願いします。」
「はい、僕はシンガ・ド・ムートンです。サインはこちらで大丈夫ですか?」
「も、申し訳ございません。お連れ様方のサインも頂きたく、お願いしてもよろしいでしょうか?」
ああそうか、不審者の侵入を防ぐ意味では必要だものね、ちゃんと仕事してますなエライエライ。ヴェラ嬢を始めセレスティーヌ嬢達にもサインをお願いする。ほ~初めてヴェラ嬢の字を見たけど綺麗ですな~さすがでございます。セレスティーヌ嬢や黒曜、琥珀はちょっと癖がありますな。のんびりと皆がサインするのを見ていたが獣人2人は明らかにフレア達にビビってる(笑)ヴェラ嬢達もサインをしてる間にめちゃくちゃ緊張して短距離通信魔道具でやり取りをしてるのが見える。俺の帰りを告げてる様で相手が慌てる様子も聞こえる。・・・・あれ?ムートン男爵家って通信魔道具持ってないよね?それ、アホみたいに高いよね。ど、どうしたのそれ!
「シンガ、私からプレゼントした魔道具はどうかしら、役に立っているかしら?」
「ヴェラ嬢、本当にありがとうございます。すさまじく感謝します。お返しのアクセサリーの件はちょっと本気で周りが引く位の物を考えてお渡しします。絶対受け取ってくださいね。」
通信魔道具まで頂いてたのかよ!ええ⁈男爵家クラスで持って良いもんちゃうで。まぁ、盗難防止にギルドで登録されて盗難転売は無理やけどもさ、それでも、こんな辺鄙な所で扱うの怖いな。それで、門番の獣人さん緊張してたんかな?アクセサリーは考え付く限り出来る限りめちゃくちゃな性能を持たせよう。限界は超える為にあるのさ!
「あ!エリリ義母さん達の姿が見える。やっと帰ってきた、なんか懐かしいな。・・・あれ屋敷・・だよね。ええ!屋敷大きくない?え?すっごく大きいのですけど・・・」
「あら、あの人達がシンガのお義母さん達なの?え?ちょっと、ロリってない、私と変わらない様に見えるのだけれど・・・ムートン男爵はロリってるの?でも、シンガは私が好きだから大丈夫ね、安心ね」
門を超えてしばらく進む、馬車の窓から顔を出すと前方にバカでかい屋敷が見えてその前に並んでる人影も見える。エリリ義母さん達の姿を見てヴェラ嬢がちょっと困惑した表情を浮かべているが・・分かります。どう見てもアカン感じですもんね。ああ、カインの姿も見える!っか~相変わらず主人公キャラなのかな~お兄ちゃん楽しみ~皆!帰って来たよ!




