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かりそめアパート。  作者: シュレディンガーの羊
さよなら
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091。



逃げ出したあの世界にはどんな未来があったのだろう。

自分の手を汚したくないだけで、白く笑う女の子から逃げ出そうとして、捻くれながらもヒーローになりたがっていた男の子を人殺しにしてして。

そうして自分を守るために忘れ去った、炎の中に消えたあの世界にはどんな明日があったんだろう。

救いなんてもしかしたらなかったかもしれない。

でも俺が逃げなければ、もしかしたら3人で笑いあえる世界があったんじゃないか。

俺が、俺さえ、逃げなければ。


「ーーーーレッド」


音も色も温度も失った世界で顔を上げる。

そこにいるのは、そこで息をしているのは確かに、俺、で、


「僕は、君だ」


鏡は優しく穏やかに手を広げて微笑んだ。

緩やかに踏み出した一歩は、次の一歩で加速して、遠くで誰かの叫び声が聞こえた気がした。

そうして、ふっと境界がなくなった。


line in the sand(境界  

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