065。
「赤城っ!」
青葉の叫び声に、はっとする。
頬を伝う感触に微かに顔が歪んだ。浅く切れた頬が熱く痛む。
さっきまで石のように沈黙していた青葉が、青い顔で俺を見ていた。
「おい、ブス。お前、どうする気だ」
緑野が俺の肩を掴んで後ろに押しやる。
桃音の瞳はもう揺れない。
静かな視線が緑野を、そして俺を刺す。
「たとえみんながばらばらになっても、私はあさ君が守れればそれでいいです……私は永久にあさ君の味方、それ以上でもそれ以下でもないです……」
「ふざけんな、さっきからあさ君あさ君って、お面とこいつに何があるってんだよ。 勝手に一人で喚かれてはいそうですかって、頷けるわけねぇだろ! しかも一人だけ敵みたいなこと言いやがって、いちいち気にくわねぇんだよ!」
今にも胸ぐらを掴みそうな勢いで緑野が桃音に詰め寄る。その間に青葉が割って入った。
「緑野、違う、桃音だってこれが本心じゃない」
「知らねぇよ、そんなことどうだっていい。俺が言ってんのは、このブスが一人で勝手に何かを諦めたことだ!」
その叫びに、青葉が口をつぐんで俯いた。
緑野は青葉も後ろに押しやって、桃音を見下ろす。
身長差に怯える風もなく、桃音は氷のような瞳で緑野を見上げていた。
緑野の手は固く握り締められて、震える。
桃音が小さな口を開く。
「なら殴れば……暴力で止めればいいです……」
その言葉に緑野の纏う空気が一瞬で弾けて、緑野が手を振り上げた。
はっとした俺と青葉が止める暇もなく、その手は桃音に振り下ろされんとして、
「グリーン、」
その手を掴んだのはいつの間にか現れた朝黄だった。
in perpetuity(永久に




