098。
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人魚姫みたいだ。
この想いが恋情だと気がついた時にそう思った。
目が覚めて、私の呪いが彼にうつった。
私は自由に生きるための足を手に入れた。
閉じ込められることもなく、太陽のしたを歩む権利を得た。
でも、その維持のためには彼を殺さなくてはいけない。
彼を殺して、呪いを消して、家と家族と私自身を守らなくてはいけない。
そうしなければ、私の自由は泡のように消えてしまう。
思えば、人魚姫の物語が私は好きになれなかった。
あの魔法はまるでどこか呪いのよう。
愛する権利を得たのに、自分が存在し続けるためには愛する人を殺さなくてはいけない。
恋を知って、恋を得て、そして恋を失って、次に失われるは恋した自分か恋された彼か。
彼には温かな家があって、愛してくれる人がいて、必要としてくれる人がいる。
彼は自分の自己満足だから、かりそめかもしれないと苦笑していたけれど、私には眩しいくらい羨ましかった。
私と弟を見ていた昔の彼はこんな気持ちだったのかもしれない。
人魚姫は王子を刺さず、朝日と共に泡になった。
王子を刺せばその血を受けて人魚に戻れたのに、そうはしなかった。
それは確かに綺麗な恋の形だと思う。
けれど私は彼女のように、大切にされた記憶がありながら身を投げ打つようなことはしたくなかった。
私たちはきっと始めから選ぶべきだった。
諦めずに自分を犠牲にしない道を探すことを。
だから、私は余計な感情を込めずに彼にナイフを突き立てた。
人魚姫のように多くの人に愛されなくていいから、たったひとつの可能性にかけてみたかった。
彼の中の呪いだけを殺す、そんなたったひとつの可能性に。
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all in the same key(感情を込めずに




