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かりそめアパート。  作者: シュレディンガーの羊
さがして
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66/105

065。



「赤城っ!」


青葉の叫び声に、はっとする。

頬を伝う感触に微かに顔が歪んだ。浅く切れた頬が熱く痛む。

さっきまで石のように沈黙していた青葉が、青い顔で俺を見ていた。


「おい、ブス。お前、どうする気だ」


緑野が俺の肩を掴んで後ろに押しやる。

桃音の瞳はもう揺れない。

静かな視線が緑野を、そして俺を刺す。


「たとえみんながばらばらになっても、私はあさ君が守れればそれでいいです……私は永久にあさ君の味方、それ以上でもそれ以下でもないです……」

「ふざけんな、さっきからあさ君あさ君って、お面とこいつに何があるってんだよ。 勝手に一人で喚かれてはいそうですかって、頷けるわけねぇだろ! しかも一人だけ敵みたいなこと言いやがって、いちいち気にくわねぇんだよ!」


今にも胸ぐらを掴みそうな勢いで緑野が桃音に詰め寄る。その間に青葉が割って入った。


「緑野、違う、桃音だってこれが本心じゃない」

「知らねぇよ、そんなことどうだっていい。俺が言ってんのは、このブスが一人で勝手に何かを諦めたことだ!」


その叫びに、青葉が口をつぐんで俯いた。

緑野は青葉も後ろに押しやって、桃音を見下ろす。

身長差に怯える風もなく、桃音は氷のような瞳で緑野を見上げていた。

緑野の手は固く握り締められて、震える。

桃音が小さな口を開く。


「なら殴れば……暴力で止めればいいです……」


その言葉に緑野の纏う空気が一瞬で弾けて、緑野が手を振り上げた。

はっとした俺と青葉が止める暇もなく、その手は桃音に振り下ろされんとして、


「グリーン、」


その手を掴んだのはいつの間にか現れた朝黄だった。


in perpetuity(永久に  


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