027。
俺の笑いがひとしきり収まった後、ひとつだけ、と朝黄が笑った。
「新しい入居者の話をブルーから聞いた時にさ、皆なんだかんだできっと嬉しかったんだー。このアパートは、そう変わり者しかいないからさー。まともな、うん、そう、まともな人間が来ることが怖いけど楽しみだったんだと思う」
まっすぐと向けられる視線は柔らかいような気がした。
お面を被っていても、朝黄は表情を読み取れるように意識しているのだろう。
きっと朝黄は優しいのだろう。
だからこそ、本当はそのお面の意味を知りたいと思っている俺がいる。
朝黄は朗らかに続ける。
「僕はだから初めからエンジン全開で、フルスロットルで、レッドと仲良くなりに行ったんだー。だから、レッドはそのままでいてよ」
「確かにエンジン全開だった。ついてけなくて俺、叫んだもんな」
「だって、ファーストコンタクトはありのままを見せとくのが一番じゃんねー」
けらけらと、朝黄が声をあげる。
それからよいしょっと腰を上げ、ドアに歩いていく。
「じゃ、そろそろお暇するからー」
「うん、なんかありがとな」
照れ臭さにそう頬をかけば、振り返った朝黄はそっとお面に右手を添えた。
躊躇うような空白の後、朝黄の口が開かれる。
「レッド、僕さ……」
その言葉を全て聞く前に、ドアが開きそこから朝黄の首に腕が巻きついた。
「う、」
「いまなんて言おうとしたんだ、なぁ朝黄?」
艶やかに笑う黒雪がそこに立っていた。
on all cylinders(エンジン全開で




