チヨ
あの日のこと。
おじいさんは、お庭の草をぬきながら、ピョンピョンとびはねるミーを見ていました。
おひさまの光を浴びて、ミーの茶色のやわらかな毛がつやつやしています。
今日は、まだ、虫たちはあそびにきていないので、ミーのおあいては、風にゆれるお花です。
おや?
おじいさんは、かきねのすきまから、ひとりの女の子がじっと庭を見ているのを見つけました。
おかっぱ頭で、どんぐりのような大きな目をしています。
えっと。たしか、チヨって名前の子だったかな?
おじいさんは、その子を知っていました。
近所に住んでいる子で、だれともあそばない、かわった子供です。
おじいさんは、あまり近所の人のことを知らないので、どうしてその子がひとりでいるのかは知りません。
チヨは、ミーを見ているようでした。
ミーが、ピョン、とはねて、お花をつかまえると、チヨはにっこりしました。
ミーは、それに気がついたのか、うれしそうに、ニャアとなきました。
チヨが、かきねのそばにあった、タンポポのわた毛にふっといきをふきかけました。
ミーとおじいさんは、その白いフワフワのわた毛を目でおいかけます。
空にうかぶ、まっしろな雲にそれがとけていったとき、おじいさんが気が付くと、チヨは、もう、そこにいませんでした。
ミーは、おじいさんのほうをみて、小さくニャ、と声をあげたのでした。




