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かりそめアパート。  作者: シュレディンガーの羊
さよなら
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83/105

082。




ぽたりと、涙が床に落ちた。


「俺、朝黄に会ったことあったんだ……しぃと3人で一緒にいた……」


溢れ出した涙はただただ頬を伝う。

蘇る日々は温かな記憶、そしてそれゆえに壊れた時に忘却に沈めた思い出。

嘘つきと俺を責める声は白夜のものだ。どこかで俺は生きることに負い目があった。

逆の立場だったら、俺が呪われるほうだったら、俺は白夜に殺されるまで生きなければならないと思うはずだから、と心の奥で言い訳をして生きてきた。

でも、そんなのは嘘だ。

俺は本当はいろんなことがどうでもよかった。

家にいたくなかった、平凡に生きて平凡に死にたかった。

その隠れた自暴自棄が桃音に嘘つきと言われたゆえんだろう。

目の前にいる青葉に文字通り吐き出すように過去を吐露する。

聞き終えた青葉は、ぽつりと口を開く。


「朝黄と昔こんな話をした。月は何色に見えるか、なんてよくわからない話だ。朝黄は白に見えると言った。白い月には兎が住んでいて、赤い太陽を許して、黄色の星を恨んでいる、と」


青葉はそっと俺の瞳の奥を見つめた。

赤城、と俺の名を呼んで苦しげに問う。


「お前は朝黄が、彼女を殺したと思っているか」


the man in the moon(月のうさぎ

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