077。
それから俺は離れでしぃとそして時々鬼面と会うようになった。
俺は鬼面が気に食わなくて、鬼面は俺に興味も関心もないようだった。
つまりは俺たちの仲は最悪だった。
だから、しぃだけが俺たち間でにこにこと1人で楽しそうなのは自然の成り行きだ。
「あっくん、きーくんは洋菓子が好きなんだよ」
「へー、そう」
「きーくん、あっくんは覆面戦隊ものが好きなんだよ」
「別にいらない情報だ」
俺と鬼面はお互いに一瞥を投げるだけだった。
それでも、しぃはとても嬉しそうだった。
ある日、しぃが少し席を外した時に少しだけ話をした。
「……なぁ」
「なんだ」
「洋菓子ってなにが美味しい?」
「は?」
尋ねたら、鬼面は間の抜けた声を出した。
その反応に苛立って早口でもう一度言う。
「洋菓子ってなにがうまいんだよ」
「……洋酒が入ってるドライフルーツのパウンドケーキがうまい。なんでそんなことを聞く」
「うち、和菓子しか出ないから」
目を合わせないままに口を尖らせる。
そのまま少し沈黙が落ちて、今度は鬼面が口を開いた。
「……覆面戦隊ものってなんだ」
「え? 戦隊ものっていうのは悪を滅ぼすみんなのヒーローだよ。覆面ヒーロー。なんでそんなこと聞くの?」
「覆面が気になっただけだ」
鬼面は顔を背けると、そのまましぃが帰ってくるのを待たずに飛び出して行った。
次の離れに来た時に、ドライフルーツのパウンドケーキがどうして二切れあったのかは知らないし、俺がしぃに捨てておいてと言って渡した覆面戦隊のお面をどうして元鬼面がつけているのかは知らないけれど、それはつまりは自然の成り行きというものだと俺は思う。
in the course of natural(自然の成り行きで




