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かりそめアパート。  作者: シュレディンガーの羊
みつめて
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69/105

068。



結局、思い出せたのは断片的なことだけ。




目を覚ますと、見慣れた天井が目に入った。


「起きたか」


ベッドから体を起こし声の主を探せば、部屋の隅に片膝を抱えて座る青葉と目が合う。

見渡せば、そこは自分の部屋で、首を傾げる。


「頭はもう痛くないか」

「え、あぁ……うん」


こめかみに手を当てる。

少しだけまだ鈍痛のようなものがあるが、大したことはない。


「俺、どうして」

「あの後、倒れたんじゃえねかよ」


部屋の入り口で声がして顔を上げる。


「緑野」

「通りがかったから、しょうがねぇ。見舞いだ」


放られたものをキャッチする。

ネギだった。

二度見して見たがやっぱりネギだった。


「じゃあな、早く体直せよ」


ツッコミを入れる暇もなく緑野が去って

俺はとりあえずネギをベッドの脇に置いた。

青葉がコップに水を入れて、俺に渡してくれる。


「緑野が言った通りだ。赤城はあの後、頭を押さえて倒れた。勝手も承知だが、俺と緑野で部屋に運ばせてもらった」

「いや、ありがとう」


一口水を飲んだことで寝ぼけた脳が覚醒して、それと同時にはっとした。


「朝黄はっ!?」


ばっと目を合わせた俺に、青葉は表情を変えずに事実だけを淡々と伝えた。


「あいつは、逃げた」




in passing(通りがかりに  

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