071。
「赤城、前に渡したもの持っているか」
「これのこと?」
ポケットからこの間、青葉が放られたものを取り出す。
それは小指ほどの銀のカプセル。
ありのままのそれを見て、青葉が少し驚いたように目を見開いて、それから破顔した。
「まだ開けてなかったのか。プレゼントはすぐに開けるほうだと思っていた」
「預けるってことかと思ってたんだよ」
少し膨れて、青葉にカプセルを放り投げる。危なげなくそれはキャッチされ、くるりと蓋が開けられる。
中から取り出されたのは一枚の写真と、小さな紙。
「これはその時に朝黄に渡されたものだ。起死回生に繋がるとは言えないが、それでもお前に見せれば何かこの状況が変わると思った。それとこれは俺からだ」
手渡された小さな紙を何気無く見て、俺ははっとして青葉を見る。
青葉は穏やかに笑っていた。
「もう緑野からは聞いただろ。俺も自分の意思で言う」
掌の上に乗せられた紙には、青葉らしい綺麗な字で自分の血のことが簡潔に書かれていた。
「青葉っ」
「いいんだ。俺が知って欲しいと思ったんだ。赤城、俺は小人の血を引いている。身体能力が低い代わりに、思考能力が高い種族だ。これで、後は桃音と朝黄の血がわかれば赤城の勝ちだ。それで、そこからは赤城が考えてくれ、あの時言ってただろ?」
学校ではしかめ面をしている青葉が、いまは柔らかく目を細めて俺を見ている。
信頼を寄せられるということが、嬉しくてそしてその分だけどうしてか切なかった。
頷いて、青葉の伸ばされた手から写真を受け取る。
「わかった。約束する」
裏返されたままの写真に、青葉が目を落とす。
「俺は桃音から朝黄と赤城にまつわる問題を聞いた。ただ、原因は知らない。そして、どうして朝黄があの時、呪いと言ったかはわからない。その答えはおそらく赤城の中にある。俺は、この写真がその突破口になるんじゃないかと思っている」
促され、意を決して写真を表に返す。
そこに写っていたのは一人の少女で、
「え……、な、んで、」
その瞬間にかちりと歯車の噛み合う音を聞いた。
『あっくんの嘘つき』
写真の中で少女が笑った気がした。
an oasis in the desert(起死回生になるもの




