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BRAVE HEARTS  作者: 刹那翼
第5章 ブレイヴ・ハーツ
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今にも掴めそうな大空の下で勇気を掲げる 1/17

「NOAHへの共闘は終わった。

 残るは『ラグナロク』の真の決着だけだね。本当に君は強いよ。だが、俺は君を超えたい」


「俺も、受けて立つ。この世界が崩れかけていようと、お前と決着を付けずには終わらない。終わらないんだ。『エルドラード』決勝の引き分けじゃ、終われないんだ。

 獅子王(リチャード)ノ心臓(・ハーツ)


暗黒なる(ダークネス・)尊厳王(オーギュスト)


 聖司とは全く違うようで、同じタイプの人間だった。澄ました顔をして、学年1位に君臨していたわけではない。常に上を見続け、努力していたことを俺は知っている。合宿で俺に付きっ切りで指導した後は、デバイスを使って自身の魔法の微調整は必ず行なっていて、更には情報は欠かすことなく分析していた。

 聖司は正真正銘の天才じゃない。努力の天才だ。誰にも努力を理解されず、ただ孤高の道を一人で目指す。仲間が居ないと言っているわけではない。仲間でさえ追いつかないほど、努力をしていたんだ。




 正義君は、本当に不思議な人物だった。最初の出会いから、俺の心を惹きつける何かがあった。きっと、どんなに弱くても立ち上がろうとする勇気。何度も何度も努力して、やっと勝ち得た学年1位。俺はその席を奪おうとするかの如く執念の牙を見た。

 落ちこぼれだった俺が、まるで目の前に現れたかのような恐怖と喜楽。俺が努力して、更にレベルを上げたとしても、必死にしがみついてきた。そして、最終的には俺と同じ世界まで這い上がってきた。彼は全てを糧にして、ここまで来たんだ。俺も尽くせる限りの誠意で君に相対する。





「「行くぞ!」」


「双龍千本桜!!」


深淵の終焉エンド・オブ・ジ・アビス!!」


 俺の最強の技と真霧の最強の技がぶつかり合う。

 俺はパワーが制御できず、後ろに吹き飛ばされる。なんでだ。まさか、ここに来て、真霧が強くなっている。


「まだだ!光魔法シャイニング新世界ワールド!!」


深淵の終焉エンド・オブ・ジ・アビス!!」


 真霧だけの時を擬似的に止めて、攻撃しても俺の攻撃は避けられ、真霧の攻撃が俺に当たる。俺は地面に這いつくばる。

 落ちていた太陽は出てきている。それなのに、それなのに、お前の闇の力は、俺の愛用してきた光魔法を凌駕するか……。


「もう、終わりにしよう。正義君。君の姿をもう見てられないよ……」


 終わりにしたい。そう思った。その瞬間、通信が来る。


『おい、正義。最後ぐらい男見せてこい』


『キャプテン!あともう一踏ん張りです!』


『正義君、絶対に君なら勝てる!』


『正義、まだ終わってないだろ!勇気を見せろ!』


「……皆、俺みたいな奴がキャプテンで、悪かったな……もう立ち上がれないよ」


『正義君、私は君の成長していく姿を見てきた。私はそんな貴方の姿が大好きだった。だから、最後までその勇敢な姿を見せて』


 駿河、先輩。俺のずっとずっと憧れてきた駿河先輩から、大好きだという言葉を聞き、俺は胸が熱くなると同時に闘志が再び沸き起こる。


「そうだ。……そうなんだ。まだ……ハァ……終わっ……てない……だろうがァァァアッ!!!」


 俺は必死に立つ。このチームのキャプテンを背負い、今まで闘って来た。それも、この戦いで全てが終わる。最後だからこそ、負けられないんだ。まだ、ハートは燃え続けているんだ。あの時から、ずっとこの炎は消えていない。

 あの模擬戦から全てが始まった。あの時は、自分一人では何も出来ず、他人に任せきりだった。それが今となっては、夢にも思わなかった『エルドラード』や『ラグナロク』への出場を果たし、その決勝の舞台に立っている。この炎は消えかけたことも何度もあった。しかし、それも仲間と共に乗り越えてきた。

  そして、今ラグナロク決勝の舞台に残ったのは、二人。俺はその一人は残った。

 俺と相対するは、最高の好敵手ライバルでもあり仲間でもある、真霧聖司。

 エルドラード決勝でも、俺の隠し持っていた全ての攻撃手段を行使しても、引き分けで終わった史上最大の壁。

 俺は、最後にこの壁を越えなければならない。

 駿河先輩、氷牙、爽乃、恭介、椿、聖先輩、目の前に立つ帝王、それだけで済まないほど、色んな人に俺は支えられてきた。

 俺は、『ブレイヴ・ハーツ』を背負っているんだ。この学園を変える革命の風として。


「お前も……燃えてきただろ?……聖司」


「何故君はそんな姿になっても立てるんだ……もう君には力が全く残っていないはずだ!」


「俺にはちゃんと残っているよ。

 それは、勇気という名の力だよ」


 俺は最後の力を振り絞る。ずっと俺達が背負ってきた『ブレイヴ・ハーツ』という名前。その名前に何度も何度も励まされてきた。これで、最後なんだ。最後にもう一度だけで良い。勇気という力を。もう、俺の体なんて知らない。もう脳がぶち壊れてしまっても良い。ただ、こんな俺を最弱からこの舞台まで導いてくれたこのチームに勝利を。勇気を。


 ーーーーー脳波操作リミッター解除ーーーーー


 聖司、お前が教えてくれた俺の本当の能力、『あらゆる波の操作』は、波であればどんなものでも変えることができる。あの時はまだ俺自身も知らなかった、最後の波。最後に操るのは、音でも、光でも、脳波でもない。

 最近氷牙が見ていたニュースから、俺はちょっとした考えに至った。もしかしたら、この波も使えるじゃないかと。そう、例え『重力波』であっても、俺の能力なら操れる!!


重力魔法(グラビティ)ゼロ……ッ!!!!!」


「な、まさか、そんな技を最後まで残していたのか!?」


 聖司の体がふわりと宙に浮く。俺は、空中で身動きを一切取れなくなった聖司に徐々に近づいていく。聖司は必死に俺に向かって闇で作った弾丸を撃ち込んでくるが、俺は光の波を変えて、冷静に闇を相殺していた。自分が自分でない気分だ。集中というものを超えたような感じだ。


「この技は今まで成功したことがなかった。最後の賭けだったんだ。

 ……聖司、改めて礼を言うよ。俺はお前がいなければ、俺もここまで強くなれていない。ありがとう。

 ……咲き乱れよ、大空流秘奥義・百花繚乱千本桜!!!!!」


 止めていた重力波を一度に聖司に放出し、浮いていた状態から聖司は地面に急降下してくる。俺はそれを下から力が入る限り、斬り上げる。何度も、何度も。


「……本当に君が最高の仲間ライバルで良かったよ。こちらこそ、ありがとう。本当にありがとう。それに尽きるよ。俺の、完敗だ」


 聖司はなんとか防御を試みたが、その望みも儚く、ポリゴンの集合体は色鮮やかに爆散した。俺はそれと同時に二振りの剣を地面に突き刺した。


 これが、俺の最後の勇姿だ。俺の最後のチームでの戦いだったんだ。


 これが、勝者が、勝者だけが手に入れる孤独。そして、全てが終わりを迎えた虚無。


 だが、もう思い残すことは、何もない。

 そこにあったのは、純白の達成感だけだった。それはとても綺麗で美しかった。見たことがない輝きを放っていた。


「勝ったんだ、俺は。ラグナロクに、この学園に、勝った。最後の勇気を振り絞って」


 俺は右手を高く高く、真っ青で広大な大空に堂々と掲げた。




 魔装高校最高峰の祭典ラグナロク。魔装高校のチーム、総勢214。ラグナロクの舞台に立てるのは、9チーム。その熱戦の数々を勝ち抜け、決勝に進めるのは、たったの3チーム。そして、優勝は1チーム。優勝するということは、全てのチームの頂点に立ったということを意味する。

 2時間半の熱戦の末、勝利を手に入れたのは、ラグナロク開闢以来初めての1年生チーム。

 彼らは、学園に新たな歴史を刻むと共に、彼らの知られざる所業が世界に希望を取り戻した。

 ラグナロク優勝『ブレイヴ・ハーツ』

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