表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かりそめアパート。  作者: シュレディンガーの羊
さよなら
PR
97/105

096。




「それは」

「嘘つき」


黒雪の言葉を誰かが凛とした声で遮った。

思わず振り返った瞬間はどこかスローモーションのように、視界に白を捉えた。

翻るワンピースは白、交差した視線は昔よりずっと大人びていた。

肩までだった髪は背中に真っ直ぐと流れ、顔立ちは面影こそ残したまま、花のように綺麗に変化していた。

その姿に驚きでも安堵でもなく、こぼれたのはただの吐息だった。


「白夜……」

「あっくんは嘘つきだね」


鈴をならしたような透明感のある声が笑う。


「救われたいのはあっくんでしょ? きーくんを救うことで救われたいんでしょ?」


一歩近づいた白夜に、何も言えなくなる。

その間にもまた一歩と白夜が近づく。


「救いたいなんて嘘、救われたいなんて嘘、ここにいたいなんて嘘、思い出せたのが幸せなんて嘘、生きなきゃなんて嘘、みーんな嘘」

「……っ」

「あっくんは嘘つきだものね」


いつの間にか白夜は俺のすぐ前にいた。

白夜の瞳に俺が写る。

怯えたような俺が白夜の中にいた。

その姿にあぁ、なんて思う。

ふいに笑ってしまうように、そんな風に力が抜けた。


「そうだよ、俺は嘘つきだ」


見上げてくる白夜の瞳は揺らがない。そのまま俺をありのままで受け止める。


「建前なんてどうでもいい。救いたいとか生きたいとかそうゆうこともいまは別に関係ない」


心が息を吹き返す。白夜の瞳の中で俺が笑った。


「俺はただ帰ってきた朝黄を一発殴ってやりたいだけなんだ」


俺の言葉に白夜はやっとふわりと笑った。


「そう。それでいいんだよ、あっくん」



twist the knife in the wound(傷口を抉る

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ