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かりそめアパート。  作者: シュレディンガーの羊
なかよく
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28/105

027。



俺の笑いがひとしきり収まった後、ひとつだけ、と朝黄が笑った。


「新しい入居者の話をブルーから聞いた時にさ、皆なんだかんだできっと嬉しかったんだー。このアパートは、そう変わり者しかいないからさー。まともな、うん、そう、まともな人間が来ることが怖いけど楽しみだったんだと思う」


まっすぐと向けられる視線は柔らかいような気がした。

お面を被っていても、朝黄は表情を読み取れるように意識しているのだろう。

きっと朝黄は優しいのだろう。

だからこそ、本当はそのお面の意味を知りたいと思っている俺がいる。

朝黄は朗らかに続ける。


「僕はだから初めからエンジン全開で、フルスロットルで、レッドと仲良くなりに行ったんだー。だから、レッドはそのままでいてよ」

「確かにエンジン全開だった。ついてけなくて俺、叫んだもんな」

「だって、ファーストコンタクトはありのままを見せとくのが一番じゃんねー」


けらけらと、朝黄が声をあげる。

それからよいしょっと腰を上げ、ドアに歩いていく。


「じゃ、そろそろお暇するからー」

「うん、なんかありがとな」


照れ臭さにそう頬をかけば、振り返った朝黄はそっとお面に右手を添えた。

躊躇うような空白の後、朝黄の口が開かれる。


「レッド、僕さ……」


その言葉を全て聞く前に、ドアが開きそこから朝黄の首に腕が巻きついた。


「う、」

「いまなんて言おうとしたんだ、なぁ朝黄?」


艶やかに笑う黒雪がそこに立っていた。



on all cylinders(エンジン全開で  


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