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終わりゆく世界の片隅で  作者: アンチョビ


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20/41

ヴェラ・ド・マルゴー②

「ヴェラ嬢。セギュラス子爵家にある人物から手紙が届いてね。内容は先に確認させてもらった、残念だけど・・毒杯だ。」


夏季休暇の日が迫って来たある時、学校に出席したらアドリアン卿に呼び出されて理事長室に入ると手紙を渡され中身を確認する。・・ああ、先日シンガとの昼食後に廊下で会ったカザル卿が差出人だった。


「これは、その、何故この様なことに?私とシンガとはマルゴー公爵家当主と聖王・聖女協会からの調査依頼によって私が接触して・・」

「ああ、大丈夫だよ。ヴェラ嬢がシンガ君と個人的に交友を持とうが他家も気にしてない。今回は相手のカザル君がシンガ君と決闘を希望していることだ。シンガ君が断われば、カロン君に毒杯を持たせることになる。出来ればそれは避けたいんだ。」


派閥の人間でまだ子供に少し酷な事をさせたくない、アドリアン卿の気持ちも分かる、でも、シンガに決闘をお願いするのは、万が一でも傷つく事になれば、私は正気で居れる自信などない。要求を断ることもできるが、事が公爵家を通してならば私個人の意見は却下されると思う。


「一度話をさせてくれないかな?もちろん、君にも同席してもらうよ」

「分かりました。貴族学校で楽器の練習をしてるそうです。今から向かいますか?」


貴族学校に向かい、シンガと会う。一通りの説明をアドリアン卿が行い、私の事も話す。途中で私の大好きな言葉を伝える時が来てアドリアン卿とシンガに伝える。


「・・・火の適正者の目を持ちながら水を操る。マルゴー公爵家初、世界で唯一無二の存在、ヴェラ・ド・マルゴー。前例なんて気にするのは無駄な事。大聖女スズカも最初は普通の馬獣人で、スズカの前に大聖女は居ないのだから。」


言葉にすればするほど、私の心に染み渡り光を放つ。アドリアン卿が一瞬目を見開き息を止めるのが分かる。ええ、そうでしょう、私の為に用意された言葉、私だけの為の言葉。大聖女の言葉に縋る協会の人たちの気持ちが少しだけ分かる。この言葉が、私を私にする。その後、事情を説明していると訳の分からない事を話し始めるシンガに何故か、私にもレピを召還する事が出来て攻撃する。ただ、レピの声は聞こえないのよね。決闘までは3日、返事は早めにとアドリアン卿が告げて部屋を出る。


「ヴェラ嬢、お願いがあります。もし、ご存じかお持ちならばお借りしたいのです。・・刀と呼ばれる武器を一振り。」


覚悟を決めたシンガの表情と視線に不謹慎ながらめちゃくちゃカッコイイと思ってしまった。刀と言えば大聖女スズカが使用した武器の一つでノワールも使用している武器だったはず。次の日に鍛冶屋にてマルゴー公爵家に保管されている一振りを何とか借りる許可が貰えた。


キーン・・キーン・・キーン・・カン


レピが突然尻尾を使って刀身に打ち付けると甲高い音と乾いた音が鳴る。レピと話すシンガの表情が曇り、オヤッサンがこの刀が寿命であると伝えてくる。この時、私は自分の無学を心の底から後悔する、もし、レピが気付かなければシンガは傷つき、場合によっては・・・嫌だ!考えたくない。帰りに馬車で送ると伝えたが断られてしまった、嫌われてしまった。きっとシンガは私の無能さに嫌気が刺したんだ。帰りの馬車の中で私は体の震えが止まらなかった。


「ル、ルナリス・・・私、失いたくない。シンガに嫌わ・・ふぐぅ(泣)・・嫌、シンガが私を・・」

「お、お嬢様⁈・・大丈夫です!シンガ様はお嬢様をお嫌いになどなりません。貴女を唯一無二と言われたお言葉をお忘れですか?あの言葉が嘘だと思いますか?」


我慢してもあふれる涙が止められない、私が初めて見せるであろう姿にルナリスも動揺しているのが分かる。そうだろうか?だって私は  いらない子  だ。誰も・・・駄目、駄目だ。私の事は良い、でもシンガが私にかけてくれた言葉を否定する事はたとえ私でも許せない!これから先、シンガが私を裏切っても許そう。きっとそうしないと駄目な事情があったんだ。彼の為ならこの身など喜んで差し出そう。いずれ避けられない死にゆく運命が待ってるのだから。終わりのあるこの想いに悔いは残せないから。


「ごめんなさいね。その、取り乱して公爵家令嬢として、はしたないわね。」

「お嬢様、当主様にお願いして・・その・・なんでもありません。」


ルナリスに謝罪していると告げられかけた言葉で理解する、そうか、ルナリスも知っていた。いや、分かるのね?私に近い未来終わりがあることを。うふふふふ、改めて、感謝するわ。貴女が傍にいてくれること、変わらず傍にいてくれることを。屋敷に戻り、夕食を取っているとコクヨウとコハクが訪ねてきた。要件は、やはり刀を借りたいとの事、しかし折れるのでは?疑問に思うがシンガの言葉なら従うしかない、何か考えがあるのだと思う。


次の日、鍛冶屋で再度刀を手渡す。私は昨日の寿命と言ったことが気になり質問すると


「ヴェラ嬢、ご安心下さい。すぐに折れる訳ではありません。後、静かな部屋を1部屋お借りしたいです。何処、ありますか?」


シンガの相談に全身を雷が打ち抜いた。・・・来た!人生最大のチャンスが、乗るしかねえなこのビッグウェーブに!逃さへんで、希望に進むのが気持ちのいい人生ってもんでしょ!シンガに私の屋敷ではどうか?と伝えると普通に断られるがルナリスがアシストして来た。はぁ⁈アドリアン卿とコクヨウにコハク?要らんがな、邪魔でんがな!何言って・・・・泊り⁈シンガが泊まるの?突然、頭の中で狐獣人たちが将軍様の格好でロボットダンスをしてる、私の身体も自然と踊り出す。やったぜ!ルナリス明日はホームランよ!


コクヨウとコハクを呼ぶのと準備があると言うシンガが寮まで帰っている間に私は屋敷で準備、いや、作戦を練る。


「ルナリス、私にできる最大限の感謝を。それとアドバイスをお願い、どんな格好がシンガに喜ばれると思う?」

「シンガ様、か分かりませんが大抵の男の方はバニーガールかスクール水着、カラフルメイド、僧侶、教師服、ビーストコスプレ、ガーターストッキングなどがお好みと聞いたことがあります。(あくまでルナリス個人の偏った情報による見解です)他に・・」

「今準備できるものをとりあえず全部準備して、後は自分で考えます。」


ルナリスをシンガの迎えに行かせて、準備された衣装を手に取りバニーになって鏡の前に立つ。改めて見るとなかなかに、うん、えっっっっね。自分ではそんなに意識したことなかったけど、良く考えれば弟が産まれる前は優れた男性を公爵家に呼ぶための道具だった私だ、容姿、スタイルが特別優れているとは思っていないが普通以下な訳が無い。自分の平均的な胸をポヨポヨしながらいろんなポーズを取る。これ、M・キリエライトよりえっっっっね、大丈夫?18禁にならないかしら?


「いいえ、持てる武器は最大限に活かさないと・・・そういえばシンガの女性の好みって聞いた事無いわ。胸はもう少し大きい方が良いのかしら?以外と希少種で絶滅危惧種であり、世界保護対象になってるミコト・カグヤサイズが良いのかしら?」


もし、シンガが希少種が好みなら明日にでも切り落とすわ。新たな決意をして衣装を変えて行く。一通り合わせて見たが、どれが一番良いか判断が付かない。時間も余り残されていないと焦っていると、天恵が私に降りてきた。


「私を器とするなら、魚料理か肉料理かなんて考えている時点でダメなのよ。そう、全部乗せ!欲しい物を有るだけ全て!だから衣装はこれしかないわ!」


絶対的な自信を持って部屋でシンガを待つ。部屋に案内されて入ってきたシンガが驚愕の表情を浮かべる。勝った、敵を知り己を知れば百戦危うからず。まあ、シンガの好みは知らないけど、でも!すべての戦いは、まず最初に心の中で勝ち負けが決まる。うふふふふ、ごめんなさいねシンガ。貴方が弱いんじゃないの私が強すぎるだけ!・・・・きゅう。


「お嬢様、そこに正座してください。・・・早く!」

「・・・だって、全部が良いかなって、その・・・」


シンガとルナリスと何度かやり取りの後何故か意識が遠ざかり、隣の部屋で目が覚めるとルナリスがガチギレしている。正座しながら一応言い訳はしようとするけど、尋常じゃないルナリスの態度に言葉が続かない。


「良いですか?今日はお嬢様の部屋に案内しますから、そこで一夜を共にしてください。ただし、コクヨウとコハクも同室します。あくまでも一夜を一緒に過ごすだけです。分かりましたね?余計な事はしない。はい!リピート!」

「うえええ、・・・余計な事はしない!」


初めて見るルナリスのゲッターチームバリのガンギマリの目に怯えて思わず理解もせずに復唱する。貴女作画変わってない?悪役面になってるわよ・・・・え⁈いいい一緒のへへへ部屋で過ごすの?マジか・・アリやな、いや、アリよりのアリやとそう囁くのよ、私のゴーストが!


覚悟を決めて部屋に戻り、数度の会話の後にルナリスがシンガを部屋に案内して行く。1階の道場に始まり、2階の物置部屋、そしてついに本丸、私の部屋に入る。緊張の時、シンガの動きが止まりつぶやく声が、いいえ、神託が下りる。


「ルナリスさん、こ、ここ(が良いです。)」

「言質取ったり!」


それから私とシンガは一晩中、2人の将来について語り合う。領地の運営、義弟カイン君の結婚相手にお義母様達との生活。そして・・・子供の人数(照)


「・・ヴェラ嬢。君は良くても、公爵家令嬢だ。シンガ君を世間は・・ね」


っち、ああ、アドリアンとか言う敵が現れた。コマンド アバンストラッシュ・・避けられた。せっかく楽しい夢に浸っていたのに、ルナリスもちょっと怒ってるがシンガの事を言われると引き下がるしかない。1階の部屋に案内してガルシア男爵家の事をアドリアン卿がシンガに伝える。徐々に顔色が変わり席を立つシンガ。それから2階の部屋で立てたロウソクの前で正座して身動き一つしない時間が過ぎる。私はただ、部屋の前の廊下に用意した椅子に座り隠し窓から中を伺う


「キェェイ!!」


突然シンガが立ち上がり静寂を切り裂く声を張り上げ素振りをする。


「袁叫(えんきょう)・・彼、シンガ君の師匠は、ほぼ間違いなくノワール本人だ。シンガ君が見せた構えは大聖女スズカとノワールが使っていたジゲン流の構え、極一部の存在しか知りえない流派だよ。」

「やはりそうですか、カルメネールの嘆きのマント。あの方が本物のノワール様」


アドリアン卿のつぶやきにルナリスも頷き言葉を告げる。その後も、シンガはロウソクを見つめる時間と偶に素振りをする行動を繰り返している。


「お嬢様、お食事の用意が出来ています。」

「ありがとう、でも要らないわ。シンガを見ていたいの、準備してくれたのにごめんなさいね。」


「いいえ、ではせめてスープだけでもお持ちします。」

「ああ、ここで飲むなら、水にしときなさい。シンガ君の集中が匂いで途切れるかもしれない。・・・まぁ、そんなことは無いと思うけどね。しかし凄いね、彼は多分使い魔の毒で身体に負荷を掛けて精神と技を昇華させている。」


「い、命に危険はあり・・」

「あるに決まってるだろう、ヴェラ嬢、君は1の力を短時間で魔力も使わず10や20にするのに何の危険もないと思うかい?」


ルナリスの横に立つアドリアン卿が話す内容に息が詰まり、思わずドアを開けてシンガに決闘を止めてもらうよう叫びそうに、動きそうになる。・・・出来るわけがない。私に出来る事は、静かにシンガをただ見つめる。


「ルナリス、お水を持って来て。」

「はい、お嬢様。すぐにお持ちします。」


シンガと同じように水を少し口に含みただ見つめるだけの時間が流れる、徐々に、シンガも雰囲気が変わっていく、まるで大きな力が彼の中で渦巻き外に出ようと暴れているように思える。立ち上がり構えを取り振り下ろす。


「キェェェェェェェェェエイィィイ!!!」


シンガの持つ変わった剣が光を放ったように見え光が壁を切り裂いた・・様に見えたが壁に変化はなかった、ただロウソクが縦に切られて明かりを灯している。


「お見事、彼は開花した。素晴らしい、実に素晴らしい。」


シンガを褒めるアドリアン卿の言葉が耳に残らない程、私はシンガに見とれていた、文字通り心を奪われていた。窓から射す朝の光がシンガの髪を顔を照らしている。なんて漆黒で、なんて深淵で、なんて暗然で、なんて漆桶で、なんて常闇で、なんて綺麗な黒なのでしょう。ああ、渡さない、ええ、誰にもシンガは渡さない。穢れた、忌避される私だけの聖なる黒。


シンガはスープを少しだけ飲んで身支度を整える。アドリアン卿はどこかに使いを出していた。馬車に乗り決闘場に向かう、道中の何気ない会話だったはずが


「・・ヴェラ嬢を使って、僕を欺ったのですよ。」


ん⁈シンガは今なんて言ったの?私がシンガを欺った?まさか⁈アドリアン!!頭が一気に沸き上がる、目の前の景色が赤く燃え上がって行く。


「ヴェラ。ノワールの存在を確認する為の道具ならありがたいと思いなよ。王国貴族でしょ。」


アドリアン卿の言葉に反論できない。今までの私がマルゴー公爵家の道具でしかなかった私が・・・


「これ以上、ヴェラ嬢を傷つけたらノワールの事は諦めろ」


うつむく私の耳にシンガの声が聞こえてくる、顔を上げればシンガがアドリアン卿を睨んでいる。ねぇ、どうしてシンガは私を助けてくれるのかしら?どうして私をこんなにも幸せな気持ちにしてくれるの?相手は次期公爵家当主、不敬罪で罰せられるわ。


アドリアン卿の問いかけにシンガが家族への思いを語る。羨ましい程の愛、私が手に入らない物。


「・・士は己を知る者の為に死す と言う言葉があります。・・・・ヴェラと言う一人の女性が僕に寄り添ってくれた。それに全力で答えたいだけです・・」


シンガの言葉が胸に落ちる、言葉の意味を考え納得する。そうね、私もあなたの為になら死ねるわ。後半は良く聞こえなかった、ん?なに?恋?愛?。・・・えっと、ごめんなさいね。多分バレてると思うけど毒見で体調を崩したのじゃないのよ、嫌いな食材で・・その、気分が悪くなっただけなの・・ふふ。


「僕の妹がヴェラ嬢以上の事をムートン男爵家や君にすればシンガ君は妹に同じ気持ちを持ってくれるのかな?」


はぁ⁈アドリアン何言ってるねん!あかんこいつほんま調子乗ってるわ!ちころすわ!私の怒りに身体が勝手に動く、義星が私を導く。


「・・・妹さんには満開の枝に炭を塗ると答えます。」


うぷぷぷ、ざまあ!今頃シンガに近づいても遅いって(笑)やっば~その顔!ご飯3杯いけるでごわす!


決闘場に付きシンガが控え室に入って行く、ここからは私に出来る事はただ祈るしか無い。カザル卿には悪いけど、シンガが傷つくのは見たく無い。時間が過ぎていくのが怖い、シンガは今どんな気持ちだろうか?頭の中でいろんな考えが浮かんで消える。


「時間だ、シンガ君を呼びに行こう。」


アドリアン卿の言葉で思考が戻る。シンガと共に決闘場に向かう、しばらくしてカザル卿と聖女ラクスが現れる


「穢れ人よ。私は聖女ラクス。」


ふぅ~そして、ふぅ~・・・なんやろな、嫌いやわ~聖王・聖女協会。分かんねんで、分かんねん。あんたも聖女って言われてるから、いや、あんたの名前知ってるけど、聖王・聖女=蘇生魔法が使えるんやろ?大したもんや、ええ、大したもんです魔法わ・・・性格は最悪やん、聖女ラクス・・平民でありながら蘇生魔法の使い手。こんなん言うたらあかんけど、教養や躾って大事やな。魔法適正が分かってから我がままに甘やかして育てたから性格グネグネやん。・・・シ、シンガとの子供はちゃんとした教育を受けさせるから安心してね(照)


「僕も、カザル先生の様に格好良く女性を褒めてモテモテになりたいです。」

「はい!カザル先生、僕もハーレムを・・」

「うおっほん!(怒)」


色々と思案しているとカザル卿とシンガが普通の友達の様に話しているのが聞こえる。本当に楽しそう・・・だ・・・おん⁈・・・モテモテ、へぇ~ハーレムって何?シンガがネズミに見えるわ。カッカッカカカ


「シンガ。後で少し話をしましょう♪」


私の言葉にシンガが青ざめていく、ちょっと可哀そうかしら?ダメね、簡単に嫉妬や独占欲が出ちゃう不思議だわ。カザル卿が身の上話を始め、それから・・・お互いの武器を確認して踊りを捧げ名乗りを上げる。遂に決闘が始まってしまう。


「天真正自顕(てんしんしょうじけん)流 シンガ・ド・ムートン」

「お待ちください!・・・貴方の師匠はノワール様ではありません!師匠を偽った罪で処罰すべきです。」


テンシンショウジケン流、あれ?シンガの流派が大聖女スズカとノワール様とちょっと違う?


「聖女ラクス。それならば何故、魔道具が反応しない?戦女神であるアルテナ様が偽りなしと判断したからではないかな。」

「それは・・いえ、きっと穢れ人が不正を・・」


アドリアン卿の指摘に年増女がなんか言い訳する。おいおい!ええ加減にせえよ!私の前で私のシンガを何回穢れ人と言ってるねん!不正?ボケが!王家の魔道具にそんなん出来るかい!頭カチ割るぞ!アルテナ様産んでみるか?


「・・出来損ないが聖女たる私にそのような口を利いても良いのですか?」


人間って~本気で怒ったら~めちゃめちゃ冷静になるんやね。勉強になったわ、・・・・帰り道、背後に気を付けろ、後ろにも目を付けれなかった時がお前の最後じゃ!後、置きバズにも気を付けな。持ってないけど。


「本当にノワール様が師匠ならジゲン流です、それ以外は偽物です。」


もう一度名乗りをやり直すことになった、偉そうになんやねん、なんで年増が決めてるねん。シンガがこっちをちらっと見たって事は、また、私の為に・・・ごめんなさいね。


「天真正自顕流 シンガ・ド・ムートン」


プギャー!(笑)シンガ素敵!!あかん、それはアカンて!!!あれれ~おかしいぞ~???聖女ラクス様ぁ~見て見てほら、魔道具も反応しないし・・・えええ!!!!戦女神アルテナ様がみ、認めてるぅ~あわわわ(笑)。真っ赤な顔して私を睨みつけて来るけど、じぇんじぇん気にならない。再度、アドリアン卿が宣言して・・・決闘が始まる。


対峙する二人、シンガの構えから袁叫と呼ばれる声を発せられた時、聖女ラクスの目が見開かれたのが見える、一瞬の煌めきが走りまるでただ、カザル卿の目の前で刀を振ったかのような動き。地面すれすれまで振り下ろした体勢でシンガの動きが止まる。一呼吸後、刀を鞘に納めて一歩後ずさるとカザル卿が・・・・


「お見事!ノワール様直伝の技ってすごいね!」


私の横で嬉しそうに声を上げるアドリアン卿。シンガの視線が少し殺意を帯びているのが分かる。そうよね、望んでした決闘じゃない。


「シ、シンガ。私のせいでごめんなさいね。あと、無事でよ・・・ありがとう。」


出来るだけの笑顔で話しかける。刀を受け取る事だけが、今の私に出来る精一杯だった。


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