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Episode 71

 襲撃から数時間後、私たちは国王陛下に拝謁していた。

 お父様とアンドレも東の砦から戻り、同席している。東の砦で見つかったという魔法に関連がありそうな不審物は、やはりそれらしく見えるように魔法を施されただけの代物だったらしい。それに関しても、第二王子派の子爵から指示され、砦近くに置いたとの証言が襲撃者一味から取れたようだ。


「イライザ嬢、この度は危険な目に遭わせてすまなかった。大事はなかったと聞いているが、相違ないか?」

 国王陛下から尋ねられ、私は深くお辞儀をして答えた。

「陛下、お気遣いいただき、ありがとうございます。はい、この通り、私は大事ございません」

「それを聞いて安心した。だが、無理はしないように。婚約披露パーティー前で多忙だろうから、なかなか難しいかもしれないが、身体をしっかり労るのだぞ」

「はい。ありがとうございます」

 国王陛下とはこれまで何度かお会いしているけど、本当に優しい方だと思う。ものすごく威厳があるから、どうしてもお会いすると緊張しちゃうけど、いつも私のことも気遣ってくれるんだよね。


「――ではパトリック、襲撃者たちから聞き出した内容に関しての報告を」

 国王陛下は労りの表情をすっと一変させ、厳しい顔を見せた。「はい」とパトリックが返事をして、国王陛下の侍従に目配せをする。侍従が事前にパトリックから預かっていた書類を国王陛下に渡した。

「では、ご報告させていただきます。まず、イライザ嬢を襲った一味ですが、ドルレアック侯爵に雇われた者たちだという証言が取れています。証言を取るために自白魔法と虚偽を禁じる魔法を使い、騎士団のみならず、政務官や陛下の侍従など、それぞれ異なる立場の役職の者を数名立ち会わせて映像記録も撮っていますので、証言の信憑性に関してはご安心ください。それから――」

 パトリックは、蕩々と報告を始めた。きっちりと裏付けされた事実が淀みなく積み上げられていく。国王陛下はパトリックの言葉に何度も頷きながら、報告を聞いていた。


「以上で、今回の件に関する報告を終わります」

 パトリックの報告を聞き終えた国王陛下は、深い溜息を吐いた。報告には、私の襲撃に関してだけでなく、第二王子派の貴族たちが関わっていた不正の証拠や、違法薬物を裏で流通させていた証拠まで挙げられていた。違法薬物に関しては私も知らなかったので、驚きを隠せなかった。ゲームでもそんな話は出てこなかったから、パトリックが彼らの不正を調査するなかで辿り着いたんだろう。

 自分の仕事の他にこれだけの証拠集めもしていたんだから、パトリックは相当忙しかったはずだ。相変わらず無理をする人だけど、さすが抜かりない。リサーチ力がハンパなかった沢渡部長らしさは健在だ。

 私に知らせてくれなかったのはちょっと…いや、かなり寂しいけど、私が婚約披露パーティーの準備や妃教育に追われていたから、仕方ないよね。仕方ないけど、後でちょっと不満は伝えさせてもらおう…。


「うむ。ここまで証拠が集まっていれば、もはや疑いようがあるまい。ドルレアック侯爵をはじめ、第二王子ルディを担ぎ出し、国家の安寧を脅かした者たちを厳罰に処す。――もちろん、甘言に唆されたルディも看過できない。犯罪に関してはどこまで関わっていたかを明らかにし、しかるべき処罰を下す」

 国王陛下の重苦しい口調から、その心情が伝わってくる。自分の息子に処罰を与えなければならないのだから、断腸の思いだろう。

 国王陛下の言葉を聞いて、控えていた侍従が一人、すぐに部屋を出て行く。おそらく、ドルレアック侯爵たちを捕らえるよう、騎士団に指示を出すのだろう。

「ルディは自室か?私が行くまで部屋から一歩も出さぬように」

 別の侍従に指示を出し、国王陛下は再び大きく溜息を吐いた。

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