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かりそめアパート。  作者: シュレディンガーの羊
さよなら
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89/105

088。



どうしてだと思った。

このアパートに足を踏み入れた時から全ては始まっていて、そして終わっていたのか。

俺に手を差し出して笑った朝黄は、全て知っていたのか。





「朝黄、教えてくれ。お前が白夜を殺したのか?」

「僕の口から聞きたい? あと少ししたらブラックが全ての必要な情報を揃えて帰ってくるよ? そのためにブラックはこのアパートを開けてるんだからさ」


何も言わずにそのまま見つめ返せば、朝黄はわかったよ、と頷いた。

静かに語られ始めたのは朝黄の過去だった。




朝黄は鬼の家計で生まれた。

しかし、呪術家に滅ぼされたという。

その呪術家が、俺とそして白夜の親戚の家だった。

呪術家に復讐をしたかった。

そうして忍び込んだのが白夜の住む離れだった。

分家である我が家も同罪だと思ったという。

俺たちと仲良くしたこともそれはあくまで敵情を探るため。

そして、探るうちに白夜の呪いのことを知った。




「だから、レッドにホワイトを殺させることはしなかった。他の誰かが殺めることができれば家は滅ぶじゃん? 僕の鬼の能力は他者の顔になれること。だから、ホワイトから警戒心を奪うためにレッドに化けて、ってことだよ。簡単だった、ホワイトは大したことなかったよ」


窓の外はざわざわと木々が揺れているのに、室内は静かで冷たくて心がどこかと奥に行ってしまったような気がした。


「レッドをこのアパートで他のみんなと仲良くさせようとしたのは、その方が警戒心がなくなるかなって思ったんだ。なんなら僕が代わりにレッドとして生きるのもありかな、同じ顔だし」

「嘘……、だろ。そうだよな、お面」


ふらりと動いたのは緑野で、戸惑うように笑って見せる。


「なんなんだよ、それ。そんなわけねぇだろ、てめぇはこのアパートをそんな風に利用しねぇはずだろ、ここは俺たちみたいな外れ者が生きていける場所。なぁ、そうだろ?」


縋るような言葉に朝黄はなんでもないかのように晴れやかに笑って言った。


「うん、騙してごめんねグリーン」




in the loop(全ての必要な情報を揃えて


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