096。
「それは」
「嘘つき」
黒雪の言葉を誰かが凛とした声で遮った。
思わず振り返った瞬間はどこかスローモーションのように、視界に白を捉えた。
翻るワンピースは白、交差した視線は昔よりずっと大人びていた。
肩までだった髪は背中に真っ直ぐと流れ、顔立ちは面影こそ残したまま、花のように綺麗に変化していた。
その姿に驚きでも安堵でもなく、こぼれたのはただの吐息だった。
「白夜……」
「あっくんは嘘つきだね」
鈴をならしたような透明感のある声が笑う。
「救われたいのはあっくんでしょ? きーくんを救うことで救われたいんでしょ?」
一歩近づいた白夜に、何も言えなくなる。
その間にもまた一歩と白夜が近づく。
「救いたいなんて嘘、救われたいなんて嘘、ここにいたいなんて嘘、思い出せたのが幸せなんて嘘、生きなきゃなんて嘘、みーんな嘘」
「……っ」
「あっくんは嘘つきだものね」
いつの間にか白夜は俺のすぐ前にいた。
白夜の瞳に俺が写る。
怯えたような俺が白夜の中にいた。
その姿にあぁ、なんて思う。
ふいに笑ってしまうように、そんな風に力が抜けた。
「そうだよ、俺は嘘つきだ」
見上げてくる白夜の瞳は揺らがない。そのまま俺をありのままで受け止める。
「建前なんてどうでもいい。救いたいとか生きたいとかそうゆうこともいまは別に関係ない」
心が息を吹き返す。白夜の瞳の中で俺が笑った。
「俺はただ帰ってきた朝黄を一発殴ってやりたいだけなんだ」
俺の言葉に白夜はやっとふわりと笑った。
「そう。それでいいんだよ、あっくん」
twist the knife in the wound(傷口を抉る




