021。
「やぁ、久しぶり、オレのとるに足らない可愛い虫けらたち」
彼はくわわっと欠伸をしながら、ひらひらと俺たちに手を振る。
墨で染め抜いたような光を反射しない真っ黒な髪はうなじを隠すまで伸びっぱなしで、すらりと均整のとれた体は一切の無駄がない。
「……黒雪、」
呆然と青葉が彼を見つめている。
「お前、なんで」
「青葉、愚問だ。飽きたからに決まってる、オレが」
ぐーっと伸びをした黒雪と呼ばれた青年の足元で割れたガラスが音を立てる。
その音に緑野が肩を怒らせた。
「違ぇよ! なんで窓から入ってくんだよ! 窓ガラス割れちまったじゃねぇか!? 馬鹿だろお前馬鹿なんだろ!」
「なんでお前みたいなサボテンマニアにそんなこと言われる、オレが? 悪いか、住人が入りたいところから入って何が?」
「うっぜぇ! こいつの喋り方まじうっぜぇ!」
「くろ君、腕から血が出てるです……」
地団駄を踏んでいる緑野を放置して、桃音の指摘に黒雪は腕を眺めてから、それを桃音のほうに差し出す。
「舐めるか、桃音?」
「嫌です、気持ち悪いこと言わないでです……」
一気に鋭くなった言葉を大して気にした風もなく、黒雪は最後に朝黄に目を向ける。
「朝黄、変わったことあったか、オレのいない間に?」
「あったかと言えばあるよ、レッドが来た」
いつもより幾分か硬い声で朝黄が俺を示す。
そこでやっと黒雪の瞳が俺をまっすぐと捉えて、
「誰だ、この人間」
さっきまでとは違うひどく冷めた声で、俺を称した。
a bump on a log(とるに足らぬ虫けら




