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終わりゆく世界の片隅で  作者: アンチョビ


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21/41

夏季休暇領地に帰ろう①

遂に夏季休暇となりました天気は良好!準備は万端!お土産もテンコ盛りギルドにてヴェラ嬢と待ち合わせして国王陛下からプレゼントされた馬車とギルドが準備した馬車とでムートン男爵領に向かう。


【来しなは色々と大変だったが、今回はヴェラ嬢の馬車でとなればかなり楽が出来そうだぜ。良かったなシンガ。】


「本当だよ、レピ。どんな馬車か楽し・・待って、僕達乗れるの?ギルドが手配した馬車に乗るんじゃないのかな?」

【お前さん、あれだけヴェラ嬢を誑かし、底なし沼に引きずり込んでおきながら何を今更、冗談でも笑えないぜ。】


レピさん誤解です、それと言い方よ。嫌われて無いのは嬉しいけどね。


「シンガ、私達はどうする?ギルドの馬車?」

「ウチはヴェラ様の馬車が良いにゃ。何だったらシンガに化けて乗せてもらうにゃ(笑)」


「贅沢と迷惑を言わないでくれよ。本来はヴェラ嬢と帰る事になってなかったから、僕達は歩いて領地に帰る予定だったんだよ。ギルドの馬車でもありがたいと思わないと。」


黒曜と琥珀に一応注意する、特に琥珀は気を付けて欲しい。これ以上の混乱は避けたいからね、いやホンマにやで。しばらく喋りながらギルドに向かい歩いていると、なんか進行方向が騒がしい。


「シンガ、めっちゃデカい馬?あれ・・馬?が居る。」

「にゃはははは!あんなデカいのは魔物にゃ!馬じゃないにゃ、コクヨウは頭悪いにゃ。」


いやいや琥珀、王都の街中に魔物はおらんやろ?・・・・デカナイ?たしかに真っ白な馬らしき生き物が4頭。ワインレッドの武具を身にまとっていて、うわ~キレイやしめちゃくちゃ格好いい!馬車・・・馬車か?前世で言う超高級な大型バスクラスの乗り物がギルド前に止まってる。馬車の横にはマルゴー公爵家の紋章が入っているから間違いないな。マジか~デカいな!


「おはようシンガ!待ってたわよ。ふふふ、どう、驚いた?先日の件で国王陛下から頂いた物なの。もちろん、私個人の馬車だから、私以外は使用できないわ。・・えっと、違うわね、私とシンガ以外は使用できないわ。(照)」


【聞いたか⁉シンガ。お前さん、最っ高だぜ!フゥゥ~~~~セレブリティ~~レッドスコルピオン~~】

「おはようございます、ヴェラ嬢。個人の馬車としてはかなり大きな部類になるんではないですか?」


はいはい、気持ちは分かるけどレピさん興奮しすぎ!それ初のゴールデ・・・ヴェラ嬢の最後の方のセリフを無視して質問する。


「ええそうね。この大きさは王族ぐらいじゃないかしら?それと、マルゴー公爵家の皆が勝手に付けてくれたこの馬達の名前もあるのよ。この子からフレア、グレン、エクラ、イグニス。そう、炎を冠した名前。準備された武具も本来はマルゴー公爵家の色は青が多いの、髪の色であるワインレッドの武具を付けない訳じゃないけれど、ラトゥール公爵家が多く用いるのよ、火の魔法適正のね。うふふふふ、もう、笑ってしまうわ、本当にちっぽけで馬鹿な人たち。」


話ながら案内されて、4頭の中心に向かう。ヴェラ嬢が一頭一頭の顔?鼻面を優しく撫でていく、馬達もお行儀よく順番に撫でられるのを待っている、うん、ほほえましい。


「ヴェラ嬢、教えて頂きたいのですが、この大きな子たちは馬ですよね?」


「ええ、ゴールドジャーニーと言う種の馬よ。気性が荒くて戦闘好きって聞いていたけど、とっても大人しくてかわいいの。もちろん女性の馬車を引く馬だから牝馬よ、仲良くしてね。」


黒王号よりバカデカいお馬さん、1頭で大人が3・4人は乗れると思う。馬の皮を被った何かとゴンズイヤク・が合体してる様な名前の種な時点でヤバい感じしかないが気のせいだと思いたい。


「ごめんなさいね、シンガ。今からギルドから紹介された護衛達と顔合わせがあるのよ。ちょっとここで待っててね」


ヴェラ嬢がルナリスお姉様とギルドの中に入って行くと僕の景色が白に包まれる。4方向を馬達に囲まれ紅い瞳で睨み付けられ、前足がゆっくりと土をかいている。・・・さようなら、俺の人生はここで終わりました。黒耀と琥珀は馬車の周りをキャイキャイ言いながら歩いてる。


「あ、あの~皆さんどうしましたか?あ!?すいません。僕の名前はシンガ・ド・ムートンと言います。よろ・ひぃ!!」


俺は挨拶がまだだと思い至り、慌てて自己紹介すると背後と正面にいる、お馬様が両肩に片方づつ前足を乗せられる、グゥ~と地面に押し付けられる圧を感じ、左右から別の2頭から鼻先を顔面に同じく押し付けられる。正面の紅い瞳がただ静かに睨み付けている。


「あの、ナニか不手際がございましたでしょうか?僕は特に皆様がご不快になられるような事はしてないと思うのですが?(震)」


両サイドのお馬様のゆっくりと足元の地面をかく動作は止まらない。ひたすら、両肩に圧と睨み付けられる。


「こ、この容姿がお気に召しませんか?もぅし訳ぇございませぇん。なにぶん、ふぅまれつひでしゅので、あの、少々肩に乗せられたおみ足のお力ぎゃ・・・レヒィ~レピさん、助けて、助けて下さい。」


徐々に地面に押さえつけられていく身体と変わらない俺を見る静かな赤い瞳。さすがにヤバいとレピに助けを求めると


【いや~実に素晴らしい!まさかこのような芸術品を見ることが出来るとは、ダークスネーク生において最高の日だ。おおお!!ここにある刻印!この刻印を付けた馬車と言えば、ああ、やはりそうだ!馬車全体の造りも素晴らしいが、この巨大な車体を支えるサスペンションの接合部やこの巨大な車輪が回転する際の摩擦係数を極限まで殺す神業的な重心バランス、クゥ~ブラボー!!流石、神の作り手と呼ばれるマサクニ工房だ!。おいおい、ミルクを欲しがるヌリッソンじゃあるまいし、慌てなさんな、分かってるぜ。装飾についても語らねばなるまいな、いや語ってしまおう!そう!車体に施された優美な装飾はかの天才 レーグル一族の手による物、彼等が描く線のしなやかさと微細な色彩の重なりは、静止画でありながら呼吸をしているような生命力を宿している。アフゥ~マンマミーア!!まさしく究極と至高、さらにさらに!!窓から伺えた内装に付いても聞きたいよな?ここまで来て聞かない選択はない!俺だって気になるからな。さて、工房はマサクニ、装飾はレーグル、とくれば内装はここしかない、ノーリス。そうとも、ノーリス。ここ以外では他の2店の邪魔になるぜ、通称MRNの刻印が入った馬車は王族御用達と呼ばれる。まさしく、心技体がすべてそろった一品、不壊の馬車。こんな逸話があるぜ、数代前の国王様が遠出なされた時に敵対勢力に襲われ馬車が傷ついた、国王様は馬車が壊れたが命が助かった事に喜びお礼を述べて修理して欲しいと伝えた。後日、馬車が新しくさらに丈夫に美しく芸術的になって国王様に献上された。3店の主人達が口をそろえって言ったそうだ。〖我らの馬車が壊れたなどと言った事実はありません。なので、お代も頂くことはありません。〗・・・カッコいいぜ、まさしく職人。いや超一流の職人。自分の腕に自信と誇りを持つ一般の3種族とは違う感覚、普通に考えれば敵対勢力に攻撃されれば馬車が壊れるのは当たり前だ、それをタダで新しい物を渡す。ああそうだな、理解できないよな?実はこの話には裏があるんだ、3店の主人の親や爺さんの時代はまだそれぞれの分野では有名でなくてな倒産しかけた事があるんだ。それをこの話の国王の父上つまり先代国王が腕に惚れこみ言い値で馬車を作らせたんだ、3人の主人達はその時の持てる力、技を注ぎ込み文字通り心血を注いで作り上げ献上した。その見事な馬車のおかげで、彼らの名声は高まりもちろん店は建て直せた。この話で壊れた馬車ってのはその時の馬車さ、つまり3店の主人はこう言いたかったんだ。〖私達と王族の絆は壊れない。〗心意気だぜ、いや、違うな。心で生きると書いて心生きだ。この話をしていると不思議と私もね、いつもは高額を請求するが何回かタダで特にあの・・・いやこの話はやめておこう。野暮ってもんだぜ(笑)おっと、電話だ。」


長ない、ねえ、レピさんセリフ長くない?誰に向けた説明?あと電話ってどこから?と言うかなんで俺の影の深い所に潜っていったの?・・逃げやがった!あいつ逃げやがったな!お前よ~俺の使い魔ちゃうんかい(怒)4頭もちょっと俺の事可哀そうって見てる感じがするやん。泣かへんで!めっちゃ怖いけど泣かへん。


ブルルヒヒン


正面のお馬様が小さく嘶いたと思ったら綺麗に2列で整列し始める。何事かと思っていると


「シンガ、お待たせしたわね。使い魔が居るシンガなら大丈夫だと思うけどフレア達と仲良くしてたかしら?私の自慢の馬達なのよ。フレア達もシンガと仲良くしてね?その、私の・・大事な・・ね(照)」


ヴェラ嬢が頬を赤く染めて俯くと4頭の神馬様達が前足でゆっくりと地面をかく動きをなされてる音が聞こえる。左右と後ろに視線を向けると・・ゴク・・喉が鳴った。


「僕はこのように美しく優美な馬を見た事がありません。さすがはヴェラ嬢の馬、いいえ神馬と言えましょう。白い馬体にヴェラ嬢の髪色であるワインレッドの武具、瞳の色も同じワインレッドとなればまさに、ヴェラ嬢に選ばれた、いえ、ヴェラ嬢だけの神馬ですね。・・では、僕はギルドが準備した、馬車の・・・」

「はぁ⁈シンガなんて言ったの、ギルドの馬車がなに?私の馬車に不満でもあるのかしら?・・・フレア、貴女達シンガに何かしたの?どうしてシンガの両肩が土で汚れているの?」


とりあえず、ヴェラ嬢に神馬様の事をほめちぎり何とかこの場を去ろうと告げるとヴェラ嬢が反応して目を細め神馬様達を見る。左右を見ると多分フレア様だろう神馬様が お前、分かってるよな?ああ! みたいな瞳を俺に向けられる。


「違います、ヴェラ嬢。フレア様方は僕に何もなされてません。その、そうです。ヴェラ嬢の馬車があまりにも豪華ですので、気持ちを落ち着かせる為と当家には馬車がありません。なので色んな馬車に興味がありまして、ギルドが準備した普通の馬車も見てみたいと思っただけです。あと、えっと、実は、ムートン男爵家では、旅をする仲間と認めてもらう儀式みたいな物で足に付いた土を付けてもらうのです。同じ土にまみれた同志みたいな感じで仲が深まると言いますか・・」


頭をフル回転させて、何とか言い訳を伝える。フレア様方が へぇ~なかなかやるやん みたいな雰囲気を出される。助かった、俺やったよ!


「・・そうなの?まあ、シンガは男の子だから色々な馬車に興味を持ったりするのかしら。それと、フレア様方って何?(笑)普通に呼んでかまわないと思うわよ。ね、フレアも気にしないでしょ?それと、ムートン男爵家ではそんな儀式があるのね?なら私もフレア達に土を付けてもらおうかしら、じゃ、フレアお願いね。」


何とか誤魔化せたと思ったのもつかの間にヴェラ嬢の発言で時が止まる。見なくても分かる、フレア様方が お前何してんねんん!どないすんねんん!! っと思っていることが。息しづらい、なんで旅立ち前でこんなに疲れてんねん。ふぅ~どうするかな~もう寮に帰ろっかな~空は広いな~


「シンガ、私達はどっちの馬車に乗る?」

「ヴェラ様の馬車だにゃ?ギルドのボロ馬車は嫌にゃ。」


現実逃避していたら黒曜と琥珀が声を掛けてきた。良し!話題をそらしながら言い訳を考えよう(泣)


「黒曜、琥珀。まずは、ヴェラ嬢にご挨拶をしてね。それと、馬車に乗るのを決めるのはヴェラ嬢で僕じゃない、護衛の方達との事もある。それに・・」

「私達は、穢れ人なんかと同じ馬車に乗る気は無い!護衛の事もある。お前なんかはギルドの・・」

「シンガは私の馬車に乗るに決まってるでしょ、貴女達がギルドの馬車に乗りなさい。」


俺が二人に挨拶するようにと話していると護衛を担当する犬の獣人の女性が声を荒げて来たが、ヴェラ嬢が言葉で瞬殺している。


「え⁈・・・私達はヴェラ様の護衛です。身近でお守り・・」

「シンガを穢れ人呼ばわりする存在と同じ空間で息をするのが耐えられないのよ。」

「で、でしたら、この護衛任・・」

「残念ね。ではさっそく護衛任務の破棄手続きをしましょう。もちろん、ペナルティーなんて課さない、違約金も払うわ。」


あかん、これはあかん。護衛無しは万が一がある。心なしかフレア様方も犬獣人達に怒っている感じがする、なるほどなるほど。彼女達はすごくヴェラ嬢の事が好きなんだな。


「ヴェラ嬢、長距離の運転経験がなく練習がてらギルドの馬車に乗らせて頂きたいです。黒曜、琥珀も僕と同じ馬車にいたします。」

「ダメよ、シンガは私と同じ馬車に乗るの。貴方を軽蔑する護衛など要らないわ。ギルドが用意した馬車も返しましょう。」

「ヴェラ嬢、今から別の護衛チームを探す時間はありません。僕はムートン男爵領でヴェラ嬢と楽しく同じ時を過ごしたいと思っております。ヴェラ嬢の安全こそが第一です、道中に万が一があれば・・・どうかお考え直しください。」


頭を下げてお願いする。道中でモンスターに出会うことは十分に考えられる、まぁ、モンスターよりも2種族の僕に対する攻撃で傷つく可能性の方が高いからね。護衛の方たちが居れば少なくとも2種族がヴェラ嬢に危害を加えることは無い。


「・・・分かったわ。護衛任務の破棄は辞めて彼女達を私の馬車に乗せる。それと、セレスティーヌ嬢もこちらの馬車に乗せるわね。」


しばらくの沈黙の後、ヴェラ嬢が考えなおしてくれた。ありがたい、俺のせいで傷つくことなどあってはならないからな。左右から視線を感じて目を向けるとフレア様方と視線が合う。 まぁ、ちょっとだけ認めてやるよ。 と言われた気がした。


「おお!これは見事な馬車でありますな!・・・シンガ卿はこちらの馬車ではないのでありますか?まぁ、確かに女性ばかりのメンバーでは気も休まらないでありますからな。休憩所では一緒の時間が過ごせますから楽しみにしてるであります!」


ヤバい!セレスティーヌ嬢が癒しですわ~可愛いわ~まったく、小学生は最高だぜ!・・いや、セレスティーヌ嬢は正確にはまだ違うけど。さてさて、メンバーも揃いました、ついに出発です。黒曜と琥珀は最初、ヴェラ嬢の馬車に乗れない事に文句を言っていたが、しょうがない事と諦めてもらった。


「じゃ、シンガちゃんと誘導してね。」

「はい!頑張ります。」


馬と馬車の能力差がありすぎるので俺が後から付いていく事は出来ない為、先導して休憩のタイミングや速度は俺の方に任せてもらった。といってもヴェラ嬢の馬車にいる御者の方との相談によって決めていく。バンアイア種の方である為、こちらとの意思疎通を無視される恐れがあり申し訳ないながらもルナリスお姉様にはこちらの馬車に来てもらった。


「申し訳ないです、ルナリスさん。」

「お気になさらないでください、今回のムートン男爵領へのご訪問はお嬢様も大変楽しみになさっていました、あのようなお嬢様は初めて見ます。」


馬車を走らせて王都の外に向かう。最初の目的地はゲートのあるシラーズの町です、改めて今回の旅のメンバーを簡単に紹介いたしましょう!まずは、ヴェラ嬢の馬車にはもちろん馬車の持ち主であるヴェラ嬢とセレスティーヌ嬢、そして護衛の犬獣人さん4名に御者さん1名(名前は教えてもらえませんでした。)そしてこちらは、俺とレピ、黒曜、ルナリスお姉様に何故かそう!何故かムートン男爵家の紋章の入ったフード付きマントを羽織りフードをものすごく深く被った琥珀さん・・・ふぅ~なんでわざわざ、メンバー紹介?と思われましたよね。ええ、そうです、想像通りです。いつの間に?


「・・・・ヴェラ嬢。次は止めてくださいね、万が一があったら本当に困るので。」

「な、なんのことかしら?・・にゃ。わた、ウチはコハクにゃ。」


「じゃ、琥珀。フード取って、顔見せて。」

「ええっと、そう、実は、旅の間は心に決めた人以外には顔を見せられないの・・にゃ。一族に伝わる書物、民明書房に乗ってるの・・にゃ。・・・・ごめんなさいね。だって、楽しみにしてたのよ、シンガと私が頂いた馬車の中でお話しするのを本当に楽しみにしてたの。」


しばらく無言で居ると諦めてフードから顔を出すヴェラ嬢。にゃにゃ言うヴェラ嬢も可愛いが全然声が似てませんよ(笑)あとですね、ムートン男爵家の紋章入りマントはちょっとまずくないでしょうか?


【いや、おめでとうシンガ。お前さんにまさか、本当にまさか、ヴェラ嬢の様なチョロ・・かわいいお嫁さんが出来るとはな。その家の紋章入りのマントを羽織るなんて対外的に見てもそう思われるからな、実際、決闘の時のカロン卿が・・】

「ヴェ、ヴェラ嬢。こ、こちらのマントにいたしましょう!ええ、師匠から言われてました!忘れてました。そんな、汚いマントはダメです、メっです。」


レピの言葉に血の気が引く、あかん!絶対アカン!慌ててアイテムボックスからノワールのカルメネールの嘆きと言われる紋章の入ったマントを渡す。先日のノワール参加の食事会後にヴェラ嬢から あら?シンガって破門されてなかったかしら? と突っ込みを食らったけど、そもそも師匠は気まぐれな人だと誤魔化した。


「これが良いのだけれど・・・領地内でもダメかしら?決して、口外しないわ。セレスティーヌ嬢にも厳命するから・・・本当にダメかしら?」

「それは・・・ですか・・まぁ、こちらも本当は僕が・・練習中に・・・使っていた予備で・・」

「頂くわ!そうね、ムートン男爵家の紋章はまだ早いわね。これってシンガも羽織れば弟子と孫弟子のぺ、ペアルックね。ああ、これなら堂々と出来るじゃない!対外的にも私のメンタル的にもチョベリグよ!!だって同じ師を持つ二人だもの同じマントを羽織ってて問題はないわ。文句のあるやつ・・・かかってこいや!。うふふふふ、シンガの匂いがする。はしたないけどちょっとだけ、私にも公爵家令嬢としての慎みがあるからほんの少しだけ・・・・・・・ああ、エンペラータイムが使えそう。」


ヴェラ嬢の表情が曇り俯く姿を見るとどうしようかと悩んだが俺のつぶやきに反応して素早い動きでマントを変えて羽織りなおす。いやまぁ、ごっそい笑顔ですけど、楽しそうですけど、あの、・・・クンクンと言うかスゥ~ハァ~ズゥ~~ブハァ~~ってなってます止めてください。ルナリスお姉様止めて・・・


それはまるで、慈愛に満ちたエウメニデスの様な雰囲気と表情でヴェラ嬢を見ている。この時俺は悟った、ヴェラ嬢を止める存在は・・・居ないと言う事に。


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