表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かりそめアパート。  作者: シュレディンガーの羊
おしえて
PR
42/105

041。



桃音が出て行った黒雪以外に紅茶を淹れてくれて、ひと段落いれる。

紅茶には詳しくないが、いい香りだった。


「俺からひとついいか」


紅茶に口をつけずに、ロッ君を眺めていた緑野がふいに口を開く。


「黒雪は自分でバラしたからいいとして、俺たちまでバラす必要ねぇんじゃねぇか。俺たちはこのまま一つ目のシュミレーションでもありだろ?」

「確かにそうだな」

「えー、もう僕バラす気満々だったのにー」


頷く青葉と、机に伸びる朝黄に桃音が静かに言葉を挟む。


「あさ君、ヒーローは正体を隠してこそです……」

「やっぱ言うのやーっめた!」


ぱっと発言をひっくり返した朝黄の鮮やかさに苦笑いする。

ふと、隣の青葉の視線に気づいて首を傾げる。


「どうしたんだよ、青葉?」

「もし赤城が不安なんだったら俺は言ってもいい。何しろ騙していたのは俺だからな」

「そんなこと思ってないって!」

「でも、アパートの住人が四分の一人外つていうことは、いたるところに危険があるって不安にもなるか。いっそ引っ越した方がいいのかもな」


緑野が思案顔でロッ君をつつく。皆が静かになって、桃音が紅茶を飲む音だけが室内に響く。


「じゃあ、ゲームするです……」


かつり、とカップをソーサーに戻して、桃音が俺たちを見渡す。


「ゲーム?」

「あか君がみんなの秘密を手に入れるのが先か、あか君の秘密が皆に知られるのが先か……危害は加えないことと無理矢理は禁止……」

「赤城の秘密? そんなのなんで桃音が知ってるんだ」


眉をひそめた青葉に緑野がつまらなそうに説明する。


「このブスがお前のいない間に読んだだけじゃねぇか」

「なっ」


絶句した青葉に見向きもしないで、桃音はまっすぐと朝黄を捉える。

ふわりと髪の毛が揺れた。


「あさ君、この提案どうです……? 協定、一方通行じゃない欺き、公平です……」

「え、あ、うん。フェアっぽいからいいんじゃないかななんて」


桃音相手だと慌てる癖もそのままに朝黄が了承し、なし崩し的に皆が頷く。

そして、桃音が最後にあぁ、そうです、と付け足した。


「条件がなかったです……じゃあ、もしゲームに負けたらあか君は他言無用でこのアパートから出て行く、私たちが負けたらあか君の前から姿を消すが妥当ですね?」


告げられた言葉に呆然と桃音を見れば、彼女は出会ってから初めて笑った。

花のように可憐に彼女は微笑みを零した。


「さぁ、ゲームスタートです」



on all hands(いたるところに  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ