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087。
「あさ君っ」
沈黙が落ちる中で、ひとつだけ動いた影があった。
揺れる髪が俺をすり抜けて、朝黄に飛びつく。
「あさ君、あさ君、あさ君、あさ君……っ」
歓喜と恐怖と切実さが入り混じる声で桃音が朝黄の胸で肩を震わせる。
朝黄は少しだけ目を伏せて、けれど抱きしめることなく優しく桃音の頭に手を載せた。
「板ばさみにさせてごめんね、ピンク」
はっとして顔をあげた桃音を朝黄は穏やかに遠ざける。
青葉、緑野へと視線を巡らせ、そして最後に俺を捉える。
朝黄の瞳は優しくて、けれどどこか影と仄暗い毒があった。
「レッド、僕は白夜のヒーローになりたかった。でもなれなかった。だから全部、壊してしまおうと思ったんだ。レッドがこのアパートに来たとき本当に嬉しかった。だって、これですべて終わりにできる」
まるで舞台に立った役者のように、芝居がかった仕草で朝黄は両手を広げて見せた。
「勝ったほうが正義の味方。それでいいかな?」
in the middle(板ばさみになって




