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終わりゆく世界の片隅で  作者: アンチョビ


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16/19

決闘が終わって

決闘が終わり、黒耀や琥珀と共に寮に帰る。ヴェラ嬢からはマルゴー公爵家の別館に誘われたがお断りした。その日は気絶する様に意識を失った。余計な考えや悩みに気を使わなくて良かった。


次の日、学校に行くと特に誰も絡んで来なかった。カザル君は、ガルシア男爵家は、当主が任務中に敵対勢力との交戦で殉死、たまたま、任務先に訪れていた家族も、っと言う事になっている。領地は王国が一時管理していずれは新たな男爵家が就くことになるだろう。学校でも特にそれ以上は話題にならなかった。


一人の人間が死んでも変わらない日常、他人にとってはどうでもいい、どこにでもある出来事。考えによっては取り方によっては、前世の様に他人の死や不幸をバズリの為に晒すなんて事がないだけマシかもしれないな。こっちの世界には迷惑系とかって言う人は存在しない。人に迷惑かけたら犯罪者と呼ばれるからな。


ギルドでのクエストも手合わせも変わりなく、ああ、そう言えば、最初の手合わせで俺の腹を切り刻んだお姉さんはクエスト中に亡くなったそうだ。身の丈に合わない高クエストだったらしい。他の2人もギルドマンは引退したと聞いた。何か心境の変化があったのだろうか?でも、2人にとっても俺にとっても、もう関係のない人生だ。


今日もクエストで馬車の操り方やテントの張り方、仕留めた獲物のさばき方を学ぶ。何れ行商人になるなら最低限必要な事だからね。琥珀も俺と一緒にクエストに参加して学んでる、黒曜は訓練場で手合わせをする等、2人も色々と活動している。最近は中々様になってきている馬車を操りギルドに戻ると、何故かヴェラ嬢が居た。


「おかえりなさい、シンガ。少し良いかしら?」

「ただいま戻りました。・・・何かありましたか?」


クエストの報告と馬車を返して、ギルドの一室でヴェラ嬢と対面する。琥珀は黒曜の所で手合わせに行ってもらった。だから部屋には、僕とヴェラ嬢、ルナリスお姉様の3人です。


「ギルドマスターに夏季休暇でムートン男爵領へ移動で使用する馬車の手配と御者のお願いに来たのよ。」

「えっと、マルゴー公爵家の馬車や御者は使わないのですか?」

俺の様な貧乏男爵家と違って天下の公爵家、馬車の一つや5つはあるでしょうに。頭に???を浮かべながら質問する。


「今回のムートン男爵領訪問は私用となっております、その為、公爵家の馬車や御者は使用できません。個人の馬車や業者のみ許可されています。」

「シンガの想像通りよ。私は個人の馬車や御者は持っていないの、護衛も居ないわ。ふふふふふ、ダメよシンガ。私の為にそんな顔しないで、うれしくなるじゃない。」


ルナリスお姉様の説明とヴェラ嬢の言葉にイライラが顔に出る。なんやねん、なんでヴェラ嬢はここまで蔑ろにされてんねん。ああ、よし、それなら考えがある。ここは琥珀の出番だ!ドッペルゲンガーの出番だ!


「話を続けるわね。そこで、シンガのムートン男爵家の奴隷達に帰りの道中の護衛と御者を頼みたいの、お願いできる?行きはギルドで手配された者たちに任せるから。」


「分かりました、手配いたします。変わりに、ヴェラ嬢にお願・・」

「良いわよ、任せて。」


ん?まだ、内容を話してないのにOK貰いました、大丈夫か?。瞳がキラキラのヴェラ嬢にジト目のルナリスお姉様、ある意味、最近よく見る状況です。


「・・以前から手紙が来てまして、師匠がご飯を食べさせろと、僕だけがヴェラ嬢から美味し物を食べれるのは不公平だと、後、決闘の時に刀を貸してくれたお礼をしたいらしいです。」


「シンガの師匠に食事を振る舞うのね。わか・・・は!?え?、シンガの師匠って、ノ、ノワール?、ノワール様よね。何時かしら?ルナリス、準備を、すぐに準備なさい。後、他の公爵家に連絡を、それと・・」

「ヴェラ嬢。師匠は僕と貴女の3人で会うつもりです。他の人が居れば気分を害する。後、師匠に会う時の注意点をお知らせします。」


慌てるヴェラ嬢に落ち着く様に伝え、3人で会う事を約束させる。それと師匠に会う時の注意点を説明して他の人が来る時に守って貰う。明日の夕食、ヴェラ嬢の居るマルゴー公爵家別館にノワールが来る事になった。



「し、失礼いたします。ノワールと名乗るお方がお越しになりました。お嬢様、いかがいたしますか?」

「すぐに、部屋にお通ししなさい。決して粗相の無いように。部屋には私達3人以外は基本、退室しなさい、給仕はルナリスだけで対応してね。」


約束の時間になり、部屋で待つ俺とヴェラ嬢にめちゃめちゃ緊張したスパイのメイドがノワールの来客を伝える。あのスパイのメイドさんが緊張してる!ヴェラ嬢の指示にルナリスお姉様はじめ、全員が緊張を隠さずにうなずいてる、ノワールって凄いな。


「お?元気にしてたか、ガキ。それとお嬢ちゃん、今日は飯を食いに来た、よろしくな。おお、ベッピンさんも居るのか。」

「師匠、お久しぶりです。ぼちぼちですね。」


「お久しぶりです。今日はお好きなだけお召し上がりください。お酒は何をご用意しますか?」


ノワールが現れ、それぞれが挨拶を交わす。ヴェラ嬢が珍しく緊張しているのが分かる。


「ああ、今日は酒は要らん。後、お嬢ちゃん、得物はなんだ、構えな。・・早くしろ!ガキ、お嬢ちゃんに渡せ!」

「は、はい!」

ヴェラ嬢が突然、師匠に構えろと言われて慌てている。俺はアイテムボックスから剣を渡しヴェラ嬢が構える。


「良し、そのまま振って見ろ。・・次は槍で・・斧・短刀・弓・素手・・ああ、ガキ、これを作るか手配しろ、また、明後日来るからその時に寄越せ。」


言われた物を一通り素振りをさせて動きを確認すると紙に書かれた文字を見る。おやっさんの所に明日行こう。なければどうするか、相談だな。


「じゃ、飯だ、飯。楽しむぜ、わっははは、旨そうだな、おい。ジャンジャン持って来てくれ」


その後は師匠と食事を楽しむ。と言っても会話は無い、ひたすら食べる師匠とそれを見ながら食べる俺とヴェラ嬢。


「いや~食った、食った。お嬢ちゃんありがとうよ。ガキ、お前は贅沢だぜ。」


「満足頂き感謝します。」

「師匠、明後日は人数が増えても宜しいですか?」


さて、これからが今日の本番だ。ノワールの目が細くなると部屋に緊張が増す。


「ああ?ガキ、何て言った?。人が何故増える?お嬢ちゃんが飯を食わしてくれたらそれで良い・・」

「師匠、一宿一飯の恩義 今日の食事の礼はどうなさいます?明後日の食事の礼は?」


「ああん、んなもん、明後日はお前に頼んだ得物を対価に渡すぜ。んで、今日は、今日は・・ええと、なんだ?」

「師匠、明後日の得物の対価は先日の決闘で僕に刀を貸してくれたお礼です。今日の食事の対価は明後日の人が増える事です。明後日の対価は考えて下さい。」


俺の言葉に師匠が固まる。ヴェラ嬢には前もって俺と師匠のやり取りに参加しない様にお願いした。


「ちっ・・クソ、分かった。ガキは相変わらず口が上手いな。但し、ルールは守れよ。じゃ、今日は帰るわ。お嬢ちゃんご馳走さん。」


暫くの沈黙の後、しぶしぶ師匠が人が増える事に了承して帰って行く。


「ふぅ~緊張した。ヴェラ嬢良かったですね、明後日は人数が増えても大丈夫です。」


「シンガ、やっぱり貴方凄いのね。人族の英雄ノワールを説得するなんて、本当にありがとう。」


まずは、ひと段落付いた。寮に帰ってお礼を言わないとな。ああ、後、明後日の準備も必要だな、んん、やることがいっぱいだ。


さて、やってきました現れます日。部屋に案内されるとおっさん5人とアドリアン卿、聖女ラクスとおお、彼女が噂のヘレナ嬢か?っでシンガ(琥珀)と・・あれヴェラ嬢が居ませんが?


「ようこそお越しくださいましたノワール(俺)様。本日は・・・」

「おいガキ、お嬢ちゃんは何処だ?」

「ああ、あの者はこの場に相応しくな・・・」

「お前に聞いてない、お嬢ちゃんが居ないなら帰る。じゃ・・」

「申し訳ありません、少々支度に手間取りました。遅れました事どうぞお許しください。」


明らかに用のないヘレナ嬢と聖女ラクスが居ながら、ヴェラ嬢が居ない、全くふざけてやがる。怒りに任せて去る事を告げるとヴェラ嬢が慌てて入室してくる。


「っち、しょうがない。今回だけだ。・・・ガキからルールは聞いてるな?破れば二度と現れないからそのつもりでな。」


さてと、今のところは上手くいっている。シンガに化けた琥珀とノワールにレピの毒で変身してる俺、あまり長い居は出来ないが頑張りますか。ちなみに、先日ヴェラ嬢に伝えたルールは以下の物になります


1 食事中はしゃべりかけない、しゃべらない。

2 料理の名前等も伝えない、説明しない。

3 個人名は伝えない呼ばない。


以上3つです。何故このルールなのかとヴェラ嬢に問われた時に


「簡単です、ヴェラ嬢は10年前の事を鮮明に覚えている事とうろ覚えな部分が無いですか?師匠は本物ならかなり長く生きています、新しい情報を覚えてしまうと昔の記憶を無くす可能性があるからです。重要な記憶を消さないためにあえて新しい情報を与えない覚えない様にされているのです。」


まるまる嘘です、しゃべるとボロが出るからです。今後、ノワールの時の情報、ノワールしか知らない情報を(シンガ)が知ってる状況を作り出さない為です。


「ふぅ、食った。お嬢ちゃんありがとよ。ああ、おい、ガキ!例の物を寄越せ、・・・ああ、そうだった、俺が預かってたわ、悪い悪い。ほれ、お嬢ちゃん持って構えな。」


アイテムボックスから薙刀を取り出し、ヴェラ嬢に渡す。受け取ったヴェラ嬢がシンガを見てから構えを取る。んん、やっぱり様になってる。いくつか構えと振りを修正していく、有難いことにお婆ちゃんが薙刀術を使えたんだよね、確か流派は・・・鈴流?鈴鹿流?お婆ちゃん何て言ってたかな。


「じゃ、ヴォルフ。ああ、お嬢ちゃん動くなよ、噛まれたら素振りをしろ良いな?」


数度の素振りと修正を終えてヴォルフ(レピ)がヴェラ嬢に噛みつく。俺の言葉にうなずき、一度ゆっくりとまるでスローモーションの様に素振りをする。


「はぁはぁはぁはぁ・・・し、失礼いたしました。」


1度の素振りで最初の位置に戻るとまるで数百回素振りをしたの様な疲労感を滲ませ荒い息をするヴェラ嬢。レピの毒で時間の感覚を数十倍に伸ばした、そう!精神と時の部屋なあれである。ヴェラ嬢は一回の素振りで数百回素振りをしたのと同じ効果を得た!テッテレー!・・・・・・いやいや、レピさん決闘前に教えてよ、なんやったんあの精神集中は・・


「っし、じゃ、今日からお嬢ちゃんはガキの弟子な、つまり俺の孫弟子って事だ。流派は鈴鹿流薙刀術、ガキにちゃんと教われよ。これで、先日と今日の食事の対価は払った。問題ないよな?気が向きゃ俺が教えてやる。」

「はい、問題ありません。ありがと・・・はぁ⁈わ、私がノ・ノ・ノワール様の孫弟子ですか?人族の英雄自らの指導??・・・ええ???」

「おいおい、俺はそんなノ・ノ・ノとか言う名前じゃないぜ、ガキと同じはややこしいからお師匠様と呼べよ。っで、孫弟子であるお前は、お師匠様である俺に飯を食わせる義務がある、偶に食いに来るからよろしくな。対価は・・・孫弟子が良いならタダで頼むぜ。どうだ、ガキ!良い考えだろ?ただ飯が増えたぜ!」


薙刀を抱えてワタワタしてるヴェラ嬢を横目にシンガに向かい笑顔でサムズアップする、もちろんシンガは頭痛をこらえるようなしぐさを見せる。おお、なかなか演技派だね琥珀君。


「お待ちください、ノワール様。聖王・聖女協会にお越し頂き、私、聖女ラクスにも技を伝授して、是非とも弟子に!」

「それならば、我が息子にも是非!」

「当家なら食事だけでなく他の・・」

「おい!!!ルールはどうした!ああ!!誰が名を告げろって言った?ガキ!!お前はちゃんとおっさん達に伝えたのか?どうなんだ!!」


「た、確かに伝えました。前もって書面にサインを頂き、開始前には再度口頭で伝えました。」

「嘘です!私は聞いてません!・・穢れ人が嘘ついて・・・」

「もうやめなよ、見苦しい。ここに居るみんなが口頭でルール説明を受けている。書面での説明がもしなかったとしても、知らない事は無い。それと、師匠の前で穢れ人呼ばわりは無いでしょう。」


荒ぶる声を上げシンガに詰め寄るとビビりながらも説明する。言い訳する聖女ラクスにアドリアン卿が静かに告げる。


「おい、お前、一つだけ聞きたいことに答えてやる。何が聞きたい?」

「では、黒死病について、お聞きします。直せますか?」


「ああ、直せる。鍵は敵対勢力にある・・・と思う・・だったはず・・ぽい・・な感じ。ああ、BJ(ビージェー)あいつが生きてりゃな・・」


知らんがな、ノリで聞いたけど、知らんがな。でも答えないわけにはいかないのでそれっぽい事を言っておく。謎の人物の名前をそれっぽく呟き記憶があいまい感をできるだけ出す。


「敵対勢力ですか・・・まさか⁈いや・・でも・・ん?BJ?・・まさか!!伝説の治癒士ですか、確かに、彼なら・・・」


アドリアン卿が何故かぶつぶつ言い始める、心当たりがあるなら頑張ってください、ぜひ頑張ってください。


「貸して。」


気付けばヘレナ嬢がヴェラ嬢の横に立ち薙刀を借りようとしている。ヴェラ嬢が恐る恐る手渡すと構えを取る。


【ほう、見ただけでこの完成度か、末恐ろしいな。】


ヴォルフが影からつぶやく声が聞こえる、確かにヴェラ嬢よりも振れている・・が、違うな~あんたの獲物は別でしょう?こらこら、ヴェラ嬢に薙刀返しなさい。


「おい、べっぴんさん。そいつを放せ、それは孫弟子の物だ。っち、お前はこれだ。」


薙刀を持ち、ヴェラ嬢に返さないそぶりで見つめるヘレナ嬢に弓を渡す。構えを見せてやり、やらせると本人の目が一瞬見開く。幾度かの弓構えから残身までの流れを見せてやらせる。


「私は弓、流派は?私も弟子になってあげる。対価は望む物なんでも、地位でも金でも」

「お前さんに師匠は要らんだろ、勝手に学べ。んなもんいらん、孫弟子とべっぴんさん、スズカも弟子にするなら孫弟子の方だ、なぜそうなるのかも考えろ。」

「残念。」


全然残念そうじゃないけどね。てか、感情あるのこの子?人形みたいやけど、しかも声ちっさ!もっとはらんかい!全然響かへんわ~


「ああ、分かってる。他の家の奴も・・ガキが一度見てやる。ただし、現状と変わりなくても怒るなよ、あと弟子は取らん。な!できるよな!」

「師匠・・・分かりました。ご命令とあらば・・・はい。」


レピさん曰く、協会の儀式で分かるスキルってあくまでも目安であってその後の生活や感情で別の事が得意になったりする・・・らしい。前世で言うと小学校で本読むのが好きだった子が中学にいってサッカーやったらハマってプロになるみたいな感じかな。


一応、分かったスキルを極めるのが一般的です、今回みたいに変わるのは稀みたいで、ヴェラ嬢は元々薙刀が適正だったけど、誰も分からんから槍、剣になってたみたいです。


俺の言葉に少しばかりマルゴー公爵家に向いていたヘイトが和らぐ、自分で自分に丸投げする。・・・頑張ってください。レピさん、あなたの目が頼りです。


「じゃ、帰る。孫弟子、ごちそうさん。っと、おいそこのおっさん、今すぐ協会に行って治療を受けな、隣の男が対応しろ、ポーションで誤魔化してるが近いうちに倒れるぜ。礼はこの場を作った孫弟子に言え。」


用はおしまいだと部屋を出て行く。あれ、国王だよね?隣は聖王?レピさんナイッス~もう凄いよねあなたのその目、しびれるっす。寮に向かい変身を解き琥珀の帰りを待つと数十分後に疲れ果てた琥珀が返ってきた。おつかれさん。俺も疲れたよ、明日は体調不良ですな・・学校行きたないな~行くけど、ヴェラ嬢から昼食誘われてるから。


「食事の味がしなかったにゃ、緊張感が半端ないにゃ、もう行きたくないにゃ、楽しくないにゃ・・・」


半泣きの琥珀からその後の話を聞く。まず、聖女ラクスは聖女の肩書を外し聖女見習いからやり直しとなる事が決まり、他の3大公爵家の適正訪問は夏季休暇後と決まった。後、まがいなりにもノワールの孫弟子となったヴェラ嬢の個人馬車購入と御者、専属の護衛を雇うことが決まった。国王さんが今回のお礼に馬車をプレゼントしてくれるらしい、よ!太っ腹!ムートン男爵家にもください。ちなみに、俺がアドリアン卿に呟いた、BJはブラク・ジャッスと言うスズカに支えた伝説の治癒師が居たらしくその人の事と勘違いされた。


次の日、何時もの昼食、ニッコニコのヴェラ嬢がからかってくる。目論見通りに事が進んで一安心する、琥珀に頑張ってもらった甲斐があるよ。俺もちょっと体調悪いけど、何とかなるでしょう。


「シンガ、いいえ、師匠(笑)昨日はありがとうございます。今後はスズカ流ナギナタ術のご指導をよろしくお願いいたします。まさか、私が、ノワール様、いえ、お師匠様に目を掛けて頂けるなんて、夢の様よ。ただ、なぜヘレナお姉様は弟子になさらなかったのかしら?」


「ヴェラ嬢、師匠は止めて下さい。今まで通りシンガでお願いいたします。一宿一飯の恩義、師匠の時代では1日の安全な宿とおいしい食事は当たり前ではなかったそうです。なので、ヴェラ嬢自ら準備し当日の食事も僕や、師匠の為に毒見をなされ、食事を振舞った対価に薙刀と弟子入りを許可したのだと思います。それに対して、ヘレナ嬢が示した対価は物の価値はあっても心はありません。ヴェラ嬢に師匠は何か可能性を見出されたのだと思います。」

【チョロインだから、貢がせやすいしな。ヘレナ嬢じゃこのモブ顔に騙されないだろうぜ】


レピさん言い方!モブ顔は否定しませんが、ヴェラ嬢はそこまでチョロ・・・チョロくないと思うよ。多分・・・いやいや、女の子はちょっとチョロいぐらいが可愛いって!会話も弾み、別の話へ


「出発までには残念ながら私専属の護衛は決まらないけれど、シンガが居るから安心ね。」

「全力を尽くしてお守りしますが、過度の期待は油断となりますので許して下さい。そもそも、決闘の時の状態はすでに消えてます。あれはバフの様な物ですから。」


護衛も今では考えてられなかったのに、手のひら返しで近衛騎士団クラスのメンバーを選出するらしい。ヴェラ嬢の安全が確保されるならなんでも良いけどね。一旦は5名でいずれは数十名に、いや~公爵家ってすごいよね。ああ、そうそう、本宅への誘いもあったそうだけど、ヴェラ嬢は断ったそうだ。師匠のノワールが気軽に来れるように配慮した、が理由となっている。


はぁ、ひとまずあと数日で故郷であるムートン男爵領に帰る。エリリ義母さんとカインは元気かな?会うのが楽しみだ。

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