057。
あの日からずっと燃えている。
忘れられないあの日は炎と灰の記憶。
全てが灰になればいい。
この怒りの中で全てが燃えてしまえばいい。
全て燃えて灰になって消えてしまえばいい。
そう思っていた少女に彼は手を伸ばして笑った。
そんな風に1人になろうとしちゃだめだよ、と。
初めはただ苛立った。
そんな言葉は的外れで、自分を孤高にしたのは周りだと少女は唇を噛み締めた。
幼い頃から親族に向けられた侮蔑と畏怖の目に少女は心を冷たく閉ざした。
そうしなければ自分の大切なものが残らず壊されると思った。
自分を愛して、そして哀れんでくれたのは両親だけだった。
こんな風に産んでごめんね、と流れ落ちた母の涙。
流れる血が違っても愛しいと抱きしめた父の腕。
忘れるはずがないのに、それでも日々は流れて記憶は磨耗して思い出になり変わった。
一人置き去りにされた少女の前で、淡い色の額縁に収められた両親はずっと変わらず曖昧に笑っている。
彼は言った。
僕とおいで。そして、僕らと一緒に日々を過ごそう。
少女は震えて、自分の手をきつく握りしめた。
その手を掴むことは、彼に縋ることと同意で、そんな風に他人を求めることは怖くて。
けれど、彼は結果として柔らかく笑ったまま少女を救い出した。
怒りと偽った痛みの炎は彼に肯定され、心の奥でまだ燃えている。
それでもいいと少女は思う。
消えない痛みはそれでもずっと燃えていていい。
それが少女の哀しくて愛しい誇り。
remain in(ずっと燃えている




