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かりそめアパート。  作者: シュレディンガーの羊
おしえて
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38/105

037。



朝起きたら、目の前にとても綺麗な顔があった。一瞬、混乱のあまり息が止まる。


「おはようです……あか君……」


寝ている俺を覗き込んだまま降ってきた言葉に、ぎこちなく笑う。


「お、おはよう、桃音」

「あか君、案外と間抜けな顔した寝坊助さんです……結構待ったです……」


ふわりと肩からこぼれ落ちた髪が頬をくすぐって、俺はとりあえず仰向けになったまま両手を挙げ申し出る。


「とりあえず、起きるから、顔ち、近いのどうにかして……?」






目はもう完全に覚めたので、落ち着いて向かい合う。


「いきなりどうしたの? ってか鍵閉めてあった気がするんだけど……?」

「くろ君から密告を受けたです……あか君、秘密知ったです……?」


こちらの質問を素通りして、桃音が俺をまっすぐと見た。

その瞳は硝子玉のように色がないのに、どこかに強い意思が見えた。


「密告っていうか青葉と朝黄にはバレてるよ。でも知ったのは本当」

「なら、」


桃音が立ち上がる。

座り込んだままの俺を見下ろす形で、頬に手を伸ばす。

冷たい手が俺を上向かせて、瞳を覗き込まれる。

反らせない視線にとらわれる。


「私も、密告するべきです……?」


あか君の秘密、ぽつりと零されたその言葉に短く息を吸う。

俺の表情をすこし観察してから、桃音は飽きたように手を離した。

そして、無言で部屋を横切るとドアに手をかけてから振り返る。


「みんな、食堂にいるです……昨日のことの補足と説明するので来てくださいね、です……」


そうして、そのまま桃音は部屋を出て行く。

ぱたんと閉ざされたドアに俺は小さく口をつぐんだ。


put the finger on(~を密告する

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